バンコクから足を伸ばして、プランブリとチョンプリーで過ごす通好みのプチトリップ。

Travel 2024.08.18

大都会バンコクから少しだけ離れ、海辺の小さな町へ。プランブリとチョンプリーでは、小さくて可愛いホテルで過ごす時間、素朴な手仕事が待っている。


<Pranburi|プランブリ>
海とマングローブに囲まれた小さなリゾート。

タイ随一のリゾート地、ホアヒンのさらに南下した先にひっそりと広がるのがプランブリだ。大きな観光名所はなく、静かなビーチ沿いに立つのはプチホテルと公園だけ。一面マングローブに覆われたプランブリ森林公園には遊歩道が設置され、犬の散歩ルートとして、ベンチはおばあさんたちの井戸端会議場所として、地元民がふらりと立ち寄る場所になっている。30分のトレッキングを終えたら町を探索。鳴き方が下手っぴな鶏の集団や哀愁漂う漁村......初めての場所なのに、懐かしい気持ちになるから不思議。

240806_thai_npranburi_demi3_06.jpg

240806_thai_npranburi_demi3_05.jpg
プランブリ森林公園の遊歩道は約1㎞。8種ほど生息するカニを探索しながら進もう。途中、小船(1時間500バーツ)に乗って川からマングローブを観察しても。

さらに内陸部へ足を延ばすと、象が共存するワイナリーがある。象にバナナをあげ、畑を見渡すテラスでブドウのパッタイとロゼワインのランチをいただいてから宿へ。昨年誕生したわずか4室のデミ・スリーは、自然と一体化したような素朴さがある。夜は外のビーチチェアで星を見ながらうとうと、朝は波の音で自然に目覚める暮らし。プランブリには、常に自然がそばにある、心地いい時間が流れている。

海辺に佇むコテージ、デミ・スリーでリュクスなお籠り。

240806_thai_npranburi_demi3_01.jpg
デミ・スリーの目の前に広がるカパロービーチ。観光客が少なく、10〜1月のハイシーズンを除けばのんびり泳げる。

目の前はカパロービーチという絶好のロケーションに立つ4棟のコテージ。Sun、Moon、Sea、Starと名付けられた部屋は、それぞれ自然となじむインテリア。部屋にテレビはなく、あるのはレトロなラジオとアートブック。窓から一直線でビーチに行けるのが魅力だ。レストランは併設されていないので、すべて部屋食。サービスワイン片手に、客室とビーチで過ごすだけの最高のお籠り時間になりそう。

240806_thai_npranburi_demi3_02.jpg
到着するとミモザなどウエルカムドリンクが振る舞われる。

240806_thai_npranburi_demi3_03.jpg
開放的な雰囲気の客室Sun。ワインに加え、冷蔵庫内のドリンクも無料なので部屋食と一緒に楽しんで。地元産のエビやイカを使ったタイ料理店が近くにあり、別途デリバリーも可能。

240806_thai_npranburi_demi3_04.jpg
全室プールが付く。ビーチに繋がるテラスにはミニテーブルや寝転がれるビーチチェアもあって快適。

DemiⅢ
デミ・スリー

Village No.4, Paknampran, Pranburi, Prachuap, Khiri Khan
087-177-7778
全4室 バスタブ付き3室 1室7,900バーツ~(ワイン、朝食付き)
www.demithethird.com

---fadeinpager---

象のいるワイナリー、モンスーン・ヴァレーで珍しいタイワインを飲む。

240806_thai_shorttrip_monsoonvalley_01.jpg
左から、「Colombard」、シラーズのロゼ「White Shiraz」、赤ワイン「Shiraz」 グラス各190バーツ

ワイン生産国として知名度を上げているタイ。潮風による寒暖差があり、森林が近く、鳥や蝶といった生態系が生きているプランブリがブドウ畑に開墾されたのは約20年前。最も注力するのはフランス原産のコロンバール。ほどよい酸味と塩味が、暑さと湿気でほてった身体に染みわたる。試飲はもちろん、象のエサやり体験や、カートで畑を巡るツアー(150バーツ〜)もあるので、ワインツーリズムとしても最適だ。

240806_thai_shorttrip_monsoonvalley_02.jpg
メニューはイタリアンからタイ料理まで用意。シラーズを麺に練り込んだ「Phad Thai Shiraz Goong Sod」300バーツ

240806_thai_shorttrip_monsoonvalley_04.jpg
シュナン・ブランやサンジョヴェーゼを栽培。

240806_thai_shorttrip_monsoonvalley_03.jpg
2頭は夫婦。ブドウ畑が散歩ルートで、ブドウは食べないよう教育されている。
 

Monsoon Valley
モンスーン・ヴァレー
1 Moo, 9 Baankhok Chang Patana, Hua Hin Prachuap, Khiri Khan
081-701-0222 
営)9:00~19:30L.O.(1~3月、11~12月) 9:00~18:30L.O.(4~10月)
不定休
www.monsoonvalley.com/en

---fadeinpager---

バーン・ストローで、タイの自然素材を使ったカゴ編みに挑戦。

240806_thai_shorttrip_baanstraw_01.jpg
4年前に誕生。ホアヒンにも店がある。ワークショップは予約制。取材時は小さなコースターを制作。

水草の一種、ウォーターヒヤシンスはタイ全土で定着する自然素材。そのほかヤシや竹を使ったバッグやゴザ、サンダルを販売している。デザインはすべて、外国人オーナーがこの地にインスパイアされて生まれたもの。店内でのショッピングも楽しいが、おすすめはワークショップへの参加で、地元の職人にいちから編み方を教えてもらえる。コツをつかむのが難しいが、手を動かすうちに没頭するはず。

240806_thai_shorttrip_baanstraw_02.jpg
フリンジ付きのサンダル750バーツ

240806_thai_shorttrip_baanstraw_05.jpg
カゴバッグ830バーツ

240806_thai_shorttrip_baanstraw_04.jpg
マクラメ編みを施したバッグ1,490バーツ

Baan Straw
バーン・ストロー
Soi Huahin 27, Amphoe, Prachuap, Khiri Khan
088-951-3972
営)11:00~17:00
休)月~木
www.baanstraw.com

※プランブリへのアクセス:バンコク中心地から車で約3時間

---fadeinpager---

<Chonburi|チョンブリー>
伝統工芸が大切に受け継がれる、古き良き町並み。

タイ東部のチョンブリー、シラチャ海岸沖に位置し、バンコクからいちばん近い島として知られるシーチャン島は人口約5000人。トゥクトゥクで島を一周まわっても約40分ほど。タイで最も小さな郡だ。シーチャン島はタイの3大国王のひとりであるラーマ5世の別荘地であり、かつては国際的な商船の停泊地として栄えた。洗練されたビーチリゾートではないが、美しい海と青い空、緑豊かな自然に包まれ、のんびりと気の向くままに散歩したり、贅沢な時間を過ごせる。島で水揚げされた新鮮な魚介類を使った産地ならではの料理を味わうためだけに、日帰りで島を訪れるタイ人も多い。

240806_thai_shorttrip_chonburi__01.jpg
到着時に船着場でトゥクトゥクをチャーターしてのんびりと島を巡る。

チョンブリー内陸部のパナットニコム地区には、昔ながらの木造長屋の町並みが残る。ここは竹を使った日曜雑貨や小物を作る産地として栄えてきた。女性の自立支援を目的として始まった産業はタイを代表する伝統工芸のひとつに成長し、技術を受け継いだ10人ほどの職人が丁寧な手仕事を守り続けている。再開発を免れたチョンブリーの一角には、古き良き文化が生活の中にいまも息づいている。

240806_thai_shorttrip_chonburi__03.jpg
島には近代的なコンビニエンスストアチェーンは1軒しかなく、昔ながらの商店が町のインフラとして営業。
240806_thai_shorttrip_chonburi__02.jpg
1800年代の建物が当時の面影のまま残る。
240806_thai_chonburi_05.jpg
1990年から離宮内の建築物や庭園の修復作業が始まり、かつてのマイリムタレー邸はカフェとして生まれ変わった。クラシックな店内から海を眺めてゆっくり過ごすことができる。

---fadeinpager---

ホスピタリティいっぱい、海がテーマのプチホテル、サムウェア・コ・シーチャン。

240806_thai_shorttrip_chonburi_somewherekohsichang_02.jpg
海側に向いたバルコニーには心地よい潮風が流れ、島時間を満喫できる。こぢんまりとしたプールもある。

海をテーマにしたコージーなホテル。2階の部屋のバルコニーからは海を一望できる。英語が話せるスタッフは、皆ホスピタリティにあふれていてアットホームな雰囲気。レストランでは島で獲れる魚介類を使用したタイ料理と洋食が楽しめる。島の桟橋へのピックアップのサービスもあり。

240806_thai_shorttrip_chonburi_somewherekohsichang_01.jpg
ホテル内のレストランも評判。
Somewhere Koh Sichang
サムウェア・コ・シーチャン
194, 194/1 Moo 3, Thaa Thewawong, Koh Sichang Chonburi
038-109-400 
全20室 デラックスルーム3,099バーツ〜 朝食付き
レストランThe Verandah
営)6:30〜20:00L.O.
www.somewherehotel.com

---fadeinpager---

新鮮な魚介類が自慢! ローカルに人気の老舗食堂パーノイ・リム・ターン・タレー・パオ。

240806_thai_shorttrip_chonburi_baannoi_01.jpg
ローカル感漂う看板。

周辺の海で獲れた新鮮な魚介類が現地価格で楽しめる、島いちばんの人気食堂。料理自慢の女性たちが豪快にフライパンを振り、エビやイカを料理している姿が目に留まる。素材を生かした味付けはシンプルだが、旨味がたっぷりで新鮮な魚介が味わえる。イカ墨を使ってイカを煮た「プラームックトムナムダム」など、バンコクではあまり出合えない島料理も。

240806_thai_shorttrip_chonburi_baannoi_02.jpg
半野外のキッチンでテキパキと働く島の女性たち。
240806_thai_shorttrip_chonburi_baannoi_03.jpg
生きたままの魚が1日に何度も運ばれてくる。
240806_thai_shorttrip_chonburi_baannoi_04.jpg
大ぶりのエビや白身魚がゴロゴロ入った「Tom Yum Kung」280バーツ
Baan Noi Lim Than Thalee Pao
パーノイ・リム・ターン・タレー・パオ
Thaa Thewawong, Koh Sichang, Chonburi
080-017-8707
営)9:30〜21:00
不定休

---fadeinpager---

タイ王室御用達トラディショナル・バンブー・ハンディクラフト・センターの繊細で美しい竹細工。

240806_thai_chonburi_traditionalbamboo_04.jpg
技術保存のための資料として保存されたアーカイブが並ぶ展示室。

チョンブリー県パナットニコムにある伝統的な竹細工の工房。1978年にシリキット王太后主宰の女性雇用促進基金のサポートを受けて開設されたのが始まり。50種類以上の編み方を用いて、白竹やさまざまな色に染められた極細のひごで編み上げるバッグはため息が出るほど繊細で美しい。タイ王室の女性たちに愛され、国賓への贈答にも用いられている。

240806_thai_chonburi_traditionalbamboo_03.jpg
ひごの細さは、1mmに満たないほど。美しく繊細な編みに、タイの手工芸の奥深さを感じる。
240806_thai_chonburi_traditionalbamboo_01.jpg
3層になった複雑な編み方ができる職人は、タイ国内でも数少ないという。13,000バーツ
240806_thai_chonburi_traditionalbamboo_02.jpg
編み柄で緻密なパターンを描いた蓋付きのバスケット。左6,900バーツ、右2,500バーツ
Traditional Bamboo Handicraft Center
トラディショナル・バンブー・ハンディクラフト・センター
Baan Khum Pranee Borriboom, 36 Intha Asa Road, Phanatnikhom, Phananikhom, Chonburi
081-899-0115
営)8:00〜17:00
休)日
www.tbhc1978.com

※チョンブリーへのアクセス:バンコク中心地から、コ・ロイまで車もしくはバスで約1時間半。コ・ロイからシーチャン島へはフェリーで約45分。

【合わせて読みたい】
タイのローカルフードを極める! 地元民おすすめの食べ歩きリスト16選。
最新ショップとカフェで感じる、ノスタルジックなバンコク。
カフェとギャラリーで、デザインシティ・バンコクを巡る。

●1タイバーツ=約4円(2024年8月現在)
●日本から電話をかける場合、タイの国番号66の後、市外局番の最初の0を取ります。タイ国内では掲載表記通りにかけてください。
●各紹介アドレスのデータ部分のⒷはBTSの駅、Ⓜは地下鉄の駅、Ⓢは国鉄の駅を示しています。
●掲載店の営業時間、定休日、商品・料理・サービスの価格、掲載施設の開館時間やイベントの開催時期などは、取材時から変更になる可能性もあります。
●商品・料理・サービスの価格は、表示価格とは別に消費税やサービスチャージがかかる店もあります。
●仏教の祝日は、アルコールの提供を控えたり休業になる店が多いためご注意ください。

*「フィガロジャポン」2024年7月号より抜粋

photography: Satomi Matsui coordination: Sachiko Matsumoto (Chico Design),

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

いいモノ語り
パリシティガイド
Business with Attitude
フィガロワインクラブ
BRAND SPECIAL
Ranking
Find More Stories