今後が気になる、
人気のハンバーガー・トラック。
Travel 2012.03.07
大村真理子の今週のPARIS
Le Camion qui fume(ル・カミヨン・キ・フューム)。ほかほかトラックとでも呼べばいいだろうか。車内でハンバーガーをせっせと用意する際に、調理の湯煙がたつことからの命名だ。マルセイユでは市内のあちこちに出没するピザ・トラックが有名だが、パリには存在しない。そのかわりハンバーガー・トラックが出現!とうわけである。ただ、路上での営業にあたりパリ市の許可という問題があるらしく、この2週間ほどはポルトマイヨ、マドレーヌ広場に出現できないでいた。でも状況は好転しつつあるらしい、といううれしい情報が。
再開が待たれるマドレーヌ広場脇での営業。
いつどこで何時から販売、という情報はインターネットのサイトwww.lecamionquifume.comで得ることがでるので、チェックしてみよう。トラックの居場所は、近くまで行くと湯煙というより、匂いでわかる。ジューシーな肉が焼けるおいしそうな匂いが、漂っている。トラックの中でハンバーガーを作るのは、カリフォルニアからパリにやってきてフランス料理を学んだクリスティンと2名の男性。特製バンズの上下の内側に溶かしバターをぬってグリルし、鉄板でハンバーグを焼いて・・・とすべてがトラックの中で行われる。狭い車内、ぶつかることなく3名がせっせと作業に励む姿は、見ていて楽しい。1回に作る数は10個。パンが焼けたら、下側をずらりと10個並べてマヨネーズを塗り、焼けたハンバーグをその上にのせてゆく。もう片側の野菜をのせたパンではさみ、紙に包んで、という作業がテキパキと、そして黙々とトラック内で進行する。
黒板のメニューをオーダー前にじっくり読んでから、注文。トラックはご覧のように小さいサイズである。待っている間、彼らの仕事ぶりを眺めているのも楽しい。
夜は19時から販売が始まる。今のところ、サンマルタン運河の近くが夜の停車地だ。 毎回約150個分が準備されていて、数がはけたら、それにて終了。システムはシンプルで、トラックの前に並び、注文と支払い(現金のみ)をすると番号札が渡される。昼の営業の場合はスタートが11時で、12時をまわるころにはオーダーしてから約1時間待ちとなる人気。12時30分頃に、トラックの中から笑顔のクリスティンが大きな声で"あと残りは40個!"というように行列客に告げていた。
ハンバーガーとフライドポテトのセットメニューが10ユーロ。ハンバーガーは本日のおすすめも含め、5種類ある。単品購入もでき、ハンバーガーだけなら8ユーロ。トラック製といっても、自家製パテをつかった本格的なハンバーガーで味もよい。よく研究されていて、少しくらい冷めてもおいしく食べられる。皿の上だとハンバーグの熱気で下のパンが水分を含んでしまうことがよくあるが、ここでは紙で包み、そして紙の器に入れてくれるので、パンがべちょべちょになることがないのだ。
左:ハンバーガー(クラシック)とフライドポテトのセットメニュー10ユーロ 右:デザートにはニューヨーク・スタイルのチーズケーキを。4ユーロ
番号札と引き換えに注文を受け取るのだが、さあ、この先に問題が控えている。トラックが停車販売する近くに住んでいたり、仕事をしている、という人はいいが、 観光客はどうしたものか。トラックの前に小さなテーブルが用意されているのでここで食べるか、少々冷めてしまうのを覚悟してホテルに戻るか。幸い、もうじき陽気がよい季節がやってくる。焼き上がるのを待つ間にトラックから遠くない場所にベンチを見つけておくのもいいだろう。