「いぬパリ」を連載中のフォトグラファー、吉田パンダがオーストリアの首都ウィーンへ。音楽をテーマに、街の魅力的なスポットを散策。第2回ではウィーンが世界に誇るピアノ、ベーゼンドルファーのサロンや、オペラ座での観劇についてご紹介。
ジャジャジャジャーン♬ 今日も「運命」が私の心の扉を叩く。さあ、カメラを持て!写真を撮れ!と。本当は寝ていたいんだけどね、、←オイ。
さて、ウィーン写真日記、第2回。ここはベートーヴェンが一時期、その2階に暮らしたこともあるアン・デア・ウィーン劇場向かい、「ホテル・ベートーヴェン(Hotel Beethoven)」のサロン。パノラマに広がる窓から、劇場の旧正面玄関を望めます。なんという立地でしょう。
メヌエットのような朝食ルーム←言ってみたかっただけ。
小さい頃から音楽に親しんでいたという、ホテルオーナーのバルバラさん。母親から受け継いだベーゼンドルファーのグランドピアノをサロンに置いて、定期的にコンサートを開いているそうです。今回会う人、会う人に聞いてみたんですけど、皆何か楽器を弾いていた経験があるんです。それも「音楽の都」の一因かなと思ってみたり。音楽が身近にあるっていいですね。
部屋の内装はシックな色合わせで天井も高く、落ち着いた印象。
各階それぞれテーマが決まっていて、4階のテーマはアン・デア・ウィーン劇場。壁紙がボックス席になっていて、可愛いんです。
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さて、雨上がりの石畳が綺麗なウィーン旧市街から、今日も音楽ツアーをお届けします。
まずは前回のバイオリン工房に続き、今回は「ベーゼンドルファー・サロン(Bösendorfer Salon)」へ。
ベーゼンドルファーはオーストリア最古のピアノメーカーで王室御用達(←御用達に弱い)。一時は音楽家を目指した二代目ベーゼンドルファーさんの時代には、リストやルービンシュタインとも交流があり、これはコピーですが、直筆メッセージも残されているそうです。
ベーゼンドルファーといえば、鍵盤の低音部に、弾くためではなく低音の響きを豊かにするために鍵盤が足されていることで有名。このブラック感が、ちょっと悪者っぽくていいですね←?。
どれどれ、生まれ変わったらピアニストか詩人になりたいと思っているワタシが試弾してみましょう。ソナチネで挫折した、在りし日の吉田パンダにとっては憧れのピアノ。うむ、こう来たか。やはりベーゼンは低音の響きが違うな、、←誰だよ。練習室は1時間60ユーロで借りられるということなので、ウィーンでベーゼンドルファー体験したい方は、ぜひ予約してみてください。
Bösendorferstraße 12, Musikverein (Entrance Canovagasse 4), 1010 Wien
tel:+43 (0) 1 504 665 13 10
営)10:00~18:00
休)土、日
www.boesendorfer.com/en/vienna/salon
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お昼はオペラ座近くのオーストリア料理店「プラフッタ・ガストハウス・ツァ・オーパー(Plachuttas Gasthaus zur Oper)」で、大好きなオーストリア版ポトフを。皇帝もお気に入りメニューだったという「ターフェルシュピッツ(牛モモ肉と野菜の煮込み)」。ウィーンに来るとつい食べたくなり、毎日でも食べられます。有名店ですが、食べるならやはりここ「プラフッタ〜」がおすすめです。自分で作りたいのでレシピも調べてみました。オーストリア政府観光局公式サイトにもあったので、ご参考にどうぞ。ああ、お腹が空いてきた、、。
Walfischgasse 5-7, 1010 Wien
tel:+43 (0) 1 51 222 51
営)11:00〜23:15L.O.
無休
www.plachutta.at
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夜までちょっと休憩したら、正装してウィーン国立オペラ座(Wiener Staatsoper)へ参りましょう。オペラ座の夜景なら、アルベルティーナ美術館のテラスがダントツおすすめです。映画『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』(1995年)のロケ地としても有名。夜明けまでウィーンの街を歩いた後、明け方にここでイーサン・ホークがテラスに腰掛けてジュリー・デルピーと向かい合い、「まるで夢の中にいるような、不思議な気分だよ」と話すシーン。そう、ここは夢の中なんです。永遠に醒めない夢の続きは、オペラ座で。そろそろ開演時間。
奇しくも今日の演目はベンジャミン・ブリテンの『真夏の夜の夢』。1962年以来、57年ぶりのプレミア公演だそう。
帝都の威信をかけて発足した歌劇場だけに、それこそ夢見るような豪華さ。
上映中は手元の小さなスクリーンで字幕が見られるので、助かります。
休憩中はバーでシャンパンを。
妖精が惚れ薬を飲ませる相手を間違えて、、というドタバタ喜劇は、ストーリーもわかりやすくて楽しめます。妖精役の、空でも飛びそうな身体能力に見とれている間にカーテンコール。いやー、ほんとに一瞬の夢のような舞台だったなあ←寝てたんじゃないの疑惑。
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そしてウィーンといえば、舞台が跳ねた後のラーメン!じゃなかったソーセージ。オペラ座裏手にある屋台「ビッツィンガー(Bitzinger)」で、一杯ひっかけて帰りましょう。
メニューがよくわからない場合は、必殺指差し会話で行きましょう。大丈夫、コミュニケーションは気持ちです←ソーセージ頼むだけだからね。
無事ソーセージ&ビールをゲット。今日もおつかれさまでした!乾杯! ちなみにこのスタンドはオペラ・バレエ関係者の行きつけになっているので、運がよければお目当てのスターに会えるかも。次回はハイリゲンシュタットにあるベートーヴェン・ミュージアムとホイリゲ(ワイン酒場)を訪ねます。ウィーンはワインもおいしい街。どうぞお楽しみに。
Albertinaplatz 1, 1010 Wien
tel:+43 (0) 664 88 62 24 28
営)8:00~翌4:00
無休
www.bitzinger-wien.at
※日本から電話をかける場合、オーストリアの国番号43の後、市外局番の最初の0を取ります。オーストリア国内では掲載どおり、かけてください。
※掲載店の営業時間、定休日、商品の価格などは取材時と異なる場合もありますので、ご了承ください。
※ウィーンまではオーストリア航空の成田発直行便で約12時間。(2020年は3月14日から運航開始)
オーストリア航空
www.austrian.com
●取材協力:ウィーン市観光局
www.wien.info/ja
photos et texte : PANDA YOSHIDA
写真家。長年住んだパリを離れ、現在フランスはノルマンディー地方にて、犬猫ハリネズミと暮らしている。庭づくりは挫折中。木漏れ日とワインが好きで夢想家、趣味はピアノ。著書に『いぬパリ』(CCCメディアハウス刊)がある。instagramは@taisukeyoshida