進化する国際都市、ドバイへの旅。#02 エキゾティックな旧市街で、ドバイの歴史散策。

Travel 2019.09.14

ドバイと聞くとビーチリゾートや高層ビル群を思い浮かべる人が多いけれど、この街は古くから貿易港として世界中の人々が訪れ、カルチャーミックスが盛んだった多彩な魅力を持つ街。そんな当時の面影を感じられる場所が、旧市街に残っている。

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ドバイで最も歴史あるスークのひとつ、ドバイ・オールド・スーク。テキスタイル・スークとも呼ばれる。右側には伝統的なウィンドタワー(後述)を持つ建物が並ぶ。

1950年代の街並みを再現した旬のスポット、「アルシーフ ヘリテージ ホテル」のすぐ近くには、実際に伝統的な建築や路地が残るアル・ファヒディ歴史地区、そして三大スーク(市場)があり、いまも人々を惹きつける。

活気に満ちたテキスタイル・スークで、お土産探し。

ドバイ・オールド・スーク Dubai Old Souk

ドバイクリークの南西側に位置するドバイ・オールド・スーク 、別名テキスタイル・スークには、パシュミナやシルクスカーフ、ポーチ、サンダル、クッションなど、細い路地にあらゆる色がひしめき合う。それと同じくらい引っ切りなしに呼び込みの声がかかるのだが、こちらが日本人とわかると「コンニチハ」と同じくらい、なぜか「オカチマチ」という言葉が飛んでくる。

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ゾウやラクダモチーフの雑貨からオブジェまで、隙間なく並べられている。

いまではスークの商人はアラブ系の人々ではなく、パキスタンやインドなどからの移民たちだ。インターナショナルな商人と観光客が、街の伝統的な風景を引き継いでいる……そんなところもドバイらしいのかもしれない。

ドバイは中東の国々の中で最も、女性が安心して外を散策できる街のひとつ。とはいえ、スークでは毅然とした態度で歩くのが正解。値切り交渉もしっかりしつつ、掘り出し物探しを楽しみたい。

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ノスタルジックな雰囲気を醸し出す木造のアーケードと、キッチュな小物のコントラストがおもしろい。

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カラフルな雑貨に囲まれて、猫たちが食事中。

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ドバイ・オールド・スークを抜けて、ドバイクリークを渡る木造船アブラの発着所へ。

Dubai Old Souk
Bur Dubai, Near Bur Dubai Abra Station, Dubai, UAE
営)9:00~13:00、16:00~21:00頃(月〜木、土、日) 16:00~21:00頃(金) *店により異なる
無休 *ラマダン(断食月)期間中は営業時間短縮の可能性あり

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オリエンタルなスパイスの香りとゴールドの煌めき。

スパイス・スーク/ゴールド・スーク Spice Souk / Gold Souk

テキスタイル・スークを抜けたら、伝統的な渡し舟「アブラ」に乗ってドバイクリークの対岸へ。こちら側では激しい呼び込みは落ち着き、色鮮やかなスパイスやドライフルーツが並ぶスパイス・スーク、そしてその先には金製品のゴールド・スークが続いている。

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ドバイクリークの両岸を行き来するアブラ。運賃は1AED。

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ドバイクリーク横断は、住人たちの日常風景。すぐ近くを飛ぶカモメを眺めながら、あっという間に対岸に到着。

スパイス・スークには、ドライトマトやトウガラシなど、なじみのあるものも多いが、木の実のように見える中近東の伝統食材、ルーミー(Loomy=ドライレモン)など日本では見慣れないものも。

バリエーション豊富なスパイスのなかでも、日本では高価なサフランがリーズナブルに手に入るのがうれしい。小さなパッケージも売られているから、お土産にもおすすめだ。

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見ているだけでも楽しい、カラフルなスパイス。もともとスパイスはインドからもたらされ、ドバイの家庭料理に欠かせないものとなった。写真の前列右端がルーミー。

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アラビア料理に活用されるスパイスたち。ホールとパウダーのディスプレイが綺麗。

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ゴージャスにライトアップされているこちらは、何とサフラン!

さらに奥へ進むと、金製品の専門店が立ち並ぶゴールド・スーク。まるで美術館の展示のように精巧なジュエリーもあれば、旅の記念にしたくなる、アラビア文字のネームペンダントをオーダーできるサービスも。ドバイが誇る数ある世界一のひとつ、世界一大きな指輪もここに展示されている。

Spice Souk
Sikkat Al Khail Road, Al Ras, Dubai, UAE
営)9:00~13:00、16:00~21:00頃(月〜木、土、日) 16:00~21:00頃(金) *店により異なる
無休 *ラマダン(断食月)期間中は営業時間短縮の可能性あり


Gold Souk
54 Al Khor Street, Deira, near Gold Center Building, Dubai, UAE
営)9:00~13:00、16:00~21:00頃(月〜木、土、日) 16:00~21:00頃(金) *店により異なる
無休 *ラマダン(断食月)期間中は営業時間短縮の可能性あり

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ドバイの街にはモスクが点在し、早朝や、街歩きの最中に、礼拝の合図 “アザーン”が1日5回響きわたる。自分がいまイスラム教の国にいるのだと、はっと気づく瞬間だ。

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モスクは美しい建築を誇るものが多い。

必ずしも毎回モスクを訪れる必要はないそうだが、礼拝の前には手を洗い、口をすすぎ、顔を洗い、鼻や耳の中も洗って、足も丁寧に洗うという。1日5回、はるか昔から毎日続けられてきた礼拝の習慣。住む街がどんなにスピーディに進化しても、変わらない義務と強い信念を持ち続けるここの人たちは、どんな風景を見ているのだろうと思いを馳せる。

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女性専用の祈祷室へのサインが。

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モスクの脇には、ドネーションボックスが置かれていた。衣類をここに入れると、その売り上げが慈善団体に寄付されるという。

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真珠採集をしていた、かつての人々の暮らしに触れる。

ドバイ博物館 Dubai Museum

ドバイクリーク南西側に戻り、アル・ファヒディ歴史地区に位置するドバイ博物館へ。18世紀に建てられた、ドバイに現存する最古の建物であるアル・ファヒディ要塞が改築され、いまは博物館となってドバイの歴史と文化を訪れる人に伝えている。

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ドバイ博物館のエントランス。1787年に建設された要塞が、1971年に博物館としてオープンした。

風と水をうまく取り入れることで、電気のない時代にも建物内を涼しく保ったウィンドタワー「バラジェール(Barjeel)」や、かつて真珠採集が主な産業だった頃の人々の暮らしにまつわる展示など、ドバイの歴史に触れられる貴重な場所だ。

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漁業や真珠の輸出が主な産業だった頃の家屋を再現。20世紀初頭に日本で真珠の養殖が成功したことで、ドバイの真珠産業は衰退してしまったという。

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かつて使用されていた木造船も屋外に展示。

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博物館のあるアル・ファヒディ歴史地区の一角で見かけた、宝石のように美しいスパイス。

Dubai Museum
Al Fahidi Street, Bur Dubai, UAE
Tel. +971 4-353-1862
開)8:30〜20:30(月〜木、日) 14:30〜20:30(金)
休)土

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家庭料理を通して、エミラティ文化を体感。

シェイク・モハメド文化理解センター
Sheikh Mohammed Centre for Cultural Understanding (SMCCU)

そのドバイ博物館の隣に位置するのが、シェイク・モハメド文化理解センター(SMCCU)。エミラティ(アラブ首長国連邦の人々)の文化について学ぶことのできる施設だ。ここで提供される数々のプログラムの中から、伝統的なアラブ料理をいただきながらレクチャーを聞く「カルチュラル・ミール・ディナー」に参加した。

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参加者全員が輪になって食事を囲むスタイル。

到着すると、ホスピタリティの証であるアラビックコーヒーが振るまわれる。小さなカップに少量だけ注がれるコーヒーは浅煎りで、コーヒーかお茶かわからないくらい軽く、ふわりとカルダモンの香りがする。デーツと一緒にいただくと、全身に染みわたって疲れが癒やされていくような感覚になる。

「ゲストは左手でカップを持ち、ホストは右手でサーブします。飲み干せばまた注がれます。カップを2〜3回振ることが、もう十分だという合図。3杯目以降も望んだら、家の主とのプライベートな対話を望んでいるという意味になる。飲まずにカップを置いたら、抗議の気持ちを示すことにあたるのです」

ホスト役の男性は穏やかな口調でアラビックコーヒーの作法について、そしてコーヒーの起源について、話しはじめる。ドバイ以外にオリジンを持つ人々が人口の約8割を占めるいまのドバイで、彼らエミラティはいわばマイノリティだ。「だからこのプログラムを提供しています。私たちの文化に触れてもらえるように。そして、外国からこの街を訪れてくれるみなさんが、私たちに出会えるように」

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晩餐がスタート。手前から、「Chicken Biryani」、「Lamb Margooga」、Salad「Veal Harees「White RiceChicken SaloonaVegetable SaloonaLuqaimat」。

施設内の集会場にずらりと並べられたのは、ドバイの家庭料理の数々。サルーナ(Saloona)と呼ばれる鶏肉や野菜のスープ、ラム肉を香辛料などと煮込んだシチューのマルグーガ(Margooga)、小麦と肉を時間をかけて煮込んだ粥のような料理ハリース(Harees)に交じって、インド料理として知られるスパイシーなピラフ、ビリヤニも。ドバイが歴史的にカルチャーミックスの都市であったことが料理にも表れている。

本来のスタイルは、食事の前後に短い祈りを唱え、床に膝を立てて座り、3本の指で食べるという。

「かつてドバイの人々は、砂漠で暮らすベドウィンが訪ねてきたら3日間食事を出してもてなし、3日目の夜に初めて、自分たちに助けてあげられることはないか、と聞いたのです」

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粗く挽いた小麦と仔羊を煮込んで作った粥状の「Veal Harees」。バターも入ってボリュームがある。ラマダン(断食月)のメニューとして知られるが、年間を通して人気の一品という。

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Chicken SaloonaVegetable Saloona」は、カレーのようにライスと一緒に。

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小さなドーナツにデーツシロップを付けていただくルゲイマートはデザートだが、食事中に食べてもよいのだとか。

“Open Doors, Open Mind(門戸を開き、精神を解放する)”をモットーに掲げるSMCCU。気になることは何でも聞いてください、と言うホストに、会場から「奥さまは何人いますか?」との質問が。「ひとりで十分です」と笑いながら応じる。

一夫多妻制にはさまざまな理由があるが、いちばん大きな理由は戦争だったという。夫を失い未亡人となってしまった女性とその子どもは、安全面で厳しい立場に立たされてしまう。そんな女性たちをサポートするために妻として迎え、経済面でも皆を同等に扱ったのだと話す。

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着用している伝統衣装カンドゥーラのことなど、エミラティ文化にまつわるさまざまなエピソードを披露してくれたSMCCUの男性。「かつて日本の真珠養殖によりドバイの産業が打撃を受けたお詫びにと、日本がカンドゥーラの生地を贈ってくれた。いまでも最上級の生地は日本製なんです」

盛大なもてなしの料理がたくさん残ってしまったけれど、その料理は施しに回るのだと知ってひと安心。初めて食べたのに、その滋味深い味わいに郷愁のようなものを感じていた。それはここの人々がいまも大切にする慎ましさ、奥ゆかしさに対してだったのかもしれない、とふと思う。

外に出ると、歴史地区の砂の壁がライトアップされ、美しい黄色に染まっていた。煌びやかな光だけではない、人の心を解きほぐすような柔らかな光も、きっとこの街にははるか昔から灯っているのだ。

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壁のテクスチャーがくっきり浮かび上がり、昼間とは違う表情を見せるアル・ファヒディ歴史地区の路地。

Sheikh Mohammed Centre for Cultural Understanding (SMCCU)
Al Fahidi Historical Neighborhood, Bur Dubai, UAE
Tel. +971 4-353-6666
カルチュラル・ミール:
ブレックファスト10:00〜(月、水)
ランチ13:00〜(火、木、日)
ディナー19:00〜(火)
ブランチ10:30〜(土)
エミラティ・フアーラ(アフタヌーンティー)*予約により開催
ヘリテージ・ツアー&モスク訪問:
10:30〜12:00(火、木、日) 9:00〜10:30(土)
*要予約
www.cultures.ae

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#01 ドバイのいまと昔が交錯する、噂の新スポットを訪ねて。

【基本情報】
※1AED(UAEディルハム)=約29円(2019年9月現在)
※ドバイの休日は金曜と土曜です。日曜から1週間がスタートします。
※掲載店の営業時間、定休日、商品の価格などは取材時と異なる場合もあります。ご了承ください。

●取材協力:ドバイ政府観光・商務局
www.visitdubai.com
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