パリで神田恵介と森永邦彦の「ANOFUKU(あの服)」展。

Paris 2017.09.01

昨年春からパリの日本文化会館で始まった「トランスフィア」。フランスで知られていない日本の現代アーティストや現代カルチャーを紹介するための展覧会シリーズで、トランス(超)とスフィアー(領域)の2語からの造語だ。

年に3つの展覧会が企画され、日本において第一線で活躍するアーティストから新進気鋭の若手クリエイターまで幅広く起用し、毎回必ず未公開作品の展示があることが特徴となっている。

初年度の開催内容は、初回が「創意のランドスケープ」というタイトルで、ライゾマティクス リサーチの真鍋大度と石橋素の2名によるインスタレーション。
第2弾の「マジカル・ハウス」は東京を拠点に活動する建築家ユニット、アトリエ・ワンとパリの建築家ディディエ・フォスティノによる合同展だった。
第3弾は内藤礼の「信の感情」展。彼女が初めて故郷のヒロシマに取り組んだ祈りのための空間という新作が展示された。というように、「トランスフィア」は“旬”なアーティストやクリエイターの画期的な企画展を続けていて、日本に興味を持つフランス人たちの興味を引いている。

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パリの日本文化会館で開催される「トランスフィア」第4弾の「ANOFUKU」展。そのメインビジュアルは山田孝之だ。

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ジャージのサラリーマンスーツは、「アシックスのあの服」。

9月6日にその第4弾がスタートする。ケイスケカンダの神田恵介と、アンリアレイジの森永邦彦による「ANOFUKU(あの服)」という2人展である。服作りにおける2人の、まったく異なるアプローチをしながら、接点を持ちビジョンを展開しているさまを紹介するというもの。

彼らは過去と未来、日本と西洋の文化、日常と非日常、素材、テクノロジー、ビジネス、手仕事、パーソナルな記憶を交差させ、組み替え、再構築し、そして未来のイメージを呈する服をクリエイトする。ファッションの領域を超えた2人の服作りは、日常を非日常へ、記憶を現在へ、過去を未来へと変えてゆくプロセスでもあるのだ。

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神田恵介によるケイスケカンダの2016年秋冬コレクションより。

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森永邦彦によるアンリアレイジの2016年春夏コレクション「Reflect」より。

展覧会は4部構成。Zone 0の「ハプニング」では、大学時代にさかのぼる2人の出会いと、服作りの始まりを紹介する。

本編Zone 1は、「意味」と「かたち」と題し、それぞれの歴代コレクションを展示。コンセプチュアルでプラクティカルな服作りのアプローチが見られる。

Zone 2は「構造」と「システム」。彼らの服作りのアプローチが様々な分野との実験によって形となったのが、2人のプロジェクト「あの服」である。「アシックスのあの服」では下駄やサラリーマンのスーツにスポーツ機能を加え、「TSUTAYAのあの服」ではバッグとして携帯できる本棚などを展示して、ファッションが物作りや消費、機能、ライフスタイルに大きな影響を与えることを示す。

最後のZone 3は「ワークショップ」で、2人によって構想された「服作り」を体験できる場所となっている。そして最後に、2人がファッションの領域を超えて影響を与えられた日本人アーティスト(都築響一、名和晃平、ライゾマティクス、サカナクションなど)を紹介。いかに彼らが「服」の概念を広げてゆく道を歩むことになったかの手がかりを、ここで見いだせる。

次回パリコレ(9月26日〜10月3日)期間中も開催されているので、世界中からパリに集まるジャーナリストやバイヤーたちもぜひ足を運んで2人の仕事を発見して欲しいと思わせる企画だ。

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ケイスケカンダの新ブランド「ケイスケカンダ・エア」。

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アンリアレイジの2010年秋冬コレクション「wideshortslimlong」より。

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都築響一の名作写真集「着倒れ方丈記 Happy Victims」より。

「ANOFUKU」展
会期:2017年9月6日〜10月28日
会場:パリ日本文化会館
Maison de la culture du japon à Paris
101bis, quai Branly
75015 Paris
開)12:00~20:00
休)日・月
入場無料
http://www.mcjp.fr/ja

réalisation:MARIKO OMURA

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