新しくて、おいしいポルト。 ポルトで訪れるべき、地元民が愛する最旬レストラン7選。
Travel 2023.10.06
ポルトガル人が愛してやまないバカリャウ(干し鱈)や牡蠣を使ったシーフード料理、おいしいポルトガルワインに出合える、新しい話題の店を厳選。
Euskalduna Studio
エウシュカルドゥナ・ストゥディオ
鰹節からとった出汁とポルトガル料理のマリアージュ。
2016年にポルト中心部に創業し、昨年末にミシュラン1ツ星を獲得した勢いのある店。シェフのサントスは、スペインのムガリッツやエル・ブジなどの星付きレストランで修業後、世界中のあらゆる国を旅して土地の食材や料理法を学んだ。鹿児島を訪れて以来、鰹節や昆布からとる出汁をベースに、ポルトガルの新鮮なシーフードや旬の野菜を合わせた料理を提供。互いの旨味を最大限に引き出すマリアージュに感動する。12品のコース料理の内容は出されてからのお楽しみ。メニューは週変わりで、50回以上通うリピーターもいるほど。1カ月半先まで予約がいっぱいだと微笑むシェフの気さくな人柄も、人気の理由だ。
写真の料理はすべて12品のコース145ユーロ、ワインはすべてペアリングコース85ユーロから。 昆布と鰹節からとった出汁がほっとする味わいのカンパチと亀の手のグリル「Amberjack &Goose Barnacles」、酸味とミネラル感のある白ワイン「V.V.」
海藻スピルニナを用いてさくっと軽やかな食感に仕上げた牡蠣のミニタルト「Seaweed Tartlet」。カップからは牡蠣と海水を含んだソースがあふれ、海の香りが口の中に広がる。後からスイートチリとオニオン、パセリが辛味をもたらす。フレッシュな酸味が利いたスパークリングワイン「Ninfa」とともに。
イカ、白ワイン、野菜で出汁をとったスープ「Squid & Nage」。イカスミを練り込んだ薄い煎餅を割ってスープに浸して食べる。ウッディなアロマのリスボン地域の白ワイン「Quinta de San Michel」
店内奥。日本のカウンター文化に影響を受けたという10名掛けのカウンター席。仄暗いモダンな雰囲気の中、シェフやソムリエとの会話を楽しんで。
「何が出てくるかは秘密! 絶品コース料理を味わいに来て」
シェフのヴァスコ・コエーリョ・サントス。ポルトで日本食店やパン屋、鮮魚店なども手がける。
tel:935-335-301
Ⓜ︎24 DE AGOSTO
営)19:30〜20:30L.O.
休)日、月
要予約
http://euskaldunastudio.pt
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Escama
エスカーマ
料理もインテリアも海の魅力いっぱいの専門店。
海鮮好きならぜひ訪れてほしいのがこちら。海沿いには多いものの、ポルトの中心部では初のシーフード専門レストランとして注目を集めている。マトジーニョスにあるロタという魚市場で漁師から直接譲り受けた新鮮な海鮮や、ドウロ地域のローカル生産者から取り寄せた野菜を使用。魚介料理に合う軽めのワインを豊富に揃えていて、生牡蠣とミネラルな白ワインのペアリングは、一度体感したら忘れられない口福感。インテリアや食器にもマリンテイストが生かされているが、カジュアルになりすぎずシックでハイセンスなところも◎。
スズキ、アンコウ、プリガードと3種の魚の骨や皮で出汁をとったトマトスープ、燻製ウナギとショートパスタ入り「Fish Soup」9ユーロ、フルーティで軽やかな白ワイン「Pormenor」ボトル27ユーロ
アヴェイロ運河で養殖された、強い海の味わいが特徴の生牡蠣3ピース「Natural Oysters」7ユーロ、白ワイン「Xisto Ilimitado」
ポルトガル人の大好物、スズキを用いたムニエルと、アサリ出汁ベースに白ワインやガーリック、コリアンダー、レモンを利かせたブリャオンパト風リゾット「Char-grilled Seabass」28ユーロ
ドウロ地域のブドウをブレンドしたフレッシュでミネラル感のある白ワイン「Xisto Ilimitado」ボトル30ユーロ
2階建ての店内で、1階奥がカウンター席。あたたかい照明が灯る落ち着いた空間で、リラックスして食事を楽しめる。
「スープにパンを入れて味わう「Ensopado de Peixe 」がおすすめ」
オーナーのヴァスコ・アマロ。ホテルのマネージメントや人気飲食店を多く立ち上げてきた。「魚の鱗」という意味を持つエスカーマを店名に掲げる。高品質で旬の素材にこだわり、年2回メニューを更新。
tel:913-595-551
Ⓜ︎SÃO BENTO
営)12:30〜15:00L.O.、19:00〜22:30L.O.
休)12/24、25
要予約
www.escamaporto.com
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Cantinho do Avillez - Porto
カンティーニョ・ド・アヴィレシュ-ポルト
スターシェフが手がけた本格ベジタリアンメニュー。
地元っ子で大盛況のこの人気店は、昨今のベジタリアンメニューのブームを受けて、2年前から5つのメニューを導入。3つのレストランでミシュランスターを持つ有名シェフ、アヴィレシュが手がけている点も話題になっている。地元の食材を優先するが、品質のよい野菜があれば遠方からも取り寄せる。人気メニューのグリーンカレーもインゲンフライも、野菜そのものの甘味がいっぱい。特にインゲンは、素材本来の甘さ、高温でサクッと揚げた衣、酸っぱいタルタルソースの組み合わせが絶妙だ。スターシェフが新たに挑戦した新メニュー、ベジタリアンでなくても味わう価値あり!
ココナッツミルクを含むまろやかな味わいのヒヨコ豆とシーズン野菜のグリーンカレー、タイライス付き「Legumes Salteadoscom Gräo de Bico,Molho de Caril Verde e Ervas Frescas」18.55ユーロ、年月を経た木のブドウを用いてシトラスアロマを持たせた白ワイン「Luis Pato Vinhas Velhas」グラス8ユーロ
フランボワーズとシャーベットを添えて現代風にアレンジした修道院発の伝統的なアーモンドケーキ「Toucinho-do-Céu com Sorvete de Framboesa」7ユーロ、木樽フレーバーが強くナッツのアロマを感じるポートワイン「Villa Oeiras Superior,Carcavelos」グラス7.50ユーロ
モロッコインゲン豆の天ぷら、タルタルソース添え「Os Nossos Peixinhos daHorta」6.50ユーロ、2種のブドウを用いたフレッシュな白ワイン「JA-Projecto José Avillez」グラス6.50ユーロ
ポルトのメイン通り沿いに2014年にオープン。ウッドを基調としたアットホームで居心地のいい店内。
「いま、ドバイやマカオの新店オープンに向け奮闘中!」
シェフのジョゼ・アヴィレシュ。彼が手がけるリスボンのファインダイニング、ベルカントは、スペイン・ポルトガルでベジタリアンレストランとして初めてのミシュランスターを獲得。
tel:223-227-879
Ⓜ︎SÃO BENTO
営)12:30〜23:30L.O.
休)12/24のディナー、12/25
要予約
www.cantinhodoavillez.pt
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Adega São Nicolau
アデガ・サン・ニコラウ
老舗で家庭的なポルトガル料理を食べ尽くす。
伝統的なポルトガル料理とワインを気軽に手軽な価格で味わえることから、地元の人たちが足繁く通う店。もともとは1938年から続く社交クラブのサロンで、27年前にワインレストランとしてリニューアル。素材の味を生かした家庭的なビーフシチューやリゾットなどの煮込み料理は、日本でアレンジされた「洋食」の本場を訪れたような味わいで、懐かしさを感じる。ソムリエのオリヴェイラは、環境に優しいビオワインを新たに取り入れたり、60種類以上あるポルトガル産ワインで季節に合わせたりしてワインリストを作成。郷土愛あふれるホスピタリティに和む。
子牛のテールと野菜を弱火で長時間煮込んだ濃厚ビーフシチュー「Rabo de Vitela à Nossa Moda」17.50 ユーロ。柔らかく煮込まれた肉とゼラチンはコラーゲンたっぷり! トウリガ・ナシオナルを用いたフルボディで重厚感のある赤ワイン「Carm Reserra Casa Agreícola Redoredo Madeira」750ml 24ユーロ。ビーフシチューに合わせるならコレ。
イワシのフライのオリーブ添えとトマトの甘味が利いたおじや「Costeleta Sardinha Ci Arroz Tomate」14.50ユーロ。脂っこくなく軽い食感。
茹でたタラにビーンズやオニオン、赤ピーマン、オリーブをミックスしたさっぱり味のサラダ「Salada de Bacalhau」6ユーロ
レモンの酸味と、ダン地域のトップクラスのブドウで造られたフレッシュな白ワイン「Encruzado2021」750ml 24ユーロ。上写真のイワシやサラダとも相性がいい。
樽の中をイメージしてデザインされた店内。ワインの貯蔵庫を意味する「Adega」の店名にふさわしい。ポルトガル名産であことにちなんで、今年壁材をコルクにしてリニューアル。
「ドウロ川に近い路地沿いの店はテラス席もあるから、気軽に呑みにきて!」
今年ソムリエ資格を取得したジョアン・オリヴェイラ。
tel:222-008-232
Ⓜ︎SÃO BENTO
営)12:00〜22:30L.O.
休)日、12/25、1/1、復活祭
室内席のみ予約可
@adegasnicolau
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Café Ceuta
カフェ・セウタ
政治家やアーティストも訪れた歴史ある空間。
1953年創業の老舗は政治家やアーティストのサロンのようなカフェ。映画『ポルト』のロケ地にもなった。2019年にカストロ夫婦が買取り、ステンドグラスや大理石など美しい内装は残しつつリニューアル。メニューはすべて一新し、塩ダラやタコを取り入れた定番料理や日替わりメニューを提案。バカリャウの塩抜きのスキルでシェフの腕がわかる、とポルトガルではよくいわれるが、グリルの塩加減が絶妙で店主の腕前を物語る。妻エルサの実家に伝わる味を再現した家庭的デザートも絶品だ。ワインは90種あり、ビールなどのアルコールも揃うのでバーとしても利用したい。
ポートワインの樽を使って燻製したサーモン、ハニーマスタード添え「Homemade Smoked Salmon with Dill Mastard」14ユーロ、生ビールグラス2.50ユーロ
「Expresso」1ユーロ。ライムの爽やかな香りが口いっぱいに広がるライムタルト「Tarte de Lima」3.50ユーロ。卵に砂糖とバターを混ぜたクリームとシュガー入りコーヒー浸けビスケット、生クリームが層になったケーキ「Bolo de Bolacha」4ユーロ。隠し味に塩を利かせた甘いキャラメルクリームタルト「Tarte de Caramelo」3.50ユーロ
塩漬けダラのグリル「Baked Cod」15ユーロ。オリーブオイルに4時間漬け込んだ野菜を添えて。
奥にカウンター席がある、オープンな雰囲気の店内。水曜日の夜、地下1階でダンスや演劇などのカルチャーイベントを行う。
「客とのお喋りが好きなんだ!気軽に立ち寄ってね」
15歳からの幼馴染という仲睦まじいカストロ夫婦。夫ヌノが食事担当、妻エルサはデザート担当。
tel:967-405-669
Ⓜ︎ALIADOS
営)9:30〜22:30L.O.
休)火、12/25、1/1 ※12/24ディナーも休
要予約
@cafeceuta
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Mind the Glass
マインド・ザ・グラス
ワイン好き必訪の、ビストロ&ワインバー。
ヨーロッパを中心に600種類のワインが揃うビストロ&ワインバーは、ポルトガル有数のワイン卸し会社ヴィナルダにより昨年オープン。フードメニューの鉄則は「ワインとの相性のよさ」。マヨネーズを使ったマグロのタルタルからサンドイッチまで、カジュアルでお酒のつまみに最適な料理が揃う。ワインは全種類バイ・ザ・グラスで注文可能で、ボトルも販売。宅配サービスも行っている。ワイン以外に、世界中から集めたブランデー、ウォッカ、ラムなども用意。毎月第1土曜はテイスティングやワークショップも開催する。お酒好きが、食べ、飲み、学べる、楽しいグルメスポットだ。
牛骨と野菜でとった出汁のリゾット「Malandrinho de Vitela e Hortelã」17ユーロ。赤ワインで約8時間じっくり煮込んだ子牛の頬肉、ミント、ニンジン、チョリソー入り。赤土で育ったブドウをブレンドした力強さのある赤ワイン「Terras de Mogadouro Reserva Tinto」グラス8.90ユーロ
聖ジョアン祭に食べる、オリーブ入りのパンにローストイワシと赤ピーマン、赤ピーマンマヨネーズを挟んだサンドウィッチ「Chapata de Azeitona Filetes de Sardinha ePimentos Assados」14ユーロ
酸味が強くフルーティな白ワイン「Cazas Novas Avesso Branco」(グラス4.60ユーロ)は上写真のサンドウィッチと。
大西洋マグロの胡麻醤油タルタル、サツマイモチップスとピクルス添え「Tártaro de Atum Rabilho, Pickles de Pepino e Chips de Batata Doce」16ユーロ
ミネラル感が高く爽やかなスパークリングワイン「Casa de Santar Vinha dos Amores Branco」グラス(13.40 ユーロ)は上写真のマグロに合わせて。
店内奥の棚にはボトルがずらり。窓から見える緑が気持ちいい。
「ワインとポルトガル料理のペアリングなら僕らにお任せ!」
祖母が作る豆入りシチューが大好物というシェフ、ルイス・マルティン(左)と、ダン地域の白ワインが好みというソムリエのエンリケ・サンパオ(右)
tel:913-093-932
Ⓜ︎ALIADOS
営)16:00~23:00L.O(. 月〜水、日)16:00~23:30L.O(. 木~土)
休)12/24、25
要予約
www.mindtheglass.pt/pt
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Gito
ジト
ナチュールワインを、心ゆくまで堪能。
夕方からワイン片手にアペロを楽しむ地元の人で賑わい始めるのは、タイルの外観が小粋なナチュールワイン専門店。ヨーロッパを中心とした8カ国、全147種類のナチュールとおつまみメニューが揃う。塩味の利いたサラミやチーズの盛り合わせは、素朴な味わいのナチュールとベストマッチ、エンドレスにお酒が進みそうだ。マドリード留学中にその味に目覚めてから、ナチュールワイン一筋のブルーノ。念願だったこのワインバーは今年オープンしたばかり。まるで彼の家のリビングルームにいるかのような居心地のいい店内で、リラックスしながらナチュールに舌鼓を打つのはいかが?
チェダーとゴーダチーズを挟んでブラックペッパーを利かせたサンドウィッチ「Grilled.Cheese」8ユーロ
ワイン左から、リスボン産のドライなロゼワイン「Humus」グラス5ユーロ、熟成させたアーシーな口当たりのイタリア産赤ワイン「Daughter of Madness」グラス5ユーロ、3種のブドウを使ったフレッシュな白ワイン「Flui」グラス5ユーロ。赤ワインには、塩味の利いたサラミの盛り合わせ「Salsichão」(5ユーロ)を。スペインチーズ「Manchego」とフランス産チーズ「Comté」各4ユーロ
テラス席には常連の地元っ子が集う。
洗練された店内には、ナチュールワインのボトルをDIYのようなラフな棚に並べて。ボトルの購入も可能。
「ナチュール初心者にも、ぜひ来てほしいね」
オーナーのブルーノ・ゴウヴェア。ナチュールの製造背景に魅力を感じている。彼のルーツであるブラジルで、小さい・可愛いという意味のジトを店名に。
tel:220-990-496
Ⓜ︎TRINDADE
営)16:00~ 23:30L.O(. 木~土) 17:00~23:30L.O(. 月、日)
休)火、水
@gitowine
●1ユーロ=約158円(2023年10月現在)
●日本から電話をかける場合、ポルトガルの国番号351のあと、掲載表記どおりにダイヤルしてください。ポルトガル国内では掲載表記どおりにダイヤルしてください。
●データ欄のはメトロ、はポルトガル鉄道会社Comboios de Portugalの駅を指します。
●掲載店の営業時間、定休日、商品や料理の価格などは、取材時から変更になる可能性もございます。ご了承ください。
*「フィガロジャポン」2023年11月号より抜粋
photography: Ayumi Shino coordination: Tami Itabashi collaboration: Visit Porto & North of Portugal, Flair Inc.