ART クリエイターが薦める、行くべきソウルのアートスポット。
Travel 2023.09.27
国際的なアートフェアの開催や欧米のギャラリーがソウルへ進出するなど、何かとホットな話題が多い韓国のアートシーン。クリエイターお墨付きの場所を訪れて、現在のアートの風を感じよう。
現代作家の感性を刺激する最高峰の抽象画家。
Whanki Museum
ファンギ ミスルグァン
환기미술관
アメリカに渡った1963年から他界した1974年にいたる時期は、山、月、川、木などの自然風景を純粋な点と線で描き、叙情世界を深めた。
写真家のダソムは、1930年代に先駆的な幾何学的抽象画を制作し、現在も多くの作家に影響を与え続ける画家、金煥基(キム・ファンギ)の財団が運営する美術館を薦めてくれた。「私がいちばん好きな韓国人作家であるキム・ファンギと妻のキム・ヒャンアンの絵を鑑賞すると、彼らの人生がどんなものだったか感じられます。複雑なソウルの景色に疲れを感じた時、訪れたくなる場所です」(ダソム)
日本の大学に留学経験があるファンギ。美術館にはさまざまな影響下にあった韓国の近代美術史を知る手がかりも。
地形に調和する建築も見どころ。年に2~3回、若手アーティストによる企画展も開催。
推薦人
ハン・ダソム/Dasom Han
クリエイティブディレクター、写真家
アーティストのアルバムアートワークやファッションブランドのビジュアルなど、音楽とファッションの領域で活動する。渋谷PARCO、PERVERZE、jichoiの2023 SSビジュアルも撮影。@dasomhahn
63 Jahamun-ro, 40-gil, Jongno-gu
tel:02-391-7701
Ⓜ️景福(327)3番出口よりバスと徒歩で15分
開)10:00~17:00最終入場
休)月
料:一般15,000ウォン
@whankimuseum
http://whankimuseum.org
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若手作家を広範囲に紹介する新鋭ギャラリー。
Cylinder Two
シルリンドトゥ
실린더투
無機質な展示空間に異彩を放つ、イ・ユソンの彫刻とイ・ウンシルのドローイング。
「オルタナティブスペースと商業ギャラリーの中間点に位置し、現在の韓国アートシーンを語るのに重要な座標のひとつ」というソヨンの言葉通り、世界的なアートフェア、フリーズへの出展と若手作家の企画展を並行し、現代アートのハードルを低くする試みに成功しているギャラリー。今年3月には龍山に2拠点めとなるシルリンドトゥをオープンし、アイデンティティをさらに確立した。
水道設備用パイプを使用したチェ・ゴウンの『Gloria』は残虐性と優雅さを同一線上で表現した意欲作。(現在終了)
推薦人
チェ・ソヨン/Seoyeon Choi
Cava代表
オンラインとオフラインショールームで作家作品やグッズを紹介するプラットフォーム、カヴァの仕掛け人。今夏タトゥーアーティストとともにアパレルコレクションRainy Day Editionを発表する。@cava.life
#7 24 Hangang-daero, 48-gil, Yongsan-gu
tel:010-8777-8570
Ⓜ️三角地(428、628)3番出口
開)13:00~18:30最終入場
休)月~水 無料
@cylinder_________
www.cylinderseoul.com
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激動の時代を生きた、彫刻家の哲学に触れる。
城北区立崔満麟美術館
ソンブックリッ チェ・マンリンミスルグァン
성북구립 최만린미술관
ゆったりした住空間では、期間限定の展示に出合えることも。光でリズムを奏でた『A Place Between Rhythm and Rhythm』(現在終了)の展示も映える。
韓国を代表する彫刻家の崔満麟(チェ・マンリン)が30年間居住兼アトリエとして使用した建物を城北区が買い取り、城北区立美術館の分館として2019年に開館。時代別の作品だけでなく、木造の天井や階段など、韓国の洋風建築も見られる。「美術館には崔満麟の歴史と痕跡が残っているので、空間の美しさに浸りながら作家の精神にも触れられます」とミギョンが語るように、インスピレーションや癒やしを求めて訪れる人が多い。
煉瓦造りの中庭では作品と四季折々の植物の融合が楽しめる。
生前のチェ・マンリン。地域住民との距離が近い美術館を機能させるため、多様なアートプログラムを企画している。
『イヴ』は朝鮮戦争直後の1958年に制作された初期作品。戦争を生き延びた人々の姿を表現。
推薦人
イ・ミギョン/Mikyung Lee
Amomento
クリエイティブディレクター
アパレル業界でキャリアを積み、2016年に景福宮の近くにセレクトショップ、アモーメントをオープン。ミニマルで普遍性の高いショップのオリジナルブランドも展開する。@a_moment_o
23 Solsaem-ro, 7-gil, Seongbuk-gu
tel:02-6952-5016
Ⓜ️北漢山輔国門(S118)2番出口
開)10:00~18:00
休)日、月、祝 ※現在休館中、10月中旬頃再オープン
料:展示により異なる
@sma.choimanlinmuseum
https://sma.sbculture.or.kr/cml/index.do
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北漢山のふもとに広がる、ミニマルなアート空間。
Gallery2
ゲロリトゥ
갤러리 2
済州島出身のアーティスト、パク・ジュエの『Rising in the Voids』を開催中(展示終了)。色彩が流れ込んでくるような繊細かつダイナミックな作品。
「2007年の開館以来、韓国の若い作家を着実に紹介してきたギャラリー。その優れた眼力にいつも信頼を寄せている」。ワンがそう評するのは、若手から中堅まで作家とのパートナーシップを重視したキュレーションを得意とするゲロリトゥ。アクセスは景福宮駅付近からタクシーで約10分。ビルがひしめき合う街並みから離れ、いち早く注目すべき作家に出会える。
幾何学的な図形と個人の体験から生まれたモチーフが共存するチョン・ヒョンソンの『From Fig to Cone』(展示終了)
平倉洞はソウル屈指の高級住宅街。周辺にギャラリーやカフェが点在する。
推薦人
ジョ・ワン/Wan Cho
Post Poetics代表
アートブックの販売や流通、グラフィックデザイン、アートディレクションなど、さまざまなプロジェクトを手がけるクリエイティブスタジオ、ポストポエティックス。漢南洞のブックストアは独立書店の先駆的存在。@postpoetics
204 Pyeongchang-gil, Jongnogu
tel:02-3448-2112
Ⓜ️景福宮(327)3番出口
開)10:00~18:00最終入場
休)日、月 無料
@gallery2
www.gallery2.co.kr
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[ アート好き有名人はここがお気に入り ]
RM(BTS)/アーティスト
アート鑑賞でインスピレーションと安らぎを得るというBTSのRM。最近ではアートブックの制作を支援するため国立現代美術館(MMCA)に1億ウォンを寄付。
悩むよりGo! 日帰りできる郊外型美術館。
湖巌美術館
ホアムミスルグァン
호암미술관
ソウルの南約40kmの京畿道龍仁市に位置する緑豊かなエリア。韓国ドラマやコンテンツの撮影場所として知られるアミューズメント施設エバーランドとハシゴできる。
RMがインスタに投稿した『a dot sky kim whanki』(展示終了)が開催されているのは、ソウルから車で約1時間の湖巌美術館。サムスングループの創設者が収集した骨董品やルイーズ・ブルジョワの巨大な彫刻作品など約1万5千点の展示数を誇る。造園家のチョン・ヨンソンが設計した庭園も魅力。
リノベーションを経て再オープン。今後はソウルのリウム美術館と運営を連携する。
38 Everland-ro, 562 beon-gil, Pogok-eup, Cheoin-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do
tel:031-320-1801
Ⓜ️前垈・エバーランド(Y124)3番出口 シャトルバスで13分
開)10:00~17:00最終入場
休)月
料:一般14,000ウォン
@leeummuseumofart
www.leeumhoam.org
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ノ・ユンソ/女優
ドラマ「私たちのブルース」で知名度をあげたノ・ユンソは、梨花女子大学造形芸術学部の卒業生。博物館では熱心に鑑賞したはず。
街に開かれた博物館で、韓国美術の歩みを知る。
梨花女子大学博物館
イファヨジャテハッキョパンムルグァン
이화여자대학교박물관
主な所蔵品は陶磁器、木工、書画、金属、服飾など考古美術品で、展示室には500点余りを選定して公開。陶磁研究専門機関として特に窯跡の発掘や研究にも注力する。博物館に隣接する、イファキャンパスコンプレックスはフランス人建築家のドミニク・ペローの設計。昨年、ディオールがショーを開催した。
52 Ewhayeodae-gil, Seodaemun-gu
tel:02-3277-3152
Ⓜ️梨大(241)3番出口
開)9:30~17:00(月~金)、毎月最後の水曜は~19:00
休)土、日、祝 無料
http://museum.ewha.ac.kr
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スルギ(Red Velvet)/アーティスト
キュートな私服や自作のアートワークをインスタに投稿して楽しませてくれるスルギ。そのセンスは日々のカルチャーインプットの賜物なのかも。
古典から現代作品まで幅広い芸術に触れる。
Seoul Arts Center
イェスレジョンダン
예술의 전당
オペラハウスや音楽堂など、芸術に関する施設が集合するイェスレジョンダンは毎日多彩な催しが目白押し。スルギが鑑賞した展示はイェスレジョンダン内のハンガラム美術館で開かれたスロヴァキア人写真家マーリア・シュヴァルボヴァーのソロエキシビション。パステルカラーの色彩と大胆な構図が美しい『Swimming Pool』がお気に入りの様子。
2406 Nambusunhwan-ro, Seocho-gu
tel:02-1668-1352
Ⓜ️南部ターミナル駅(341)5番出口
開)10:00~18:00最終入場
休・料)展示により異なる
@seoul_arts_center
www.sac.or.kr
*「フィガロジャポン」2023年9月号より抜粋
●100ウォン=約11円(2023年9月現在)
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coodination: Ja-Kyung Jung text:Yuka Nakano (Ajimi)