この夏、ひとつの夢が叶いました。
いつかリュクスなクルーズ船で旅に出たい。
世界各地を回ってきたある旅の達人が「いろいろ旅したけど、最も印象的だったのが船旅」と言っていたことがずっと心の中に残っていて、「いつかは、いつかは......」と念じていました。
記念すべき初クルーズは、「金沢発 夏の金沢・函館」の2泊3日コース。出発地の金沢港に着くと、飛鳥Ⅱが堂々お出迎え。乗船客も、そうでない人も、こぞって写真撮影! 大きな豪華客船を見てワクワクする気持ちは、老若男女変わらないことを実感。
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いざ乗船! セイルアウェイパーティに参加。
飛鳥Ⅱを前方から、側面から、じっくりと眺めたらいよいよ乗船! レセプションやピアノバーが隣接するホール「アスカプラザ」を通って、客室へ。客室は4フロアに分かれるのですが、その数436室。すべての部屋が海側に面しているのが贅沢。(巨大な海外籍の船だと中心部にも部屋があり、海が見えないケースが多々あるそう)
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今回宿泊した「バルコニー」は、その名のとおりバルコニー付き。日本船らしくバスタブ完備、シャワー付きトイレ、ひと休みに最適なソファ、PC作業がしやすいデスクもあり、快適そのもの。クルーズ船は動くホテル、とよくたとえられますが、ホテルの部屋そのものです。違うのは、部屋から見える景色が常に変わるということ。
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全員参加必須の避難訓練を終え、出航タイム。セイルアウェイパーティが行われました。ゲストにスパークリングワインがふるまわれるということでデッキに出ると、金沢港でダンス部に所属する高校生たちがお見送りとしてダンスパフォーマンスを披露。船が動きだし、港から離れ、街が小さくなるまで外を眺めていました。「航海の始まり!」と胸が昂ります。
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個人的にいちばん気に入ったのがこちらの「イー・スクエア」。日本の工芸作品が展示された空間で、海を眺めながら仕事ができる。雑誌が多数揃っているのでブックラウンジとして利用している人も。
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好きな時に好きなものを食べる幸せ。
外海に出たところで今度は船内探索へ。食事処としては、メインダイニングの「フォーシーズン・ダイニングルーム」、ビュッフェスタイルが楽しい「リドカフェ&リドガーデン」、街角にあるカフェのような「ザ・ビストロ」があり、ここでの食事代はすべて旅行代金に含まれているので、気兼ねなく食事ができます。(一部のレストランとアルコールは有料)
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夕飯を楽しみにしながらも、「リドカフェ&リドガーデン」の活気に誘われ、つい手が伸びてしまったのがハンバーガー。おいしさもさることながら、サイズが完璧! 飛鳥Ⅱはやっぱり日本船。ゲストもほぼ日本人ということもあり、我々のお腹にきちんと収まるサイズになっています。魅力的なメニューが多いので、あれもこれも食べたい、という願いを叶えてくれる。そんなことを見越した(!?)サイズ感なのです。
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アクティブ派も心配不要、船内ならではの過ごし方。
グルメな船として評判の飛鳥Ⅱ。それだけに、レストランについ足が向いてしまうのですが、食べてばかりではいられない!とデッキへ。「シーホースプール」は朝7時から夜19時まで遊泳可能。海上でプールに入るのは初めての体験......。見渡す限り日本海、という状況で泳ぐと、なんだか大海に飛び込んだ気分になります。上を見上げれば広い空。なんともいえない開放感が味わえます。
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デッキでは、ジョギングする人の姿も。屋内派の人には、インストラクターがいるフィットネスセンターの利用もおすすめ。運動不足解消の強い味方!
感激したのが船内のサロン「アスカ アヴェダ サロン&スパ」。あのAVEDAが初の洋上サロンとして展開していて、フェイシャル、ボディトリートメントからヘアスタイリング、ネイルケア、着付けまでメニューを用意。クルーズによっては、ドレスコードがフォーマルのイブニングパーティも開催されるので、サロンの需要は高そうです。
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カルチャー派の人は、ぜひ「ギャラクシーラウンジ」や「ハリウッドシアター」へ。「ギャラクシーラウンジ」には立派な舞台が設けられ、プロのエンターテイナーによるショーが鑑賞できます。45分のショーなのですが、歌あり、ダンスあり、手品ありで見ごたえたっぷり。内容は都度変わるので、ほかのクルーズではどんなショーが繰り広げられているのか気になるところ。
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「ハリウッドシアター」では、乗船時、『わたしを離さないで』(2002年)や『スタンド・バイ・ミー』(1986年)を上映。ふだん、自宅のオンデマンドで観ることはあっても、なかなか映画館でゆっくり映画を観る時間が取れないので、船上映画館でのひと時はとっても贅沢に感じられました。
そのほか、ダンスホールがある「クラブ2100」では太極拳や社交ダンスのイベントが、「モンテカルロ」ではカジノ体験が、「カードルーム」ではカードやテーブルゲームが楽しめたりと、ゲストを飽きさせない設備がいっぱい。ほかのゲストとの交流も生まれ、これぞ旅の醍醐味と実感。
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ディナータイムで〝グルメ船〟を実感。
途中迷子になりながらも船内を探検&堪能していると、ディナーの時間がやってきました。会場は「フォーシーズン・ダイニングルーム」。この日はフレンチのコース。「リエットとビーツとデコポンのサラダ」に始まり、「トマトのスープ」「カサゴのフリット 焼きもろこしのリゾット」と目にも美しい料理が次々と運ばれます。メインは3種類から選べますが、たくさん食べられる!という人は2種、3種頼むことも可能。「リドカフェ&リドガーデン」でのお夜食も狙っていたので、ぐっと我慢して「黒毛和牛フィレ肉のポワレ 飛鳥フォンドヴォーの赤ワインソース」1品に絞りましたが......。
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ベテランの船内シェフが手がけているだけに、どの料理も星付きレストランのような繊細な味。みずみずしい味わいの前菜「サーモンマリネとアボカド」や、酸味がクセになる「トマトのスープ」、コクのあるフォンドヴォーがアクセントになった「黒毛和牛フィレ肉のポワレ」は何度でも食べたくなる味。海外に行くとどうしても塩味の強さにやられてしまい、だんだんと飽きてくるのですが、飛鳥Ⅱの料理はどれも日本人の口に合います。
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ディナーを堪能した後、お酒好きにおすすめしたいのがメインバーの「マリナーズクラブ」。興味深いのが、歴代船長をイメージしたオリジナルカクテル。お酒が強い船長は、ちょっと強めのテキーラベース......など、個性がそれぞれ現れています。ちなみにこの船を操縦している第15代目の渡辺恒介船長のカクテルは、船長が好きだという日本酒がベースになっている真っ赤なカクテル。アルコールメニューは有料になるのですが、ここでしか味わえないカクテルが豊富なので乗船中、一度は訪れる価値あり!
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飛鳥Ⅱは、すべてが一期一会。
飛鳥Ⅱのグルメに感激したところで再びの感激が。リニューアルで新たに併設されたという大浴場です。大きな湯船で肩まで浸かれるのもうれしいのですが、この景色! 夜と朝、1日2回体験しましたが、どちらも捨て難い。夜は真っ暗な中に、遠くに灯台の光が見えたり、星空が見えたり。何にも考えずにリラックスできる上質な時間が流れます。まさか船の中で露天風呂に入れるとは思っていませんでした。
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最終日は朝風呂を済ませてから朝食会場の「フォーシーズン・ダイニングルーム」へ。焼き魚を主にした由緒正しき和定食が味わえます。あのメジャーリーガーが世界一と絶賛した「岩手 岩泉ヨーグルト」も用意されていたり、朝から細部にこだわった食事が堪能できます。
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朝食を食べ終わると、函館港はもう目の前。下船の時間が迫ってきました。と、同時に早くも飛鳥ロス。笑顔でてきぱきとサポートするクルーの方々、プールや船内イベントで仲良くなったほかのゲストの方々、日々メニューが変わるおいしい食事、そして刻々と移り変わる景色......。そのすべてが一期一会で、なんだか愛おしくなりました。日本船のため、サービスも設備も日本人にフィットしていることもクルーズ初心者には安心できました。旅は好きだけれど船旅は未経験、そんな人にこそ飛鳥Ⅱで〝ファーストクルーズ〟を。
来年3月からは103日間の旅「世界一周クルーズ」が就航。船旅の最高峰、いつかは体験したい......! 同年の夏には、さらにバージョンアップした飛鳥Ⅲがお目見えになるというニュースも。就航デビューがいまから楽しみです。
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飛鳥Ⅱ 「金沢発 夏の金沢・函館クルーズ」2泊3日
出発港:金沢港 到着港:函館港
ロイヤルスイート1人¥620,500、Eバルコニー1人¥179,500
※旅行代金はクルーズによって異なる
https://www.asukacruise.co.jp/
text: Mari-Mogu
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幼少期よりアジア、欧米、太平洋の島々などを旅し、モンゴルの羊鍋からフランスのエスカルゴまで現地の料理を食べ歩く。特に香港は、多い時で年4回のペースで通うほどの“香港迷”。食べ過ぎ飲みすぎがたたり、28歳で逆流性胃腸炎を発症。2021年にJ.S.A.認定ワインエキスパートを取得。