ミラノサローネ、レポートvol2 ミラノサローネで発表! 若手からベテランまで、日本人デザイナー5人の新作。

Interiors 2024.05.16

前回の「ミラノデザインウィークで注目! ファッションブランドのインテリア5選。」に続き、今回はミラノデザインウィークで発表した日本人デザイナー5人の新作を紹介。公式の発表によると、今年のミラノサローネの会場には昨年より17%多い来場者が足を運んだそうだ。世界のプロが集まるミラノで、日本人デザイナーが発表したものとは?

若手だけが出展できるサテリテから、素材にこだわる岩元航大の新作が登場。

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左から_金属の建材の端を叩いて作った「Arrow, Stand Lamp」、和紙が美しいホテルのための照明「KOMORU Wall Lamp」、オーストラリアのタスマニア北部で作られていたポッサムチェアを参考につくられた「Possum, Dining Chair」。photography: Tomohiko Ogihara

ミラノサローネ内にある、サテリテと呼ばれる35歳以下のデザイナーだけが出展できるブースから新作を発表した岩元航大。
塩ビ管をはじめ、以前から身近で購入できる素材をつかったプロダクトを発表している彼は、今回もホームセンターで買える建材をつかったプロダクト「Arrow, Stand Lamp」を発表。金属の両端を曲げるだけという手数の少ない手法で生まれたこの照明、ミニマルな手法から生まれたシンプルな美しさに脱帽。さらにホテルのために作られた和紙の照明、トラディショナルな雰囲気の椅子「Possum, Dining Chair」、テーブルなどを発表。「Possum, Dining Chair」は、岩元自身のルーツを探る中で見つけた、ジミー・ポッサムチェアというタスマニアの伝統的な椅子を参考に制作されたもの。新たな領域へと制作の幅を広げている岩元の今後が楽しみだ。

nendoは、パオラ・レンティから舞い散る桜をイメージしたプロダクトを発表。

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カンパーナ兄弟が第1弾を担当した「mottainai(もったいない)」プロジェクトの第2段。照明からチェアまで、ポップなプロダクトが揃う。photography: Sergio Chimenti

日本を代表するデザイナーのnendoは、パオラ・レンティとコラボレーションを発表。グラフィックデザイナー出身のパオラ・レンティがミラノに設立したこのブランド、糸から研究開発を行い高品質なファブリックを追求。外で使うアウトドア家具に定評がある。

今回発表されたのは「花嵐 hana-arashi」。パオラ・レンティの生産工程で発生した端材を使ったプロダクトで、文字通り桜が散るイメージからつくられている。資源を浪費するのではなく活用したいという思いが込められており、日本語の「もったいない」の精神から生まれたプロダクトだ。会場のインスタレーションも桜の散る様子を想起させる、映える展示で注目を集めた。他にも同会場で、ネンドによる個展「nendo : whispers of nature」を開催し、こちらも話題に。

武内経至は、世界の名だたるデザイナーによる「杖」の展示をキュレーション。

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左から_ヒューゴ・パッソスによるカゴつきの杖、武内経至によるペーパーコードが巻かれた杖、マリアラウラ・アーヴァインによるトーネットの曲げ木技術を使った杖。photography: 左から_Julien Renault、Keiji Takeuchi、Natalia Garcia

カリモク家具がスポンサーとなり、ミラノ在住のデザイナー武内経至がキュレーションする「walking sticks & canes」。エットレ・ソットサスをはじめとする巨匠たちの展覧会が開催されていたミラノ・トリエンナーレで、ひっそりと行われていたこの展示を紹介したい。

ジャスパーモリソンやセシリエ・マンツなど、世界的なデザイナーたち18人が杖をデザインするという企画。極端に言えば、落ちている枝でも成り立つ「杖」を、世界の一流デザイナーたちがあらためて考えている。歩くことを支えるというのが杖の役割だが、それ以外の機能を加えたり、素材にこだわったりとその解釈は千差万別。高齢化が進むいま注目されるプロダクトでもある杖。日本での展示開催もあるかもしれない。

イタリアの高級ブランド、フレックスフォルムから柴田文江のアームチェアが発表。

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フレックスフォルムの新作は、ほどんどが監修者であるアントニオ・チッテリオのデザインによるもの。柴田はチッテリオとどんなコミュニケーションがあったのだろうか。photography: FLEXFORM

無印良品の「体にフィットするソファ」をはじめ、誰でも一度は見たことのあるプロダクトを手掛けている柴田文江は、イタリアの高級家具、フレックスフォルムから新作を発表。1959年にイタリアのメーダで開業し、建築家でデザイナーのアントニオ・チッテリオがすべての製品の監修を行っているブランドだ。

今回発表した「ERI(エリ)」と名付けられたこのひとり掛けアームチェア、日本語の襟が由来。ゆったりとしたサイズ感で、包みこまれるような座り心地。木製のエレガントな脚部は手作業で仕上げられ、座面とクッションには柔らかなグースダウンを使用している。張り地はレザーのほかにファブリックも選択でき、ボディとクッションで張り地を変えるなどの組み合わせも可能。日本では10月にお披露目予定。

柳原照弘がデザインした「majotae 9490」は、心地よい眠りへと誘う、大麻布の寝具。

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心地の良い眠りをサポートしてくれる寝具たち。左から順に、ミラノでの展示の様子、ダブルベットのカバーやフラットシーツ、ピローケース。色は各10色。photography: 左_Camille Lemonnier、中央と右_Shinsui Ohara

神戸とフランスのアルルを拠点に活躍する柳原照弘は、ミラノデザインウィークで3つのブランドをローンチし、新作を発表。ひとつは兵庫県淡路島を拠点にするタイルメーカーの「A.a. Danto」、エイベックスの大麻布ブランド「majotae 9490」、黒いステンレスの表現の限界と可能性に挑戦した新たなプロジェクト「ABEL BLACK」だ。

大陸から日本に伝わり、古くは野良着から神事にまで活用されていた大麻。産業革命以降、布の生産の機械化が進み目にする機会が減ったが、品質の良さや、環境にやさしい素材として再注目されている素材だ。一般的に大麻布は⼿触りが硬いイメージがあるが、シルクのような肌触りと、コットンのような柔らかさをあわせ持つ⾵合いがあり、柳原は寝具のシリーズとしてブランディング。ミラノではふたつの会場でインスタレーションを行い、初のフラグシップライン「majotae 9490」を発表。6月からグローバルのオンラインストアで購入できる予定だ。

text: Michiko Inoue

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