泊まってみたい! 大分県・竹田で秘密基地のようなアートワーク施設を体験。

Travel 2024.11.14

建物と自然の調和が美しく、空間そのものがアートな大分県竹田の新施設「不時泊」。このユニークな建物に滞在し、大自然のアートと対峙してみよう。

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ここ数年、多くのクリエイターが移り住む大分県竹田市。アトリエが集まる城下町から少し離れた久住高原に、突如テント型のシェルターが現れた。不時泊 色空と名付けられた施設には、名作家具と洋風五右衛門風呂、デザインのいいプロダクトに囲まれ宿泊が可能。とはいえホテルのようなおもてなしも、アート好きを唸らせるようなオブジェもない。電気、ガス、水道も引かれていない。ミニマルな空間ゆえ映える三角形の窓からは、緑生い茂る高原とくじゅう連山が望め、寝転がると窓枠が額縁のように見えてくる。

このユニークな施設を手がけたのは、ランドスケープデザインスタジオを主宰し、風景司の肩書を持つ団塚栄喜。2024年、故郷の大分に4カ所、横須賀に1カ所、不時泊という名の新施設を完成させた。仕事柄、国内外のさまざまなホテルや大規模開発に携わった団塚が行き着いた、新しい旅の体験型アートワーク施設だ。上空から土地を徹底的にリサーチし、景色をを独り占めでき、非日常を味わえるこの場所を選んだ。風景が最も美しい北側に大きな窓を設けた一方で、建物の反対側は鋭利な二等辺三角形のように狭く、洞窟の入口にも見える。住所は非公開。人里離れた秘密基地のような空間は、自ずと"風景"という自然のアートと対峙することになる。稜線がくっきり見えたり霞がかったり、空の色や雲が形を変え、夜には満天の星......流れる風景に飽きることはなく、夕暮れ時に浮かび上がる風景×建築との競演もハイライトに。滞在することで見えてくる、アートの新しい概念がここにはある。

不時泊 色空
Fujihaku Iroa

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数十万年前から変わらない阿蘇くじゅう国立公園の風景を独り占めできる。
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電気や水道、利便性の高い家電はないが、ヘッドライトや双眼鏡など、自然と向き合う時間を過ごすうえで必要な備品は豊富に揃う。火おこしや焚き火に不安があるゲストは、アウトドアの達人、不時泊シェルパの派遣も可能。水は近くの湧水をシェルパが運ぶ。
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室内には倉俣史朗の代表作の椅子や暖炉。
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用意された食材でバーベキューを楽しめるオプションや、不時泊シェフを招くこともできる。料金は別途、要相談。竹田の自然にインスパイアされた不時泊シェフの料理は「ナス 豊後大野のシカトマト 酸葉」など地元食材がふんだんに使われる。
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バジルの鮮烈な香りとみずみずしいズッキーニが口の中で調和する「ズッキーニ オクラ バジル」
不時泊 色空
Fujihaku Iroa
大分県竹田市久住町
1軒¥132,000(1軒2名)
野外バスタブ付き 
https://fujihaku.earth/

不時泊 流転
Fujihaku Luten

せせらぎを聞きながら茶室で一服。

九州を代表する名山、祖母山の登山口付近にあり、渓流横には小屋が立つ。トレッキングの拠点として、また、お茶やお弁当を食べてひと休みすることもできる。滝の音を聞きながら過ごすひとときは、非日常の始まりにふさわしい。

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透明度の高い神原渓谷沿いにある簡素な小屋は、小さな茶室のよう。
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この日は竹田出身の滝廉太郎にちなんだ但馬屋老舗の和菓子「荒城の月」と「三笠野」が供された。
不時泊 流転
Fujihaku Luten
大分県竹田市神原 
料)¥33,000(デイユースのみ。2人分のランチ付き)

不時泊 波礎
Fujihaku Haso

小さな漁師町で、穏やかな島時間を。

不時泊には団塚の出生地の大入島にも宿泊施設、波礎がある。目の前に広がる穏やかな海をとことん堪能してほしいと、建物はすべてガラス張り。夕暮れ時には、海と空を眺めながらのインフィニティ野外風呂を楽しみたい。

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ベッドとキッチン、バス・トイレを分棟。
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オプションで海鮮バーベキュープランがあるが、イカやカメノテなど地元の魚介を使った「佐伯ごまだしブイヤベース」がおすすめ。
不時泊 波礎
Fujihaku Haso
大分県佐伯市塩内浦 
1軒¥132,000(1軒2名)野外バスタブ付き

*「フィガロジャポン」2024年11月号より抜粋

photography: Yuichiro Hirakawa

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