100周年のル・ヴォードヴィル。ブラッスリーが元気なパリ。
Paris 2018.05.03
改装し、メニューを一新して、とパリのあちこちで、ブラッスリーが元気を取り戻している。2区の旧証券取引所のお向かいのLe Vaudeville(ル・ヴォードヴィル)もそのひとつ。特に今年は100周年を祝うということもあって、なおさら活気づいている。


お化粧直しが終わったル・ヴォードヴィル。今のパリで欠かせないのはアペリティフ・タイム。17時〜20時はビール、シャンパン、モヒートなどが1杯6ユーロのサービス価格だ。シックなビストロ・チェアのテラス、クラシックなバーのどちらにする?


ワインやカクテルを楽しむアペリティフのためのシェア料理もメニューに並ぶ。18〜20時(週末を除く)は、牡蠣のBelondines no.3 を3つと白のグラスワインがセットで9ユーロのハッピー・オイスターズを。photos:Yann Deret
創業時代はカフェ・ヴォードヴィルだったが、第一次大戦中に爆撃の被害にあってしまった。この不幸を機にブラッスリーとして1918年に再建。以来ずっと同じ場所でアール・デコの内装を守りつつ営業を続けているのだ。大理石の壁、バラの蕾がモチーフのモザイク・タイルの床、巨大なシャンデリア……。1918年というのはどんな年かというと、ピカソがバレエ・リュスのダンサー、オルガ・コクローヴァと結婚し、ル・ムーリスのポンパドール・サロンで披露パーティーを開いた年である。ファッション界では、ココ・シャネルが男性不在の戦時中に女性たちが活動しやすいジャージーの服を流行らせていた。それから100年……。
ブラッスリーになる前のカフェ・ヴォードヴィル。名前の由来はここに移転する前に営業していた場所が、ヴォードヴィル座の向かいだったことから。
きれいに、そして美味しくなったル・ヴォードヴィル。テラスも店内もいかにもパリのブラッスリーだ。photos:Yann Deret
100周年を記念する化粧直しによって、新たな息吹を得たアール・デコの店内。伝統的なブラッスリー料理をいただくには最高の雰囲気だ。もっともこれから太陽に恵まれる季節は、 テラス席もとても魅力的。メニューを開くと、魚介の盛り合わせ、カキや甲殻類のアラカルトなどから始まり、前菜はオニオン・グラタンスープ、エスカルゴ、ウフ・ミモザなどが並び、メインはベアルネーズソースのフィレ肉ステーキ、タラのグリル……伝統的なブラッスリー料理がずらりと並んでいる。毎週の日替わり料理は、月曜がコンフィ・ドゥ・カナール、火曜はトマト・ファルシというように、こちらも金曜日まで超クラシック。でも、重いクラシックではないのでご安心を!
ブラッスリーに不可欠の海の幸の盛り合わせは43.90ユーロ〜。
ロブスターとマヨネーズ。29.50ユーロ。
前菜から。ブラッスリー定番のウフ・ミモザ(7ユーロ)。ル・ヴォードヴィル版は白味に詰めた黄味にもちゃんと仕事が施された上品なひと皿。
日替わり料理(ウィークデー18ユーロ)。金曜なら、タラのアイヨリ・ソースだ。祭日とその前日以外は前菜、メイン、デザートの各3品からチョイスできるセットメニューがある。前菜+メイン、あるいはメイン+デザートで22ユーロ、前菜+メイン+デザートなら29ユーロ。
朝から深夜までの営業時間中、朝食、ランチ、ディナーに加え、ティータイム、半端な時間の軽食、あるいは食前酒……ル・ヴォードヴィルはさまざまな要望に応えてくれる。
食後のデサートに、あるいはティータイムにイル・フロタントを! 塩バターキャラメルの隠し味が効いている。7.50ユーロ。
ミルフィーユとモンブランはAngelina製だ。photo:Yann Deret
29, rue Vivienne
75002 Paris
tel:01 40 20 04 62
営)8:00〜24:00(日・月〜23:00)、ランチ12:00〜15:00、ディナー19:00〜24:00(日月〜23:00)
無休
www.vaudevilleparis.com
réalisation:MARIKO OMURA