1994年から20周年記念の2009年まで。
Paris 2018.04.04
1994年春夏コレクションは、“ファンの部屋1994”の右隣の横長のショーケース内にマルタンによるコラージュで紹介されている。
このコレクションはプレゼンテーション形式で発表されたのだが、驚いたことにデビューから1993〜94秋冬コレクションの中からセレクションされたピースの復刻という回顧コレクションで、モード史上例をみないものだった。モード界の仕組みに一石を投じる試みでもあり、また過去のコレクションを買いそびれた顧客やファンの希望に応えるものだったそうだ。プレゼンテーションのモデルたちの腕や首などには、紹介する服が発表されたシーズンが黒くスタンプされていた。
会場はこの後も、時代順に続いていき、最後の部屋は2008年9月29日に開催された2009年春夏コレクションにあてられている。メゾンを創立したマルタン・マルジェラ本人によるメゾン マルタン マルジェラの最後のショーだ。過去20年間の40回のコレクションから彼は各1ルックをセレクションし、40ルックでショーを構成。彼が追求したテーマやリサーチの集大成が見られた。まずは、この最後のショーの紹介から始めよう。これを見ると、いま現役で活躍しているデザイナーたちの中で誰がマルタン・マルジェラをスピリチュアル・ファザーとしているか、どれほど後輩たちに大きな影響をマルタン・マルジェラが与えたか、が見えてくるだろう。なお、メゾンは創立者マルタンが去った後はデザインチームがクリエイションを引き継ぎ、そして2015年春夏オートクチュールからは先にも書いたようにジョン・ガリアーノがクリエイティブ・ディレクターを務めている。
最後となった2009年春夏コレクション
最初のコレクションで発表されたジャケットがプリントされたシルクサテンのポスターを、ドレスとしてモデルが着用した。なお展覧会場では係員が座る椅子も、メゾンの店舗やオフィスと同様に白い布でカバーされている。
オーバーサイズのネックレス。ジョワイユリーのファースト・ピースで、Damianiによって制作された。
左:ビニールのショッピングバッグ2つで作った肩の張ったボディ。ベルトはトレンチコートのベルトをリサイクル。革のサンダルはオーバーサイズならぬアンダーサイズ。中:ニットのプラストロン(胸当て)は人形の服を人間サイズに拡大した94〜95年秋冬コレクションへのオマージュ。右:ヴィスコースのアシンメトリー・ドレス。サンダルはアンダーサイズ。
ヘア・ウィッグ・ジャケットは2008〜09年アーティザナル・コレクションより。©Julien Vidal/ Galliera/ Roger-Viollet
オーバーサイズのシルクのソワレ。
1994〜95年秋冬コレクションから、2008〜09年秋冬コレクションまで。
マニフェストの10コレクションと、上記に紹介した20周記念の2009年春夏コレクションとの間にはさまれた時代。人形の服の人間サイズへの拡大、昔の服のレプリカ、平面の服、XXXLサイズ……こうしたエクスペリメンタルなコレクションをクリエイトする一方で、1997年から2003年の6年間はエルメスのクリエイティブ・ディレクターとして12のコレクションを発表した。
会期:開催中~2018年7月15日
Palais Galliera
10, avenue Pierre 1er de Serbie
75116 Paris
開)10:00~18:00(木 21:00)
休)月、5月1日
料金:10ユーロ
réalisation:MARIKO OMURA