コローの『青い服の婦人』を見に、マルモッタン美術館へ。
Paris 2018.05.14
パリ16区のマルモッタン・モネ美術館で開催されている『コロー、画家とそのモデルたち』 展に行ってみよう。画家ジャン=バティスト・カミーユ・コロー(1796〜1875)の名にすぐに思い浮かぶのは、バルビゾンやフォンテーヌブローの森を描いた風景画ではないだろうか?
会場で一番人気の作品は、ポスターにも使われている『La dame en bleu(青い服の婦人)』(1874)photo © RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Stéphane Maréchalle
この展覧会では、彼が残した人物画にフォーカスをあてている。肖像画ではなく、人物画である。状況の中でポーズをとる女性、民族衣装を着せたモデル……描かれていた多くは女性たちだ。中でも傑作とされるのは、展覧会のメインビジュアルとなっている『青い服の婦人』(1874)。この作品のモデルを務めたのはエマ・ドビニーといって、展覧会を構成する10テーマのうち、彼女もひとつのテーマとなっているほど繰り返しアトリエに呼んだプロのモデルである。エドガー・ドガの絵画のモデルでもあった彼女は、画家をインスパイアする動きの持ち主だったようだ。コローのアトリエには民族衣装や小道具が常備されていて、彼女はそれを身につけてポーズをとった。
エマ・ドビニーをモデルにした『Jeune fille grecque à la fontaine』(1865〜1870)。 photo ©RMN-Grand Palais(musée du Louvre)/Daniel Arnaudet
こちらもモデルはエマ。『Jeune fille en costume grec』(1870〜1872)photo ©RMN-Grand Palais(musée du Louvre)/Franck Raux
コローが人物を描き始めた当初、モデルは家族や近親者だった。その頃の作品を集めたテーマ「コローとポートレート : インティメートな時代」から展覧会は始まる。これらは主に1830年代に描かれたものだ。会場はさほど広くなく、小さなまとまりの10のテーマで展開する。美術館は美術収集家ポール・マルモッタンの邸宅だった建物。彼が暮らしていた時代のままにアンピール様式の家具、調度品が配置された部屋を見学できる。そして美術館名が示すようにモネの作品も展示しているので、企画展を堪能した後、館内を一周するのを忘れないように。
家族や近親者を描いた肖像画から展示はスタート。
ヌード、メランコリーといったテーマで、コローの人物画の変遷を見せる。
展覧会の締めくくりは、画家のアトリエをテーマにしている。
会期:開催中〜2018年7月8日
会場:Musée Martmottan Monet
2, rue Louis-Boilly
75016 Paris
開)10:00〜18:00(木 〜21:00)
休)月
料金:11ユーロ
www.marmottan.fr
réalisation:MARIKO OMURA