イケアのヴィンテージ家具が、いまや高値で取引きされている!
Interiors 2025.03.07
スウェーデンの巨大家具メーカーであるイケアで70 年代から80年代にかけて作られた製品の一部は、中古市場で価格が高騰している。あなたの子孫に遺しておくために、「Billy/ビリー」の本棚にいまこそ投資すべきだろうか?

もしあなたが1972年にインパラを購入し、それがいまでもそばにあるなら、とてもラッキー! 角がなく金属製の骨格を持ち、中央アフリカや南アフリカではなく、スウェーデンからやってきたものであればなおさらだ。なぜなら、ここで取り上げているのは、ギリス・ラングレンがイケア社のためにデザインした「Impara/インパラ」なのだから。非常にリラックスしたラインのこのアームチェアは、発売当時、37ユーロ(当時はユーロが存在しなかったため、現代の価値に換算)という非常にリーズナブルな価格で販売されていた。それから52年後、所有者が大切に扱い、手入れが行き届いていたためか、あるいは単に屋根裏部屋や物置に忘れられていたためか、摩耗や損傷を免れた「Impara」が、Selencyのウェブサイトで2,300ユーロ(約¥369,000)で販売されたのだ。これぞまさに付加価値!
同じように、ニールス・ガンメルゴーが手掛けた「Guide/ガイド」のシェルフも大躍進。梯子構造と原色の棚を備えたこのミニマリストな本棚は、1985年の発売当初は65ユーロ相当だったが、最近のデザイン市場では1,629ユーロ(約¥261,000)で取引されていた。ニールス・ガンメルゴーがイケアのためにデザインした時、彼はそれがオークションで高騰する名作になると予想していただろうか?
それから、ベント・ガンツェル・ボイセンがイケアのためにデザインした「Duett/デュエット」ペンダントランプの驚異的な価格高騰についても触れておきたい。目の肥えたデザイン愛好家なら誰もが憧れるこのペンダントランプ、1983年にはわずか8.90ユーロだったのが、現在Selencyでは250ユーロ(約¥40,000)という表示である。それにしても、装飾マニアたちがこれらのヴィンテージ家具に惹かれるのはなぜなのだろう? なぜ彼らは、もともとは入手しやすかった作品の価格をわざわざつり上げようとするのだろうか?
この熱狂はイケアが創業80周年を迎えたことも影響しているかもしれない。アニバーサリーを記念して、同社は一部のオブジェと家具を復刻している。イケアのデザイナーたちは、アーカイブを掘り下げ、新しい世代のニーズにマッチする作品を探し出し、それらを独自の方法でアップデートしたのだ。この「Nytillverkad/ニティルヴェルカード」コレクションは、 "アイコン"を定期的に充実させていくことを約束している。日本人デザイナーの中村昇がデザインした、完璧なシンプルさを誇るふたりがけ掛けソファの「Klippan」は、その最たるものだろう。1977年に製作された、ヘッドレストが高くて座り心地の良い「Poäng/ポエング」のロッキングチェアも、このコレクションのひとつだ。それぞれ、319ユーロと 79.99ユーロという非常にリーズナブルな価格で提供されている。
これらの家具は、贅沢な投資ではなくとも、数年後にはあなたの子孫のためにささやかな蓄えをもたらしてくれることだろう。しかし、半世紀後に有利に転売するには、使用を控えなければならないので注意が必要だ。このゲーム、本当にやる価値があると言えるか? それはあなた次第だ。
From madameFIGARO.fr
text: Vanessa Zocchetti (madame.lefigaro.fr) translation: Eri Arimoto