「いぬパリ」を連載中のフォトグラファー、吉田パンダがオーストリアの首都ウィーンへ。音楽をテーマに、街の魅力的なスポットを散策。第1回では老舗カフェや、昔ながらの工程を守るバイオリン工房、ウィーンの名物料理をいただけるレストラン、そして夜のウィーン国立オペラ座を紹介。
クリムトやシーレをはじめ、天才が集ったといわれるウィーンの老舗「カフェ・ムゼウム(Café Museum)」からこんにちは、吉田パンダです。もろもろご縁があって、このたびウィーン旅行記をmadameFIGARO.jpで書かせてもらうことになりました。音楽をテーマにしたツアーで訪ねた場所を、皆さんと一緒にここでもう一度巡りたいと思っています。ではマダム、お手をどうぞ、、。
駆けつけ3杯、ならぬ駆けつけスイーツを3つくらいいかがでしょう。正統派洋菓子(私的イメージ)なウィーンのパティスリー。そのままパリに来てほしいくらい。
ギャルソンが両手に持っているのはハプスブルク家の領袖、女帝「マリア・テレジア」の名を冠した、オレンジリキュールたっぷりのコーヒー。一杯飲めば、もう撮影どころじゃありません(笑)。芋焼酎ロックも持ってきて!
こちらはクリムトも愛したアプフェル・シュトゥルーデル(アップルパイ的な)。ワタシも愛してます←聞いてないから。
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駆けつけスイーツの後は、旧市街を散策します。
音楽家ゆかりの聖地であふれているウィーン。ここは1781年、この地に来たばかりのモーツァルトも暮らしたドイツ騎士団修道会の館。
シュテファン寺院のすぐ近くにある館の、静かな中庭を歩きました。耳を澄ませば、妖精たちが踊っているようなピアノソナタが聴こえてきませんか?←幻聴です。
時を止めたように、街路からは一種切り離された感がある「中庭」が個人的に好きです。静かで、緑にあふれた特別な空間。ウィーンに数ある隠れた中庭を特集するのもよいかも、、。
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さて、秘密の中庭を通った後は、いまだに昔ながらの工程で製作しているというバイオリン工房を訪ねました。
製作途中のバイオリンと、用途によって使い分けるさまざまなサイズのノミ。一本の木から楽器が生まれるんだなということが、よくわかります。
ドイツで修行をして、マイスターとして楽器製作を請け負うヴェアベルさん。木の選定から始めてゼロから作り出すため、年間で作れるバイオリンは多くても4挺だそうです。
ここで突然ですが、自分も手伝いを、、。20代の頃はバイオリンを習っていて(といっても1年間だけ。速攻で挫折しました)、イタリアはクレモナにあるバイオリン製作学校に、留学しようかと夢見たこともあるんです。ブレブレだった20代。流れ流れてカメラ片手にパリへと行き着いたわけですが、あれからさらに20年、ついにバイオリン製作の夢が叶うとは(涙)←一瞬ノミで削っただけ。
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バイオリン製作で汗を流した(?)後は、再び中庭へ。ミュージアム・クォーター裏手にあるレストラン、「グラシス・バイスル(Glacis Beisl)」で夕食。気さくな居酒屋といった趣です。
毎食でも食べたい(フレンチに揚げ物はほぼない)、ウィーンといえばのシュニッツェル(カツレツ)。
こちらはスズキのグリルとビーツのリゾット。海のない国だし、魚はな、、と思っていたのですが、味見させてもらったらこれがアナタ、おいしいんです。こっちにすればよかったくらい。
Museumsquartier, Zugang Breite Gasse 4 1070 Wien
tel: +43 (0)1 526 56 60
営)11:00〜翌2:00(月〜土) 11:00〜翌1:00(日)
無休
www.glacisbeisl.at/info
食後はホテルでぐっすり、、じゃありません。まだまだ続きますよ。屋根に浮かぶ三日月のかけらを拾い集めながら、パブリック・ビューイングを目当てに国立オペラ座まで歩きます。
15分ほど歩いて、回廊のアーチも美しいウィーン国立オペラ座に到着。
歌劇場前の広場では、4月〜6月と9月に大スクリーンでライブ中継されるオペラやバレエを楽しめます。しかも、野外になんと180席(!)も用意されているんです。パリオペラ座でも真似してほしい、、。
さらに、このオペラ座向かいにある王室御用達(よい響き)「ゲルストナー(Gerstner)」の窓辺が特等席!まるで自室で寛ぐように、お茶とお菓子をいただきながら、もしくはシャンパングラスでも傾けながらオペラ上映を楽しめるんです。この席のことは、ふたりだけの秘密ですよ。
しかもどうですか、この「姫カフェ」は。これからはパンダ家も御用達にします←どうでもいいわ。
Kärntner Strasse 51, 1010 Wien
tel: +43 (0)1 526 13 61
営)1階&ショップ:10:00〜23:00
2階:11:00〜17:00
休)7月〜8月
www.gerstner-konditorei.at/en/index.html
というわけで、盛りだくさんのウィーンツアー初日をお伝えしました。次回は実際にオペラ観劇に参りましょう。どうぞお楽しみに。
※日本から電話をかける場合、オーストリアの国番号43の後、市外局番の最初の0を取ります。オーストリア国内では掲載どおり、かけてください。
※掲載店の営業時間、定休日、商品の価格などは取材時と異なる場合もありますので、ご了承ください。
※ウィーンまではオーストリア航空の成田発直行便で約12時間。(2020年は3月14日から運航開始)
オーストリア航空
www.austrian.com
●取材協力:ウィーン市観光局
www.wien.info/ja
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吉田パンダの「いぬパリ」
photos et texte : PANDA YOSHIDA
写真家。長年住んだパリを離れ、現在フランスはノルマンディー地方にて、犬猫ハリネズミと暮らしている。庭づくりは挫折中。木漏れ日とワインが好きで夢想家、趣味はピアノ。著書に『いぬパリ』(CCCメディアハウス刊)がある。instagramは@taisukeyoshida