五島列島、修道院を思わせる非日常の宿に泊まる。
Travel 2024.09.13
フランスの生活に根付く"暮らしの美学"、アール・ドゥ・ヴィーヴルの精神は、日本でも見つけることができる。五島列島の小学校を改修し作られた宿泊施設「めぐりめぐらす」には修道院へのオマージュが散りばめられ、この土地の物語までも感じられる。
修道院を思わせる建築で、非日常の時間にふける。
五島列島最大の島として、文化や観光の中心地となっている長崎県福江島。福江島の北端に位置する半泊(はんとまり)は、江戸時代末期、潜伏キリシタンが隠れ暮らしていた集落だ。めぐりめぐらすは、この地の廃校になった小学校を改修し再生させた1棟貸しの宿泊施設。建築家の中村好文が、ル・コルビュジエが手がけたリヨンのラ・トゥーレット修道院へのオマージュとして設計したもので、ヴォールト天井(カマボコ型の天井)とコルビュジエカラーと呼ばれる独特の色調を纏ったシングルルームは、潜伏キリシタンたちの信仰にまつわる歴史を物語っているようだ。
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どこまでも透明なエメラルドグリーンの海、波が打ち寄せるたびにカラカラと音が鳴る玉砂利のビーチ、製塩業や漁業を中心とする集落の素朴な暮らし。五島らしい雄大な自然と昔ながらの営みが共存するこの集落では、デジタルデバイスをオフにしよう。シュノーケルやSUP、釣りなど海のアクティビティ三昧も楽しいし、海辺のテントサウナでデトックスしてもいい。レジデンスから徒歩5分でアクセスできる波止場から海上タクシーに乗り、久賀島や奈留島のユネスコ世界文化遺産の教会を巡ることもできる。ここでしか味わえない緩やかな時の流れに、しばし身を委ねてみよう。
めぐりめぐらす
長崎県五島市戸岐町1180
0959-73-0220
全7室 バスタブ付き2室
バスシャワーなし5室
1棟(最大8名まで)¥42,000〜
朝食なし
https://megurimegurasu.jp/
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*「フィガロジャポン」2024年9月号より抜粋
text: Ryoko Kuraishi