エルメス・ラヴァー、バレエファンの心を溶かすホテルが
チュイルリー公園の近くにオープン。
Travel 2011.10.26
大村真理子の今週のPARIS
ル・プラデーは1区のサン・ロック通りに10月18日にオープンしたばかりの28室からなるプチ・ホテル。チュイルリー公園、装飾美術館、オペラ通り、コレットなどが近い。
6階建てのホテルの最上階を占めるコンフィデンシャル・スイート4室には、エルメスのファンにとって泊まらずにはパリを去れない、という場所になるかもしれない。スイートはそれぞれ「L'Explorateur(探検家)」「 L'Ecuyère(女性騎手)」「 Les Carrés (カレ)」「Le Collectionneur(コレクター) 」と名付けられ、部屋ごとのテーマにあわせて、エルメスのカーテン、壁紙、家具が使われているのだ。
コンフィデンシャル・スイートはどの部屋も、エルメスのホームコレクションが醸し出す落ち着きとエレガンスに溢れた内装だ。写真は「 L'Ecuyère(女性騎手)」。壁にかけられた絵画がどことなく雰囲気にそぐわないのが、ちょっと残念。
昨年6区にオープンしたエルメスの左岸店はメゾン部門に力をいれている。ジャン・ミッシェル・フランクの復刻家具や、レナ・デュマがデザインしたピッパのシリーズ・・・ブティックでため息をついて眺め、手にとった品々が実際にインテリアに活用されたホテルの部屋が誕生するとは、 誰が想像しただろうか。
スイートはすべてサン・ロック通りに面していて、チュイルリー公園が眺められる小さなテラス付きである。パリの朝の空気を満喫しながら、ここでとる朝食はさぞすばらしいだろう。
エルメスと1920~30年代にコラボレーションしたジャン・ミッシェル・フランク。その復刻家具でコーナーを構成したスイートは、「Le Collectionneur(コレクター) 」。
2階にはシャンタル・トマスがデザインした2スイートがある。「Cabaret(キャバレー)」は、ムーラン・ルージュがテーマで赤と黒を基調にした艶やかな空間だ。もうひとつは「Opéra(オペラ)」。入り口のスペースはバレエシューズを思わせるピンク色でまとめられている。ベッドルームはぐっとシックにモノクロームの世界だが、壁にはオペラ座の劇場、枕にはロマンティックなバレリーナたちが、と、夢の中で踊ってしまいそうなインテリアである。バスルームはフェミニンそのもの。バスタブから水道の蛇口に至るまで、シャンタル・トマスのファンタジーが溢れている。
赤と黒でまとめられたスイート「Cabaret(キャバレー)」。ドアをあけると、廊下の奥のミニ・ムーラン・ルージュが眼にとびこんでくる。電気のスイッチにも注目を。
スイート「Opéra(オペラ)」は、『ジゼル』『ラ・シルフィード』といったロマンティック・バレエのふんわりとした世界。オペラ座でバレエ鑑賞をした晩は、そぞろ歩きでホテルまで戻り、このスイートルームで夢を見よう!
ほかのフロアはホテル全体のインテリアを任された室内装飾家ヴァンサン・バスティが、パリをテーマにデザイン。パリらしい素材として石、亜鉛、木、コンクリートの4つをテーマにした部屋は、どれもシンプルでおもしろい。パリのプチ・ホテルというと比較的スイートなタイプが多いが、ここは男性でも落ち着けるインテリアといえる。
中2階は、書棚が壁に並んだリビングルーム風のオネスティ・バーと呼ばれるスペース。朝、 地下でのんびりビュッフェ朝食を取る時間がないというときは、ここで簡単な朝食を。また、12時から23時まではお茶やアルコールなどを飲みながら、寛ぐこともできる。なお、ここでの飲み物はチェックアウト時に自己申告、という仕組みなのでオネスティ・バーと命名されているそうだ。
上奥左:地下への階段。鳥の壁紙がチャーミングだ。上奥右:オネスティ・バーの奥まったコーナーで静かな寛ぎを。上左:外観。上右:中2階のオネスティ・バー。書棚には写真集や美術書が並ぶ。
室料はたとえば5階のコンフィデンシャル・スイートはオフィシャルには800ユーロというが、インターネット予約の価格はかなりこれより安い。まずは、ホームページで気に入る部屋をみつけ、室料をチェックしてみるのがいいだろう。
5,rue Saint Roch 75001 Paris
Tel. 01 42 60 31 70
contact@lepradey.com
http://www.lepradey.com