パリの細道で明るく輝く、カフェ・イネコでベジランチ。
Paris 2017.06.15
北マレというより西マレ、だろうか。そこのグラヴィリエ通りといっても、話題となるブティックやレストランなど特別な場所が何もないので、人はあまり行かない……はずだったのだが、近頃、ランチタイムにはカタカナ系職業のおしゃれな若者の姿がみられるようになった。そして、彼らは13番地のプラントが入り口を飾るカフェ・イネコに吸い込まれてゆく。


カフェ・イネコ。エントランスの緑に誘われる。
ここは、5月後半にオープンした新スポット。ランチタイムのベジタリアン・メニューは日替わりで、肉好きも野菜好きに転向させるほど毎日美味しい。素材の鮮度にこだわるゆえ、前菜、メイン、デザートはどれもチョイスは少ないけれど、何を選んでも後悔のない味! パリでは珍しい、マヨルカ島でピザのように愛されている“コカ”が スペシャリティなので、メインあるいはデザートでぜひ。


メインディッシュのチョイスは少ないけれど、何を選んでも間違いなし。マヨルカのコカ(日々の素材により12〜14ユーロ)、ズッキーニのファルシー(14ユーロ)など、新しい味の発見がうれしい。美味しくヘルシーなクリエイションに日々励む、シェフのジュリーに感謝!


スイーツ担当のジュリーが作る日替わりデザートは2〜3種。イチゴのジェリーと生クリームがシュガー・グラスの下に隠されたディプロマット、どことなくクイニー・アマン風のりんごのお菓子、それにノーグルテンのフルーツ・コカ……明日は何かな???
エントランスからキッチンまで、うなぎの寝床というイメージをはるかに超えた細長い店内は、ひと続きながら4タイプの異なる雰囲気に分かれている。どこも、それぞれに個性と魅力があり、次に来たときは、どこの席に座ろうか? と考えたり……。内装を担当したのは、世界中の高級ホテルを手がけているインテリア界スター、フランワ・シャンソーだ。一番奥の木の大きなテーブルが置かれたスペースの後方がキッチンで、料理担当ジュリーとスイーツ担当のジュリーが働く姿が棚ごしに見える。南仏出身のオーナー、イネスの朗らかな声と美味しい賑わいがこの細長―い店を満たし、客たちは彼女の自宅に招かれたかのようにリラックス。朝食、ランチ、ティータイム、アペリティフ……時間と気分でさまざまに活用できるパリの新アドレスは、ぜひメモしておこう。


通りに面したパティオ。ラフな椅子とテーブル、石の壁のグリーン……南の国のカフェにいるような気分が味わえる。


クッキー、スコーン、そしてワインやセラミックの販売もするブティック空間。ここでも食事ができる。


ガラス屋根から光が差し込むスペース。片側はミッド・センチュリーの椅子とテーブルが並び、向かい側は白壁と木の梁のベンチ席だ。
photos:Mariko OMURA
13, rue des Graviliiers
75003 Paris
営)朝食、ランチ 8:30~17:00(火〜土)、アペリティフ 17:00~22:00(水〜土)
休)日・月
réalisation:MARIKO OMURA