初めてのイビサ島、ホテルはモンテソル・エクスペリメンタルへ。

Travel 2024.11.12

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イビサ島に行ったらパニエを探し、スペインのスパークリングワインCavaのサングリアを味わって......。photography: Mariko Omura

スペインのバレイアス諸島のひとつ、イビサ島。というと、レイブパーティやクラブカルチャーにすぐに結びつくけれど、小さいながらもこの島はこれだけでは語り切れない大きな魅力の持ち主なのだ。1999年にイビザの生物多様性と文化は、ユネスコの世界遺産における約40の自然遺産と文化遺産が共存する「世界複合遺産」のひとつとして島そのものが登録されているほど。スペインのバルセロナからは飛行機で1時間、パリからでも直行便なら1時間50分という行きやすい場所にある。ヒッピーや夜遊びに無縁でも、クラバーでなくても人生で一度は訪れて損のない島、と覚えておこう。

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モンテソル・エクスペリメンタル・ホテル。コロニアルスタイルの建物は1933年にイビサ初のホテルであるグランド・ホテルとして建築され、現在は歴史建造物に指定されている。photography: Mariko Omura

初めてのイビサの旅はどこから始めよう。空港からタクシーで約20分くらいの場所に、昨年、ホテルの「Montesol Experimental(モンテソル・エクスペリメンタル)」がオープンした。港のすぐ近くで、有名な散歩道のVara de Reyに面している。島の名所のひとつ、1999年にユネスコの世界遺産に登録された要塞の旧市街地Dalt Vila(ダルト・ヴィラ)にも徒歩で行ける距離という便利な立地。しかもカフェの食事が充実しているので、たとえ悪天候に見舞われてしまってもホテルライフを楽しめる。もともとは1933年に誕生したイビサ初のホテルだったグランド・ホテルで、島を訪れる有名なロッカーやアーティストたちが滞在するホテルとして知られていた。そこがコロニアル・スタイルの外観はそのまま、新たに太陽、月といった宇宙エレメントをフィーチャーして、人気の室内装飾家ドロテ・メリクザンによる内装でスイートを含めて33室の5ツ星ホテルとして生まれ変わったのだ。ホテルに一歩入るや、レセプションやブティック、その後ろに広がるレストランのタイルやファブリックの使い方、独特なカラーミックスなどにドロテの世界へと誘われる。

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左: レセプション。壁の菱形のタイルや床で模様を描くタイルに、ドロテ・メリクゾンらしさが感じられる。右: プレタポルテからアールドヴィーヴルまで幅広い品揃えのブティック。photography: ©️mr.tripper

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ドロテ・メリクゾンがデザインした室内で夢うとうと。

4つのカテゴリー(スタンダード、スーペリア、プルミエ、スイート)の客室の内装は、陽気で明るい島のイメージが室内で感じられるようなクリアなピンクやブルーがカーテンとベッドに用いられている。カーペットの遊びあるモチーフも、楽しい雰囲気を演出。ドアノブや椅子の背もたれ、バスルームの鏡のフォルム......丸みあるデザインがあちこちに見られる。中でも目を引くのは、ベッドのヘッドボードだろう。頂に半円を描く木製のフレームで、その枠の中に素材感が異なるファブリックを組み合わせて模様を作り上げている。石灰で塗られた白壁は、場所によってはよく見ると貝殻のレリーフでびっしりと覆われている。これは職人だけでなくホテルのスタッフも総動員しての手仕事だったとか。温かさが感じられる空間で、まるで長く親しんでいる部屋のように寛げそうだ。

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ベランダに面し、スペインの明るい光が差し込む客室。photography: ©️mr.tripper
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白い空間に色彩が弾ける内装。快適な滞在が約束されている。photography: ©️mr.tripper
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左: さまざまな素材感が魅力の室内。 右: 木のフレームの鏡に映った廊下の壁。貝殻の手製レリーフが覆っている。photography: (右)Mariko Omura、(左)©️mr.tripper
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左: 壁の三日月!  後方はバスルーム。 右: 自然素材が多用された目に優しいインテリア。photography: ©️mr.tripper
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左: バスルーム。アメニティはスウェーデンのナチュラルブランドのラ・ブルケット。 右: シャワーの後、バスローブに着替えて室内でカクテルを楽しむこともできる。エクスペリメンタル・グループのトラベラーズ・カクテルからニューヨーク(ル・マンハッタン/19ユーロ)、ヴェニス(ル・ネグローニ/18ユーロ)、パリ(オーキッド・キーパー/17ユーロ)。photography: (左)©️mr.tripper、(右)Mariko Omura

室内の棚に飾られたセラミックの女性を象ったオブジェは島でクリエイトされているもの。1階のレストランやブティックでも見かけられる。これはドロテが島の職人仕事をホテルにもたらしたかったということからだ。また部屋によっては壁にお面がかけられている。これはマヨルカ島のアーティスト、アンナ・アレクサンドラの制作。こうした品々はファブリックの手触りと同様に、インテリアに人間の手を感じさせるヒューマンタッチが魅力だ。

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ベッドの向かい側の壁にかけられたお面はお隣のマヨルカ島から。photography: ©️mr.tripper
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イビサの陶芸工房Alfareria Sa Teuleraで製作されたオブジェが各部屋に飾られている。photography: Karel Balas

モンテソル・エクスペリメンタルの各客室の扉には、部屋番号を挟んで太陽と月が描かれている。こうしたコスミック・エレメントはイビサの南西部に位置する磁場が強くパワースポットとして有名なエス・ヴェドラ島や北部の神秘的な洞窟といったことからのインスピレーションだそうだ。バスルームと客室の境の壁の壁にはガラスがはめ込まれた三日月が。客室を暗くしてバスルームの明かりをつけると、その光がガラスを抜けてクロワッサンのフォルムがくっきりと部屋の壁に浮かび上がるので、夜はちょっぴりミステリアスな雰囲気が客室に漂う。

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有名なパワースポットが存在するイビサ。そのインスピレーションからパブリックスペースにも室内にも、星と月。photography: Mariko Omura

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ゆったりしたカフェテラスで1日中、1年中リラックス!

ホテルの1階の「Le Café Montesol(ル・カフェ・モンテソル)」は、その向かいの散歩道Vara de Reyに広いテラス席を構えている。ここは宿泊客でなくても誰でもドリンク、食事がオープンエアで取れる快適なスペース。街の雰囲気とホテルの雰囲気の両方が味わえることもあり、朝から晩まで1年中賑わいを見せている。

朝食は8時から12時でとても充実したメニュー。クロワッサンやアサイー・グラノラなど軽く取ることもできれば、生ハムトーストやアヴォカドトーストなどブランチ的にしっかりと取ることもできる。朝から甘いのが好き、というのであればシャンティイクリームを添えたフレンチトーストも。

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ホテルはパッサージュに面している。こちらはカフェ・モンテソルの入り口。photography: ©️mr.tripper
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パッサージュに設けられたテラス席。photography: ©️mr.tripper
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朝食は8時からと、イビサの朝はゆっくりスタートする。朝食はアラカルトでオーダー。ホテルの宿泊客のオーダーには、オレンジジュース、フルーツサラダ、コーヒーが無料サービスされる。photography: (左)©️mr.tripper、(右)Mariko Omura

お腹の空き具合に合わせられるのは、12時からはディナータイムまでのメニューにも言えることだ。Para Picar(パラ・ピカール)メニューといって、軽くつまんで食べるのが楽しい料理で構成されている。グラスワインやスペインらしくスパークリングワインのカヴァで割ったサングリアなどとともに、フォカッチャ、牡蠣、イベリコハムのコロッケ、サラダなどで午後の時間を楽しもう。

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12時から19時までのタパスメニューより。トマト・トースト(左/5ユーロ)、イベリコハムのコロッケ(1個4ユーロ)。photography: (左)Mariko Omura、(右)©️mr.tripper
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右: スペインに来たからには一度は食べておきたいイベリコハムの盛り合わせ(26ユーロ)。 左: ケールと人参のサラダ(16ユーロ)。phogtography: Mariko Omura

ディナーはテラスもいいけれど、季節によってはホテルの1階を占めるル・カフェ・モンテソル内のコージーな雰囲気で。シェフのアレックス・ラレアがカタロニア地方のおばあちゃんの味にインスピレーションを得たタパスや、いまヨーロッパで流行りつつある炭焼きを提案する店だ。

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60席のル・カフェ・モンテソルには、貝殻や海の生き物が壁にちりばめられたコスミック・ディナールームが、一角に設けられている。photography: (左)©️mr.tripper、(右)Mariko Omura
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ル・カフェ・モンテソルの調理場には炭火焼のための場所も設けられていて、いまの時代の料理の潮流と地元の新鮮な素材が味わえる。photogrqphy: Mariko Omura

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カクテルと島の絶景、春の再開が待ち遠しいルーフトップバー。

ホテルも1階のレストランも1年中オープンしているモンテソル・エクスペリメンタルだけれど、ルーフトップバーはイビサの多くの場所と同様にいまは春までクローズしている。ここはホテルの最上階に広がる100席のバー。営業期間中はオープンの19時からクローズの午前1時まで、地上階からのエレベーターが大活躍し、年齢国籍さまざまな大勢の人々がこのルーフトップの時間をエンジョイするのだ。

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春の再開が待たれるホテルの最上階に広がるルーフトップバー。時間の流れで表情を変える港(左)やダルト・ヴィラを眺めながらカクテルを。photography: Mariko Omura

ここは港を見下ろし、歴史の地Dalt Villa(オールドタウン)を見上げて......という素晴らしい眺望が待つ場所。ホテルが属するエクスペリメンタル・グループはカクテル・クラブを世界各地に開いていて、このルーフトップバーでももちろん種々のカクテルが味わえる。エクスペリメンタル・グループではどのバーでも、必ず!というクラシック・カクテルがある。それは「Old Cuban」といってホワイトラム、ライムジュース、シャンパン、ミント、シュガー、ビターのカクテル。とりわけ暑い季節にオススメと言われるけれど、おいしさは太陽の照らない季節でも変わりなし。カクテルとの出合いはルーフトップバーの再開とともに春を心待ちしよう。 

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左: カウンターの前に陣取れば、バーマンの仕事も見事な眺めだ。和食系タパスとともにカクテルを。 右: カクテルのオールド・キューバン。何をオーダーするか迷った時は、まずこれから始めよう。photography: (左)Mariko Omura、(右)©️mr.tripper
Montesol Experimental
Passlig de Vara de Rey, 2,07800 Ibiza, Spain
https://www.montesolexperimental.com
@montesolexperimental

editing: Mariko Omura

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