新しいアートの楽しみ方 直島から足を延ばして小豆島へ! 瀬戸内国際芸術祭が開催中。
Travel 2022.09.11
直島まで訪れたなら、瀬戸内国際芸術祭開催中の小豆島へ立ち寄らなくちゃ! 小豆島は、芸術祭開催中の島の中でいちばん規模も大きく、アートの展示が多い。利便性もいいから、都会からの移住者が手がける、素敵な店など見どころもたっぷり。
ヒトクサヤドカリ
尾身大輔
廃屋を貝殻に見立てた木彫りのヤドカリ。
今年の新作の中でも、島景色と調和したユニークな作品。手がけたのは、民俗信仰をもとに空想上のモチーフを彫刻作品として制作する若手アーティスト、尾身大輔。廃屋を貝殻に見立てて造られた巨大なヤドカリの彫刻は、遠くから穏やかな瀬戸内海の景色とともに眺め、近くで力強い木彫りの迫力を体感したい。この地の人たちが、海とともに生きてきた歴史まで表現する。
香川県小豆郡小豆島町神浦甲717
屋外展示作品
無休 無料
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醤の郷現代美術館
現代アートのコレクションに目を見張る。
ジョルジュ・ギャラリーを手がけたオーナーが、約100年前の建築を現代美術館に生まれ変わらせた。植松奎二『見えない軸-距離と角度』(写真上)などオリジナル作品や若手アーティストの壁画、小豆島に由縁ある作品のほか、クリスチャン・ボルタンスキー、ニキ・ド・サンファル、ロイ・リキテンスタイン、荒川修作など、錚々たるアーティストの作品を収蔵。個人所有とは思えない規模感の現代アート収集に目を見張る。
香川県小豆郡小豆島町馬木36-2
開)10:00~17:00
休)月~水 ※会期中は無休
料:一般¥1,500
※パスポート・デイチケット対象外
www.mocahishio.com
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ゼロ
ワン・ウェンチー
島民に愛される、巨大な竹の建築空間。
棚田の中でひと際目を惹く、巨大な竹で制作中の物体(写真上)。台湾のワン・ウェンチー(写真下)は、2010年の第1回瀬戸内芸術祭から毎回この場所で作品を発表。5回目となる今回もコロナ禍での来島が叶い、夏会期に向けて制作中だ。約4000本の竹を使って作るのは直径約15mの球体。「生き方が見直されるいま、原点に立ち返ってもう一度出発するという意味を込めている」と話す。自身と向き合うスピリチュアルな空間になる予定。
香川県小豆郡小豆島町中山
開)9:30~17:00
不定休
料:一般¥300
※パスポート、デイチケットのない場合
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空の玉/寒霞渓
青木野枝
自然に溶け込んだ、球体の見晴らし台へ。
工業用の鉄板を円に切り出して繋ぎ合わせた、空間彫刻を特徴とする青木野枝。2010年に豊島で作品を制作しているが、今回は小豆島の大渓谷と瀬戸内海を一望できる寒霞渓にて新作を発表した。山の上に設置された直径約4mの鉄の球体の見晴らし台で、音や風を遮断することなく、どの円からも風景を切り取れる。鉄が経年変化で錆色になり、自然に溶け込んでいく様子を堪能したい。
香川県小豆島町
屋外展示作品 無休 見学無料
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ダイダラウルトラボウ
伊東敏光+広島市立大学芸術学部有志
自然と人間社会を繋ぐ、巨大な人形。
さまざまな角度から風景を立体表現し、風景彫刻を制作する伊東敏光。小高い丘から海を眺めているように設置された巨大な人形の彫刻は、宇宙や自然界と人間社会を繋ぐアイコン。工事で廃棄された神浦地区の小路の石垣、厳島神社の神事に使われていた伝馬船、瀬戸内海で集めた流木など、廃棄物を組み合わせて制作されている。自然や環境、人間中心主義の在り方について見つめ直す機会に。
香川県小豆郡小豆島町神浦甲274
屋外展示作品
無休 見学無料
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ともだち
スタシス・エイドリゲヴィチウス
「迷路のまち」に登場した、寡黙な顔のオブジェ。
リトアニア出身、ポーランドを代表するアーティスト。絵画、絵本、ポスター、彫刻、舞台美術など、多彩な媒体で独自の世界観を表現してきたが、共通するのは顔が潜んでいること。昔、島に上陸した海賊を惑わせるために作られたという「迷路のまち」の一角に、顔がモチーフの約2mのオブジェ2体を設置した。寡黙な表情のオブジェだが、ひとりがもうひとりを助けているようにも見えてくる。
香川県小豆郡土庄町甲478
屋外展示作品
無休 見学無料
● 8/5~9/4、9/29~11/6
●直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島ほか
料:一般¥5,000(3シーズンパスポート)、¥4,200(1シーズンパスポート)、¥1,800(1デイチケット)、¥3,200(2デイチケット)
tel:087-813-2244(瀬戸内国際芸術祭総合案内所)
https://setouchi-artfest.jp
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Drop in!
シージョン|ギャラリー併設、海辺の洗練レストラン。
昨年オープンしたレストラン&ギャラリー。海沿いの素麺工場を改装し、オリエンタルなムード漂う洗練された空間に。穏やかな海風が吹く開放的なテラスも心地よい。料理は、小豆島の老舗ヤマロク醤油の醸造工程で残ったもろみに漬けた「しょうゆチキン」など、地元食材とサステナビリティにこだわって展開。2階ギャラリーでは、ニューヨーク在住アーティスト野村在の小豆島をテーマにした展示を開催中。
素麺工場の面影を残しながら、建築家オーナーの株式会社hdL塚島健がデザインを手がけた。4mもの小豆島産無垢石のカウンターなど、自然素材を多用する。
定番人気の「しょうゆチキン」¥1,200。カボチャやスモモなど季節のデザートも提供。
香川県小豆郡小豆島町安田甲144-237
tel:0879-62-9394
営)11:30〜13:30L.O.、15:00~16:30 L.O.
※ディナー(18:00~)は予約制
不定休 ※インスタグラムにて告知
https://seasion.jp
うすけはれ|山の中で、丁寧な手仕事に触れる時間。
小豆島の山中で、ゆったりとした時間が流れるギャラリーショップ。日本のうつわ作家からリトアニアのアーティストまで、オーナー夫婦の審美眼に適った丁寧なものたちをセレクトする。服は着心地がよく、長く着続けられることを重視しているそう。店の一角では、コーヒーや紅茶、チーズケーキなどのスイーツも提供する。日常から離れ、自然の音に耳を澄ませながら、ほっとひと息ついてみたい。
オーナー夫妻自ら改装したセンスのよい空間。
共感覚を持つ茶師が作った「うすけはれの香りの紅茶」¥450、「チーズケーキ」¥350。広島の人気陶芸家、吉野瞬のカップにて提供。鮮やかなうつわが一堂に並ぶポップアップ開催中。
*「フィガロジャポン」2022年9月号より抜粋
●掲載施設の開館・営業時間、閉館・定休日、価格などは、取材時から変更になる可能性があります。
●宿泊施設の場合、別途サービス料や宿泊税、入湯税などがかかる場合があります。
●取材・撮影時はコロナ対策に十分配慮し、少人数で行っております。また、写真でマスクを外している場合がありますが、通常スタッフはマスク着用のうえ感染対策を行っております。
photography: Sodai Yokoyama