Tourism New Zealand 地元民に愛される、ニュージーランドの小さなレストラン&カフェ。
Travel 2024.04.19
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地域との繋がりを大切にした個人店が多いニュージーランド。オーナーの思いやこだわりがダイレクトに伝わる店は、地元の人からも愛され、集いの場へと育っていく。首都ウエリントンと最大都市オークランドを旅する中、料理家でソムリエの平野由希子が出合った小さくて素敵な店を紹介!
Wellington
畑への讃歌を料理で表現。|ヒルサイド・キッチン&セラー
"地元産の新鮮な食材を使ったレストラン"を見つけることは、ニュージーランドにおいてはそう難しいことではない。けれども、ヒルサイド・キッチン&セラーで待っているのは、そこから一歩進んだ心地よい食体験。レストランが営む農場で収穫された旬の野菜ありきで、その美しさを生かして組み立てられたモダン・ニュージーランド・キュイジーヌを味わうことができる。
メニューは野菜中心でコースのみ。どのお皿にも食感や味わいの奥行きがあり、驚きが詰まっている。たとえば前菜の「Tomato」は、6〜7種類ものトマトをハーブ、スパイス、コンソメなどで味付けし、タルタルのように仕上げた一品。さまざまな色のジャガイモを重ねた「Potato Fritter」は、外側はカリッと揚がり、中はしっとりほっくり。ポテトフライのジャンクな楽しさを生かしながらも全く新しい姿へと昇華している。メニューを引き立てるうつわもオーナーが作っているというから、ひと皿ひと皿にかける想いの大きさが伝わってくる。
スターターは、自家製のピクルスやチャツネを組み合わせたスナック。酸味と甘味のバランスが食欲を増進させる。
「Tomato」。花や太陽を思わせる盛り付けも美しい。
「Potato Fritter」はジャガイモの間にシーウィードが挟まれ、ナイフを入れると断面が層のように。
ペアリングには、レストランの哲学に共鳴する国内のワイナリーから仕入れたワインをすすめている。「ナチュラルだけど、奇をてらわずにおいしい野菜に寄り添う、クラシックなセレクトがいい」と平野も満喫。ノンアルコールのペアリングも可能で、提供されるのは、レストランで蒸留したり発酵させたりと手をかけて作られたドリンクだ。
ヒルサイド・キッチン&セラーの料理に向けて北島マーティンボロのワイナリー、ビッグ・スカイが手がけたという「Hip Little Sisters Novello 2023」。「イチゴのような果実味。最後にギュッとした苦みがアクセントに」(平野)。ワインはリストからオーダーすることも可能。
前菜からデザートまで、コースの流れが自然体で心地よい。「5年後に来ても10年後に来ても、きっとしっくりくるレストランなんだろうな」と平野が言うように、決して派手ではないけれど確実な食の喜びを楽しめる、クオリティの高いアドレスだ。
カウンター後ろの棚には、漬け込まれたピクルスや果実などが並ぶ。
お店があるのは旧首相公邸の向かい、アクセスは便利だが静かなエリア。
Hillside Kitchen & Celler
241 Tinakori Road, Thorndon, Wellington 6011
営)17:00〜21:00
休)月、火
www.hillsidekitchen.co.nz
●メニューA 105NZドル、メニューB 121NZドル
※ワインペアリング:メニューA 51NZドル、メニューB 68NZドル
ノンアルコールペアリング:メニューA 40NZドル、メニューB 54NZドル
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Auckland
イギリスとフランスの食が出合う場所。|リトル・フレンチ・カフェ
コーヒー文化が盛んなニュージーランドのカフェは、個性さまざま。オークランド中心部から車で約15分、学校や公園が多く、ゆったりした雰囲気のエリアにあるリトル・フレンチ・カフェは、オークランド在住者の口コミで訪れた店。フランス出身のパティシエ、ベン・シェヴルが、フレンチの技法でさまざまな食材を用いたパンやお菓子を提供している。
パティシエのベン・シェヴル。厨房の中だけでなく店内にも目を配り、お客さんとの会話を楽しむ。
クロワッサンやパン・オ・ショコラ、バゲットサンドなど、ショーケースにはフランスらしさを感じるパンが並ぶ。その中で平野が注目したのは、イギリス伝統のミートパイにフランス風牛肉の赤ワイン煮ブフ・プルギニヨンを詰めた一品。「イギリスの食文化が背景にあるニュージーランドと、シェフのバックグラウンドであるフランスの食文化の融合、このカフェならではの提案ですね!」とオーダー。
「Beef Bourguignon」(9.5NZドル)。さくさくのパイ生地と濃厚なブフ・プルギニヨンの組み合わせはワインにも合いそうだけど、ニュージーランドらしくフラットホワイト(4.5NZドル)とともに。
イギリスでイースター時期に食べる伝統的なパン、ホットクロスバンズも並んでいた。1ピース 4NZドル
カフェスペースを併設した店にはひっきりなしにお客さんが訪れ、コーヒーを飲みながらおしゃべりを楽しんだり、ひとりの時間を過ごしたり......。学生、家族連れ、老夫婦と、世代や性別もさまざま。この客層のミックス感が、地元に愛された店であることを物語っている。
ショーケース横ではお花やうつわなども販売。
Little French Café
756 New North Road, Mount Albert, Auckland 1025
tel: 27-357-1394
営)7:00〜16:00
無休
https://littlefrenchpastry.co.nz
●1NZドル=約90円(2024年4月現在)
●日本から電話をかける場合、ニュージーランドの番号64の後、市外局番の0をとってダイヤル。ニュージーランド国内では掲載表記どおりにダイヤルしてください。
●掲載店の営業時間、定休日、商品や料理の価格などは、取材時から変更になる場合があります。ご了承ください。
photography: Aya Kawachi styling: Chiaki Furuta (Juri Ueno, Sho Wada) hair: Shotaro (Sense of Humour / Juri Ueno, Sho Wada) makeup: Sada Ito (Sense of Humour / Juri Ueno)