バカラのクリスタルルーム 、模様替えと新しいシェフ。
Paris 2018.02.28
16区のメゾン・バカラの2階、レストランのクリスタルルームが昨年後半に新しいシェフを迎え、そしてインテリアも模様替えした。メゾン・バカラのプレスティージュによりふさわしいアール・ドゥ・ヴィーヴルを提案するスペースに変身したのだ。
窓と窓の間に、576枚のバカラのクリスタルタイルが輝く、クリスタルルームの新しい内装。陽気がよくなったら、庭にもテーブル席が設けられるとのこと。春が待ち遠しい。photo:Yann Deret
着席し、卓上のバカラのグラスにうっとりするかしないうち、温かいグージェール(チーズ・シュー)がサービスされる。これに釣られて、またここで食事をしよう! という気にさせられる美味しさで、素晴らしいプレリュード! 新しいシェフはミニ・パレにいた若きマチュー・メシェリだ。洗練された料理で構成されたメニューには、バカラの歴史が盛り込まれている。わかりやすい例として、バカラの故郷ロレーヌ地方の名物キッシュ・ロレーヌだろうか。あるいは、デザートのロレーヌ地方のミラベルのスフレ。これはバカラのきれいなデザートプレートにのって優雅に登場する。またフレンチ・ガストロノミーにおけるクラシック料理を週替わりで、現代風に提案。火曜から金曜のランチタイムはその日のおすすめメイン料理(22ユーロ)に前菜、あるいはデザートをプラスして29ユーロというセットメニューが人気である!


新しいシェフのマチュー・メシェリ(photo:Yann Deret)と軽く上品なグージェール(photo:Mariko OMURA)。


前菜は13〜25ユーロ。 メインのキッシュ・ロレーヌはサラダ添えで14ユーロ。魚料理は4種(28〜36ユーロ)。photos:Yann Deret


メインの肉料理は6種(24〜43ユーロ)。デザートは6種。バカラのデザート皿にうっとり! photos:Yann Deret
2003年にメゾン・バカラがここ16区に移転オープンしたとき、クリスタルルームを含めて全館の内装がフィリップ・スタルクに託された。クリスタルルームはオープン以来シェフが変わっても、内装はスタルク時代のままだったのだが、今回新しいシェフによる新しいメニューとなり、そしてインテリアも大御所ジャック・グランジュによって模様替えが行われたのである。バカラのクリスタルが映える高い天井とクラシカルな床のゴージャスな空間に、赤、グリーン、ピンクといったカラフルな家具をグランジュは配置。さらに、暖炉の上のクリスタルのオブジェも、テーブルに置かれたアルクール、ミルニュイといったバカラのグラスもそれに呼応するように、赤、ブルー、グリーン……空間にポップな軽やかさが跳ね、陽気な雰囲気を醸し出している。窓側で光り輝くのは、576枚のクリスタル・タイルに覆われた壁だ。


満席でも落ち着いて食事ができる余裕ある空間(photo:Yann Deret)。カラフルなグラスや家具が陽気な雰囲気をクリエイトしている。


10名までの貸切用のサロン・ローズも明るく改装され、堀木エリ子によるシャンデリアSoraが卓上に。このサロンにはテラス席もあり、広場を眺めながらの食事もとれる。
クリスタルルームには新しくバーがオープンした。階段の踊り場に下がる157灯が燦然と輝くシャンデリアを愛でながら、好みのバカラのグラスでカクテルを。クリスタルのバー・カウンターも実に見事で、美しい輝きに見とれてしまう。


階段の壮麗なシャンデリア(photo:Claude Weber)が眺められるバーがオープン。クリスタルのバー・カウンターあるいはその向かいのテーブル席で豊かなカクテル・タイムを(photo:Yann Deret)。


カクテルは16種。バカラのグラスの美しさも味わえる。木曜から土曜の宵はピアノ演奏あり。photos:Yann Deret
なおレストランの食事客は、美術館を無料で見学できる。美術館では昨秋から展示品を変え、『Baccarat la modernité intemporelle(バカラ、タイムレスなモダニティ)』展を開催中。ここも模様替えが行われ、その結果は、建築ファンを喜ばせるものであり、見逃せないものに。これについてはパリデコで紹介することにしよう。
11, place des Etats-Unis
75116 Paris
tel:01 40 22 11 10
営)12:00〜15:00、19:30〜22:00(バー 18:00〜24:00)
休)日・月
http://cristalroom.com
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réalisation:MARIKO OMURA