Tourism and Events Queensland 週末ヴァカンスでゴールドコースト。森と海で地球の息吹をチャージする。

Travel 2024.07.13

南半球の楽園、オーストラリアのゴールドコースト。サーファーのためのビーチリゾートとして知られる地には、それだけではない魅力が待っていた。運河の入りくむ風光明媚な地形と、果てしなく続く黄金のビーチ。内陸には太古の昔から守られてきた艶やかな熱帯雨林が存在し、先住民アボリジナルピープルの豊かな文化が根付く。そんなゴールドコーストで、大自然に抱かれる週末の旅はいかが?

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アパートメントスタイルのホテル、メリトン・スイーツ・サーファーズパラダイスの74階客室から見る絶景。

"幸福度が高い"都市、ゴールドコースト。

オーストラリアは6つの州と2つのテリトリー(準州)に分かれていて、全人口約2700万人のうちほとんどは東海岸に集中している。島の北東に位置するクイーンズランド州は、年間の平均晴天率が300日以上、日中の平均気温が24℃という温暖な気候に恵まれることから"サンシャインステート"としても知られるリゾート地。ユネスコ世界遺産のグレートバリアリーフもこの州にある。クイーンズランド州は日本の約5倍の面積をもち、人口は約516万人。

もとよりゴールドコーストは州都ブリスベンに住む人たちの保養地としての役割も兼ねているそうで、とくにアフターコロナはシドニーやメルボルンからこの地に移り住む人も増えたという。オーストラリアでももっとも"幸福度が高い"といわれるゴールドコーストの中心街サーファーズパラダイスのコンドミニアムに滞在して、知られざる穴場スポットを巡った。

先住民アボリジナルの暮らしや文化に触れる。

到着して真っ先に訪れたのが、アボリジナルの文化に触れられる「ジェルガル・アボリジナル・カルチャー・センター」。英国の海洋探検家ジェームス・クックがオーストラリア大陸を発見する以前、このエリアはアボリジナルの居住地域だったそう。その一部がバーレーヘッズ国立公園内のジェルガル山の森に残されており、海に面した熱帯雨林の中を散策できる。欧米人の入植以前は250種以上あったアボリジナル言語も、現在では120種に減少し、ほとんどが消滅しつつある。その中で、ゴールドコーストのユンガベ語はまだ残っており、それを話すアボリジナルの子孫キャメロン氏が案内してくださった。

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丸太を繋いだアボリジナルアート。ある村に住んでいた白髪の少年は、自然や動物とコンタクトができ村を潤わせた。彼は亡くなった後、白いヒレを持つイルカとして再来し、村の人々の漁を助け、村に富をもたらしたという言い伝えを描いている。

アボジリナルの人々は、自然と共生し、部族、家族、個人が密接に繋がり暮らしていた。彼らは文字を持たず、祖先から受け継いできた風習や文化といった、生きるためにもっとも大切なことは物語として口承されてきたそう。そのひとつの物語(ドリーミングという)を、ビーチそばに建てられた丸太を繋いだアボリジナルアートで説明を受けた。

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海洋性樹木に覆われた森の中で、オーストラリアの固有種ハイビスカスについて説明するキャメロン氏。彼の隣にある太い幹がハイビスカスの木。

実際に森を歩きながら、アボリジナルの人々のかつての暮らしを伺い知る。約5000年以上前の貝塚の跡を見学したり、固有種ハイビスカスの木は樹液を解熱剤として使い、その幹を叩いて繊維にしてスカートを作っていたことを教わったり......。

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こちらは固有種のハイビスカスの花。

今回のハイライトのひとつはセンター内でのアボリジナルアート体験。アボリジナルピープルが狩りや儀式に使っていたブーメランに絵付けを行うワークショップが行われた。ドリーミングと同様に、絵もアボジリナルの人々のコミュニケーションのツールで、その文様や図柄は植物、動物、自然がモチーフとなり、土地や文化的慣習に深く関わっているとされる。

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文様をもとに、各自がブーメランにメッセージを込めて絵付けをしていく。

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翌日訪れたタンボリン・フォールズ・スカイウォークのスーべニアショップでブーメランを見つけ、そのクールさに衝撃を受ける。

ブーメランに文様を描き、それを飛ばして誰かにメッセージを伝えるという、現代社会では経験できないからこそ新鮮なコミュニケーション術。文様のパターンはおそらく無数にあって、はるかなる昔から描かれてきた、プリミティブなアボリジナルアートに興味を掻き立てられた。

ジェルガル・アボリジニ・カルチュラル・センター
Jellurgal Aboriginal Cultural Centre
1711 Gold Coast Highway,Burleigh Heads, Queensland 4220
https://www.jellurgal.com.au/

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生命力あふれる太古の森でリフレッシュ&ヒーリング。

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サーファーズパラダイスから車で約40分、ヒンターランド(内陸部)と呼ばれる丘陵地帯の中心となるのがタンボリン・マウンテン国立公園。亜熱帯雨林が生い茂り、白亜紀前期にはムッタブラサウルスも生息していたという、太古の昔からの姿をそのまま残す森。一歩足を踏み入れた途端、まるで地球の息吹をシャワーで浴びるような、聖なる空気に包まれる。北部には遊歩道が設けられた「タンボリン・レインフォレスト・スカイウォーク」があり、森の中を散策できる。

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約1.5km、1時間ほどのトレッキングを楽しめるスカイウォーク。途中、30mの高さにかけられた鉄橋から見る谷の景観は必見。

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滝や小川のせせらぎに耳を傾け、新鮮な空気をいっぱい吸い込むと心身が洗われていくよう。歩きながらレッドシダーの木、イチジクの木、オーストラリア原産の柑橘類フィンガーライムほか、亜熱帯ならではのさまざまな樹木の名前をガイドから教わった。

タンボリン・レインフォレスト・スカイウォーク
Tamborine Rainforest Skywalk
333 Geissmann Dr, Tamborine Mountain QLD 4272
https://skywalktamborine.com/

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ゴールドコーストの多様なワインを飲み比べ!

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タンボリン・マウンテンはハングライダーのメッカ。ハングライダー・ローンチ&ルックアウトからは彼方までのパノラマビューを見下ろせる。

タンボリン・レインフォレスト・スカイウォークからゴールドコースト市街への帰り道には、観光客も立ち寄れるワイナリーがいくつかあり、テイスティングが楽しめる。オーストラリアワインといえば南部が有名だが、寒暖差のある冷涼な気候のタンボリン・マウンテン地区でもフレーバー豊かなワインの醸造が行われている。

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ウィッチズ・フォールズ・ワイナリーにて。試飲は6種で20ドル(60分)。

まず立ち寄ったのが2003年創業の「ウィッチズ・フォールズ・ワイナリー」。ゴールドコーストにあるワイナリーの中で唯一、ブドウの栽培からワインの醸造、瓶詰めまでを行っている。ワインを飲みながらワイン製造の過程を見学することも可能だ。白はフレッシュな酸味と柔らかさを併せ持つヴェルメンティーノ、ミネラルに富むフィアーノ、オーストラリアらしい酸味が特徴のシャルドネ。赤はタンニンが利いたアリアニコ、軽さはあるが渋めのシラーズ、ジェラートと合いそうなタウニーなど、レベルの高いワインばかり。

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メイソン・ワイナリーにて。ワインの試飲は6種、10ドル。こちらのワイナリーは食事もとれるのでランチに最適。

もうひとつは「メイソン・ワイナリー」。花崗岩の大地であるゴールドコーストには、有名なワイン産地グラニットベルトがあり、そこで育てられたブドウを使用したワインが人気。評判のよいシャルドネやシラーズ、ソーヴィニヨンブラン、さらにはプチ・ヴェルドやヴィオニエなどの珍しい品種も取り揃えている。ペッパーの香りのするシラーズ、不思議とゴボウのような香りのするカベルネ・ソーヴィニヨンもあり、バラエティに富んだ試飲が楽しめた。

ウィッチズ・フォールズ・ワイナリー 
Witches Falls Winery
79 Main Western Rd, Tamborine Mountain QLD 4272
http://www.witchesfalls.com.au/

メイソン・ワイナリー 
Mason Winery
32 Hartley Rd, Tamborine Mountain QLD 4272
http://www.masonwines.com.au/

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サーファーズパラダイス・ビーチで、海のエネルギーをチャージ!

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北からメイン・ビーチ、サーファーズパラダイス・ビーチ、ブロード・ビーチ、マーメイド・ビーチ......バーレーヘッズ・ビーチへと続く。

ゴールドコーストが世界中のリゾーターを惹きつける理由は、言わずもがな、美しい白砂のビーチとダイナミックな波。まるでヴァージンビーチ、塵ひとつ落ちていない。52kmの海岸線のうち、いま地元で大人気なのは南のバーレイヘッズ。サーファーズパラダイスの高層ビル群を彼方に望む絶好のフォトスポットでもある。泳ぐもよし、サーフィンやボディボードを楽しむもよし......潮風に吹かれて何もせずに、ただ歩くだけでも癒やされるビーチ。存分に海と森のパワーをチャージした後は、魅惑のディナーが待っている!

●問い合わせ先:
クイーンズランド州政府観光局
https://www.queensland.com/jp/ja/home

●1AUドル=約108円(2024年7月現在)
●掲載店の営業時間、定休日、商品や料理の価格などは、取材時から変更になる場合があります。ご了承ください。

photography & text: Sachiko Suzuki (RAKI COMPANY)

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