古きよきアメリカを訪ねて、ノスタルジック西部紀行。#02 まるで西部劇! な、サウスダコタの旅の拠点。
Travel 2017.06.16
ミッドウエストの文化が薫る、ラピッドシティ&デッドウッドの過ごし方。
サウスダコタを訪れる際、拠点となるのが州第二の都市、ラピッドシティ。1867年にフレンチクリークで金鉱が発見されたことからゴールドラッシュが起こり、そのわずか2年後にできた街だ。周辺に点在する観光スポットへのアクセスに便利なことから、年間400万人のツーリストが訪れる。
この街のランドマークは国の歴史登録財に指定されている、1928年に創業したホテル・アレックス・ジョンソン。歴代大統領や映画俳優など数々の著名人が定宿とするホテルだ。ダウンタウンのこの一帯には1900年代初頭に建てられた趣のある建物が軒を連ねており、散策するのにもってこい。また、“シティ・オブ・プレジデンツ”プロジェクトとしてダウンタウンの各交差点に歴代大統領の等身大のブロンズ像が立っている。今年の秋にはオバマ前大統領の像がこのラインナップに加わる予定だ。
プレーン・インディアンの文化遺産とドイツ系移民によるゲルマン・チューダー様式をミックスしたスタイル。ネイティブアメリカンのシンボルがデコラティブな垂木やシャンデリアに用いられている。
古いレンガ壁の建物が連なるラピッドシティのダウンタウン。
ポップカルチャーに興味があるなら6番街と7番街の間にある“アート・アレー”へ。2005年に始まったパプリック・アート・プロジェクトで、建物の外壁を使ったストリート・アートを市が後押ししている。
アーティストたちの屋外ギャラリーとして機能している“アート・アレー”。
この街ではぜひ、ミッドウエストのスタイルとネイティブアメリカンの歴史や文化の融合を体験しよう。ダウンタウンにはネイティブアメリカンの歴史やアートを展示するギャラリーが点在する。中でも展示内容が充実するのがジャーニーミュージアム&ラーニング・センター。25億年前に形成されたブラックヒルズの地層の物語から西部開拓史、ネイティブアメリカンのフィロソフィーまでをインタラクティブに展示。子どもから大人までが見て、触れて、楽しめる内容になっている。
大人も子どもも楽しめるジャーニーミュージアム。
お土産を探すなら、ネイティブアメリカンの作家によるアートやクラフトが揃うプレイリー・エッジ・トレーディング・カンパニー&ギャラリーへ。バッファローのスカルやディアスキンを使ったタペストリー、1点もののインディアンジュエリー、ハンドメイドのビーズを用いた作品にはそれぞれの作家のプロフィールが記されている。ペンドルトンのラグやネイティブアメリカンスターキルトなど、ファブリック類も充実している。
ハンドメイドの上質な工芸品が揃うプレイリー・エッジ・トレーディング・カンパニー&ギャラリー。
ホテル・アレックス・ジョンソン
523 6th St. Rapid City SD 57701
tel:+1(605)342-1210
全143室 バス付き25室
料金:69〜499ドル
カード:AMEX、MASTER、VISA
www.alexjohnson.com
ジャーニーミュージアム&ラーニング・センター
222 New York St. Rapid City, SD 57701
tel:+1(605)394-6923
営)夏季:9時〜18時(月〜土)、12時〜18時(日) 冬季:10時〜17時(月〜土)、13時〜17時(日)
休)新年、イースター、感謝祭、クリスマスイブ、クリスマス
料金:10ドル
www.journeymuseum.org
プレイリー・エッジ・トレーディング・カンパニー&ギャラリー
606 Main Street Rapid City, SD 57701
tel:+1(605)342-3086
営)9時〜19時(月〜土)、10時〜17時(日)
不定休
カード:AMEX、DINERS、MASTER、VISA
www.prairieedge.com
>>ゴールドラッシュ気分を味わって!
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馬も車も! こんな風景も中西部ならでは。
スケジュールに余裕があればラピッドシティから西へ、ブラックヒルズ国立森林公園の近くまでドライブしてみよう。ブラックヒルズとはサウスダコタとワイオミングの州境にある森のことで、鬱蒼とした針葉樹林が広がることから「黒い森」と名付けられた。元々はシャイアン族やクロウ族が住んでいたが、18世紀にラコタ族がこの地を征服、バハ・サパ(黒い丘)と名付け聖地として崇めるように。
1876年に金鉱が発見されてゴールドラッシュが起きると白人の炭鉱者が殺到、聖地を守ろうとするラコタ族と激しい争いが繰り広げられるようになる。そんな歴史から生まれたのが、このエリアの特産品であるブラックヒルズ・ゴールドだ。特徴はブドウの実と葉をイエロー、ピンク、グリーンの3色で表した彫金細工。当時、グリーンゴールドは世界でも大変珍しく、グリーンゴールドはこのエリアならではとして愛されてきた。
現在、グリーンゴールドに用いられているのは残念ながらほとんどが合金。それゆえ値段も手頃になっている。市内にあるファクトリー、マウントラシュモア・ゴールドジュエリー・ファクトリーではこうしたジュエリーを工場直営価格で購入できるほか、工場見学ツアーも行なっており、職人たちの繊細な作業を間近で見学することができる。
3色のゴールド使いとブドウのモチーフがシンボリック。左はメンズで713ドル、右はレディースで195ドル。どちらもマウントラシュモア・ゴールドジュエリー・ファクトリーのもの
時代を超えてゴールドラッシュのムードを味わえるアトラクションも。ブロークン・ブート・ゴールドマインは1878年から1904年まで操業、15,000オンスの金を生み出した金鉱跡。現在はツーリスト向けにガイドツアーが行われており、100年前の金採掘技術を解説してもらいながら鉱山の中を探険できる。当時使われていた道具や金鉱夫のブーツなどもそのままにされており、ヘッドランプの明かりに照らし出される金鉱は映画のセットさながら。実際、モンスターが映画のロケに使われたこともあるそう。ツアー後は、オプションでパンニング皿を用いた昔ながらの方法でゴールドの採取を体験できる。
古い金鉱跡を探検できるブロークン・ブート・ゴールドマイン。
昔ながらのパンニングで金をゲット!
マウントラシュモア・ゴールドジュエリー・ファクトリー
2707 Mt Rushmore Rd, Rapid City, SD 57701
tel:+1(605)343-7099
営)8時〜19時(月〜金)、9時〜18時(土)、9時〜16時(日、祝)
休)感謝祭、クリスマス
カード:AMEX、DINERS、MASTER、VISA
www.blackhillsgold.com
ブロークン・ブート・ゴールドマイン
1200 Pioneer Way, Deadwood, SD 57732
tel:+1(605)578-1876
営)8時〜18時(3月末〜9月初頭)
休)期間中は無休
料金:ガイドツアーは30分ごとに開催、5ドル
ゴールド採取体験8ドル
カード:AMEX
www.brokenbootgoldmine.com
>>実はワインの産地、サウスダコタのワイナリーへ。
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西部劇から抜け出してきたかのようなデッドウッドの街並み。
ゴールドラッシュや西部開拓時代の雰囲気を味わえるのが、街全体が国の歴史登録財に指定されているデッドウッドだ。もともとはラコタ族のリザベーションだったが、カスターに近いフレンチクリークで金が発見されたことからブラックヒルズゴールドラッシュが起こり、不法入植によって誕生した街だ。西部劇に登場するカラミティ・ジェーンやワイルドビル・ヒコックといった、伝説的なガンマンの存在でも知られている。
開拓時代の博物館のようなバー、サルーン・ナンバー10。
西部劇から抜け出たようなウエスタンカジノが軒を連ねるこの街では、当時の酒場をそのまま再現したバー、サルーン・ナンバー10が人気。ワイルドビル・ヒコックが銃弾に倒れた酒場で、西部開拓時代の遺物を展示した博物館のような店内では、ヒコックが襲われた様子を再現したショーを行っている。171種のウイスキーを揃えるサウスダコタ随一のセレクションを誇るバーや、2階のステーキハウスも人気。
テイスティングも食事も楽しめるプレーリー・ベリー・ワイナリー。ベリーのワインは少し甘めで食後向き。
サウスダコタは実はワインの産地でもあり、州内にある15のワイナリーでは年間30万本以上のワインを生産している。中でも最も古いのが、ブラックヒルズエリアのヒルシティにあるプレーリー・ベリー・ワイナリー。チェコスロヴァキアからの移民の一家が始めたワイナリーで、現在も東ヨーロッパの伝統的な製法を用いたワイン造りを行っている。
こちらの特徴は州内で取れたベリーや、ルバーブなどローカルのフルーツを使ったワイン。ワイナリー内にはテイスティング用のバーやワインショップのほか、ダイニングルームを併設しておりワインと料理のペアリングが楽しめる。
古生物学界の超有名人、ピーター・ラーソン博士。
ワイオミングからサウスダコタにかけての一帯は、恐竜の化石の宝庫としても知られている。これまでに発掘された中でもっとも大きく、かつ完全に近い骨格標本として、シカゴのフィールド自然史博物館に展示されているティラノサウルス・レックスの“スー”が知られているが、これも実はサウスダコタで発掘されたもの。ヒルシティにあるブラックヒルズ・インスティテュート・オブ・ジオロジカル・リサーチは、“スー”を発見したことで知られる「恐竜発掘のインディ・ジョーンズ」こと、ピーター・ラーソン博士が手がける古生物学のミュージアム兼研究施設だ。せっかくここまで来たのなら、この界隈ならではの恐竜や古生物の物語に耳を傾けてみよう。
施設内では研究所がこれまでに手がけた恐竜や古生物の化石、その精巧な石膏模型、鉱物標本を見学することができる。
サルーン・ナンバー10
657 Main St. Deadwood, SD57732
tel:+1(800)952-9398
営)8時〜翌2時
無休
カード:AMEX、MASTER、VISA
www.saloon10.com
プレーリー・ベリー・ワイナリー
23837 Hwy. 385 Hill City SD57745
tel:+1(877)226-9453
営)10時〜20時
不定休
カード:AMEX、MASTER、VISA
www.prairieberry.com
ブラックヒルズ・インスティテュート・オブ・ジオロジカル・リサーチ
117 Main St. Hill City SD57745
tel:+1(605)574•3919
営)9時30分〜17時
休)日
料金:7.50ドル
カード:AMEX、MASTER、VISA
www.bhigr.com
>>サウスダコタに行くなら?
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■アメリカ中西部の旅は、デルタ航空で。
国内5つの空港(羽田、成田、関空、中部、福岡)に就航し、日本とアメリカを結んでいるデルタ航空。中西部の旅に便利なミネアポリス、デトロイト行きのフライトは毎日運航するほか、アメリカ各地への乗り継ぎ便も充実している。
アメリカまでのフライトをさらに快適に過ごしたいなら、ビジネスクラス「デルタ・ワン」へ。180度水平になるフルフラットベッドシートを採用した各座席には、電源やUSBポートを装備。また、日本発着便では機内食も和食(要予約)を含む全5種をご用意。女性マスターソムリエが選んだワインと合わせ、季節感を重視した食事を楽しむことができる。
メインキャピン(エコノミー)では機内用スリッパや耳栓とアイマスクをパッケージした「スリープキット」を提供。機内エンターテインメント「デルタスタジオ」では日本語で楽しめるコンテンツを豊富に揃え、日本発着の国際線には日本語を話す客室乗務員を乗務させるなど、長時間の空の旅を快適に過ごすためのサービスを充実させている。
睡眠環境を向上させた「デルタ・ワン」では、ウェスティンホテルがデルタ航空専用に開発した「ヘブンリーベッド」製品の白い掛け布団とダウンタッチピローを採用している。
日本発着便全便で、足元のスペースにゆとりのある「デルタ・コンフォートプラス」をメインキャビン前方に配置。シートピッチは最大約10cm、リクライニング角度が1.5倍に。
réalisation:RYOKO KURAISHI