新しい香水LUIのお買い物と写真展をゲラン本店で。

Paris 2017.08.04

香水ファンやゲランのファンの間では、よく知られている香り「LIU」。1929年にジャック・ゲランがプッチーニのオペラ『トゥーランドット』のヒロインに捧げたフローラルアルデヒドの女性のための香りだった。その香りを納めていたスタイリッシュなアールデコの黒いクリスタルボトルが、シャンゼリゼ大通りのゲラン本店に戻ってきた。名前はLIU(リウ)ではなく、LUI(ルイ)と面白い言葉遊びをしている。

彼へ、彼女へ、という意味をもつLUI。女性の香りともいえず、かといって男性の香りともいえず、という男女の間の境界線が曖昧な新しいジャンルの香りだ。

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LUIは50ml/160ユーロ。現在はメゾン ゲランのみの販売で、9月1日から世界的に販売が開始される予定だ。photo:Mariko OMURA

ゲランの主任調香師ティエリー・ワッサーの指揮のもとデルフィーヌ・ジェルクがLIUから着想を得て創りだした香りは、梨とクローブの柔らかさが最初にあり、それにベンゾイン、カーネーションが混じり合い、ラストにはレザー、ムスク、ウッディーが漂って……。上品で抑制のきいた、それでいて官能的な香り。女性にはピンク、女性には甘さ、といったステレオタイプな発想が耐えられない女性たちは、このコンセプトを喝采するに違いないけれど、そんなことを頭で考えるより前に、香りそのものにノックアウトされてしまうはず。LUIはユニセックスの香りの傑作である。

さて、この香りのために、LIUのボトルを戴いたのには訳がある。1920~30年代のアールデコの時代、女性はパンタロンをはき、髪をショートカットにし、くわえタバコをして……自由を謳歌していた。その時代に生まれたLIUの黒ボトルは、LUIにとてもふさわしいというわけだ。

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LUIのアールデコ調ボトルは、もともとは1929年に発表されたLIUの香りのためにデザインされたものだ。LIUは現在、別のボトルに入ってメゾン ゲランで販売されている。photo:Mariko OMURA

ゲラン本店では8月27日までミニ写真展『女性が見た女性、発見』を開催中だ。女性を被写体にした女性写真家たちの作品が、日頃はクローズされているかつてのゲラン家のサロンも含め、地下、1階、2階のさまざまな場所に展示されている。マレにあるMEP(ヨーロッパ写真美術館)のディレクターとアーティストのヴァレリー・ブランが監修し、ジゼル・フロイント、アリス・スプリング、サラ・ムーン、ドロレス・マラ、フランソワーズ・ユギエ、キミコ・ヨシダ……と、五月革命によって女性の権利が広がった1968年以降、現在に至るまで24点の写真が選ばれた。そのうちドミニク・イッセルマンの写真はMEP のコレクション入りしたばかりのもので、またヴァレリー・ブランの大型作品『Liberty』は、この展覧会のために制作され、ゲランのコンテンポラリー・アート・コレクションに所蔵されるそうで、小規模ながら充実したセレクションである。

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展示光景。壁に掛けられたのはMartine Franckが1979年に撮影したオペラ座の舞台裏だ。photo:Fisheye

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2階奥、日頃はクローズされているかつてのゲラン家のサロンも使っての展示。photo:Fisheye

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Valerie Belin『Liberty』(2017)。

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Doloris Marat『La Femme au sac à main』(1987)

この写真展に加え、本店2階ではゲランの古い香水ボトルを多数展示している。聞いたことのない名前の香りを発見したり、ボトルの魅力にうっとりしたりと、眺めているだけで美しい時間が過ごせる。

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メゾン ゲランの2階の廊下は、昔のボトルの素晴らしい展示スペースとなっている。

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1877年のエメ・ゲランによるPao Rosaのように、滅多にお目にかかれないボトルも。

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右は1912年に発表されたFol Arôme、中は1924年のJasmin、左は1840年のエメ・ゲランによる Sweet Pea。photos:Mariko OMURA

『Les femmes vues par les femmes、Révélation』
会期:開催中〜2017年8月27日
Maison Guerlain
68, avenue des Champs Elysées
75008 Paris
tel:01 45 62 52 57
営)10:30(日 12:00)~21:00
無休
www.guerlain.com/jp/ja/guerlain-house

réalisation:MARIKO OMURA

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