古きよきアメリカを訪ねて、ノスタルジック西部紀行。 #01 荒野と野生動物を求めて、サウスダコタへの旅。
Travel 2017.06.16
サウスダコタ&ワイオミングでは、荒野と野生動物で映画のようなワンシーンを。
「サウスダコタ」、と言われてもピンとこない人は多いだろう。アメリカ中西部のグレートプレーンズ(大平原)に位置するのがサウスダコタ州。ダコタとはダコタ(スー)族の言葉で「仲間」を意味しており、その名の通り、ネイティブアメリカンの文化を色濃く感じられるエリアだ。もともとこの一帯は「グレート・スー・ネイション」という彼らの領土で、州南西部に広がる森林地帯、ブラックヒルズはダコタ族の聖地として知られている。
州内には大統領の顔のモニュメントで知られるマウントラシュモア国立メモリアルのほか、SF映画を思わせる壮大な荒野が一面に広がるバッドランズ国立公園、“アメリカのサグラダ・ファミリア”ことクレージーホース・メモリアル、全米屈指の野生動物保護区であるカスター州立公園など、アメリカならではの大自然を味わえる国立公園やモニュメントが点在している。
バッドランズ(Bad Lands)というネーミングにふさわしい、まるで火星のような荒地。
サウスダコタをめぐる旅は日本からミネアポリスに飛び、国内線に乗り換えて同州第二の都市、ラピッドシティをベースにするのが便利。現地の空港で車を借りたらさっそくランドマークを巡ってみよう。
まずはラピッドシティのダウンタウンから車でおよそ1時間半の、バッドランズ国立公園へ。東京23区よりもはるかに広い、総面積244,000エーカー(約987㎢!)という広大な敷地に、50万年という長い年月をかけて水と風に侵食された奇岩が連なる。その様はまるで別の惑星に降り立ったかのよう。観光スポットではあるが公園の一部がインディアンリザベーションになっており、神聖な儀式を行う聖地として崇められている。
野生のビッグホーンシープに遭遇。
主な見どころは、尖塔のような奇岩が続く渓谷を見下ろすピナクルズ展望台、この地の野生動物や化石にまつわる研究が立体的に展示されているビジターセンター、約30分のウォーキングが楽しめるドアトレイルなど。朝、昼、夕暮れ、時間帯によって黄金色から赤茶へと、少しずつ異なる表情を見せてくれる荒野にあらためて想う。アメリカはやっぱり広大だ、と。
化石の宝庫としても知られており、園内では古生物学者たちがフィールドワークを行っている。
バッドランズ国立公園
営)24時間
無休
tel:+1(605) 433-5361(ビジターセンター)
車1台につき20ドル、徒歩及び自転車は一人10ドル。いずれも7日間有効
www.nps.gov/badl/index.htm
ビジターセンター
営)8時〜17時(月〜金)、7時〜19時(日)
休)正月、感謝祭、クリスマス
カード:MASTER、VISA
>>東京都とほぼ同じ広さにバッファローの大群が! サファリツアーを楽しむなら……
---page---
車から眺めるバッファローの大群。
中西部といえば、やっぱりバッファロー。というわけで、ラピッドシティから車でおよそ1時間のカスター州立公園まで足を延ばす。東京都とほぼ同じ広さの敷地にはバッファローの群れやエルク、コヨーテ、ブロングホーンシープ(カモシカの一種)、プレーリードッグ、野鳥などが数多く生息しており、まさに野生動物の宝庫。公園内には湖あり、小川あり、その周囲を張り巡らすようにいくつものトレイルやキャンプ場が整備されている。中には馬を連れてのキャンプも可能というホースキャンピンググラウンドも。自宅から馬運車で公園にアクセスし、園内で乗馬を楽しむという遊び方も中西部ならでは。
サファリツアーでは知識豊富なガイドがジープで案内してくれる。
園内にはいくつものシーニックドライブが通っているが、プレーリードッグの生息地や風光明媚なフレンチ・クリークを巡りながら野生動物と遭遇できるワイルドライフ・ループ・ロードがおすすめ。ガイド付きのサファリツアーも用意されていて、動物たちの生態に詳しいガイドの説明を聞きながら動物観察を楽しめる(サファリジープツアー53ドル、8時から18時まで催行。1時間半〜2時間程度)。動物たちの動きが活発な早朝、もしくは夕暮れ時が狙い目だとか。
草原で顔を覗かせるプレーリードッグ。
もうひとつ、サウスダコタのアイコンが岩山に歴史的人物をかたどったモニュメント。市内から車で約30分のブラックヒルズにあるのが、ご存知、4人の歴代大統領の顔が彫られたマウントラシュモア国立メモリアル。141mの花崗岩の岩山の頂に刻まれたポートレートは、顔の長さだけで18m。完成までに14年の歳月を要した大作だ。マウントラシュモアの麓にはプレジデンシャル・トレイルという約800mのボードウォークが整備されており、4人の大統領それぞれの生い立ちなどを読みながら30分程度のハイキングが楽しめる。
プレジデンシャル・トレイルから見上げるマウントラシュモア。
さらに壮大なモニュメントが、マウントラシュモアから30分ほどのロケーションに位置するクレージーホース・メモリアルだ。クレージーホースはラコタ族の戦士で、ネイティブアメリカンにとっては当時、無敵と謳われたカスター将軍を破った英雄。その雄姿を後世に語り継ぐべく、巨大なモニュメントを建造するプロジェクトが1949年にスタートした。着工から早60年超、すでに顔までが完成し、現在は頭と腕の部分に着手しているそうだが、竣工時期は全く不明。完成すれば高さ169m、幅192m、マウントラシュモアをはるかに凌ぐスケールの、世界最大の彫像になる予定だとか。
数十年かけて完成したクレージーホースの顔部分。
ネイティブアメリカンのアートギャラリーや文化センター、教育施設も併設しており、彼らの文化や歴史を広く知らしめ、次世代を育む総合的な施設を目指している。
カスター州立公園
13329 US HWY 16A CUSTER, SD 57730
tel:+1(605)255-4515
営)24時間
無休
料金:車1台につき20ドル
https://gfp.sd.gov/state-parks/directory/custer/
マウントラシュモア国立メモリアル
13000 Highway 244 Building 31, Suite 1 Keystone, SD 57751
tel:+1(605)574-2523
営)5時〜23時
休)クリスマス
入園無料
www.nps.gov/moru/index.htm
クレージーホース・メモリアル
12151 Avenue of The Chiefs Crazy Horse, SD 57730-8900
tel:+1(605)673-4681
営)ウェルカムセンター7時〜閉園は時期によって異なる
料金:車1台につき28ドル(3人以上)、2人乗りの車22ドル、バスで巡るラウンドトリップを随時催行(25分、4ドル)
https://crazyhorsememorial.org/
>>映画『未知との遭遇』に遭遇!?
---page---
映画のワンシーンのようなデビルスタワー国立モニュメント。
ここまできたらぜひ、足を伸ばしてみたいのが、サウスダコタの州境を超えワイオミング州の北東に位置するデビルスタワー国立モニュメント。SF映画の金字塔『未知との遭遇』にてUFOが降り立った不思議な岩山といえば、思い出す人も多いはず。緑の大草原に突如、大きな岩のモニュメントが現れるさまは壮観!
ロッククライマーの姿もちらほら。
いまから6000万年前、ロッキー山脈が形成された際にマグマが湧き上がり、地表を押し上げタワーのような隆起物となった。それが冷えて固まる時に柱状節理という柱のような割れ目を作ったのが、このデビルスタワーだ。高さはおよそ386m、タワーの周囲を一周する約2kmのトレイルも整備されている。ロッククライマーにとっても憧れのクライミングエリアであり、年間およそ5,000人ものクライマーが訪れる。
ネイティブアメリカンの間では柱状の割れ目は巨大なグリズリーベアの爪痕だという言い伝えがあり、ここは長らく聖地として崇められてきた。タワーの周りでは現在もスウェットロッジやビジョンクエストといった神聖な儀式が行われているので、トレイルを歩く際にはそうした儀式の痕跡を見つけることができる。
園内のビジターセンターは1930年代に市民保全部隊(CCC)によって建てられたもので、国の歴史登録財に指定されている。お土産コーナーに並ぶ、ここでしかお目にかかれないファニーなエイリアングッズも見逃せない。
デビルスタワー国立モニュメント
149 State Highway 110 Devils Tower, WY 82714
tel:+1(307)467-5283
営)24時間
無休
料金:車1台につき15ドル、徒歩及び自転車は一人5ドル。いずれも7日間有効
www.nps.gov/deto/index.htm
>>アメリカ中西部に行くなら……
---page---
■アメリカ中西部の旅は、デルタ航空で。
国内5つの空港(羽田、成田、関空、中部、福岡)に就航し、日本とアメリカを結んでいるデルタ航空。中西部の旅に便利なミネアポリス、デトロイト行きのフライトは毎日運航するほか、アメリカ各地への乗り継ぎ便も充実している。
アメリカまでのフライトをさらに快適に過ごしたいなら、ビジネスクラス「デルタ・ワン」へ。180度水平になるフルフラットベッドシートを採用した各座席には、電源やUSBポートを装備。また、日本発着便では機内食も和食(要予約)を含む全5種をご用意。女性マスターソムリエが選んだワインと合わせ、季節感を重視した食事を楽しむことができる。
メインキャピン(エコノミー)では機内用スリッパや耳栓とアイマスクをパッケージした「スリープキット」を提供。機内エンターテインメント「デルタスタジオ」では日本語で楽しめるコンテンツを豊富に揃え、日本発着の国際線には日本語を話す客室乗務員を乗務させるなど、長時間の空の旅を快適に過ごすためのサービスを充実させている。
睡眠環境を向上させた「デルタ・ワン」では、ウェスティンホテルがデルタ航空専用に開発した「ヘブンリーベッド」製品の白い掛け布団とダウンタッチピローを採用している。
日本発着便全便で、足元のスペースにゆとりのある「デルタ・コンフォートプラス」をメインキャビン前方に配置。シートピッチは最大約10cm、リクライニング角度が1.5倍に。
réalisation:RYOKO KURAISHI