期間限定メイド・イン・フランス通りは買い物ストリート。
Paris 2018.05.28
本当の名前はrue du Verbois(ヴェールボワ通り)なのだけど、7月15日までここはメイド・イン・フランス通りとなって、100以上のフランス生産のブランドを販売中だ。コンセプトストアとオンリーブティックの合計7カ所でモード、食、インテリア……分野はさまざま。パリっ子たちは最近ショッピングをする際に、フランス産かどうかを気にかけるようになっているので、実にタイムリーに出現したストリートといっていいだろう。フランスの地方のブランドがほとんどなので、日頃パリでは見つけられないブランドにこの通りで出会える。ひょっとすると、珍しいお土産も見つけられるかもしれない。
メイド・イン・フランス通りだもの、もちろんトリコロールがお出迎え!
L’Appartement françaisで販売されているLe Biberon Français。ベビーの哺乳瓶だって、メイド・イン・フランス!
LE VIGNT–DEUX M2(22, rue du Verbois)
22番地のLE VIGNT–DEUX M2(ル・ヴァント・ドゥ・メートル・カレ)が扱うブランドは、地方で昔から奮闘している歴史と物語を持つメーカーというセレクションが面白い。このイベントの核をなすブティックといっていいだろう。ブティックに入るや、目に飛び込むのはトリコロールの歯が笑っているようなモチーフのスニーカー(135ユーロ)。これは創業1927年のLa Manufacture(ラ・マニファクチュール)のオリジナルなのだが、あいにくとブティックで即購入ができず、1週間ほど待たねばならないのが玉に瑕。でも、トリコロールのバランスも良く、爽やかでチャーミングで気になる一足だ。
La Manufactureのトリコロール・スニーカー、135ユーロ。
トリコロールの歯ブラシは、bioseptyl(ビオセプティル)の品。ボーヴェにあるフランス初でそして最後の歯ブラシのメーカーで、創業は1845年だそうだ。それゆえ同じ経営者によるヘアブラシのブランドは1845と名付けられている。
トリコロールの歯ブラシ(大人用4.3ユーロ)。その他、ホタテの貝殻、コルク、リサイクルのプラスチックといった素材で作られた柄から取り外して、ブラシ部分のみ付け替えられるタイプもある。


ミント味の歯磨き粉。子ども用はストロベリー味だ。1845のヘアブラシはベビー用から揃えられている。
ブティックの奥、カラフルに並べられているのはDegorce(ドゥゴルス)の室内履き(ショッソン)と運動靴。国際漫画祭が開催されることで有名なシャラント地方のアングレームで製造されている。ステッチ&リターン縫製が特徴のシャラントンのショッソンは、フランスでは 室内履きの代名詞といえるほど。といっても古くさい格子柄だったり、おじいちゃんのイメージが強いせいか室内履きは徐々に廃れつつあって……。新しいオーナーがそれをリニューアル。グラフィックでカラフルなフェルトのショッソンが登場した。また、フェルトの色合わせが素敵な運動靴の製造も始めている。


創業1935年という古い靴製造業のManufacture Degorce。倒産の危機を現在のオーナーに救われた。室内履きは49ユーロ(大人)、39ユーロ(子ども)。運動靴は大人サイズのみで79ユーロ。
ジーンズとスニーカーの売り場には、1083というブランド名が掲げられている。この数字は創業年ではなく、フランスで最も離れたふたつの街を結ぶ距離が1083㎞ということからだ。この距離内での流通経路で製造するというマニフェストの数字である。ビオのコットンを織って布にし、染めて、縫製に至るまですべてフランス国内にて。ユーズドのジーンズを回収し、それらをリサイクル使用するプロジェクトも進んでいる。
Tシャツに描かれているのはフランスを意味する六角形で、斜めの線がふたつの街を結ぶ線である。これはジーンズのポケットにも見ることができる。“あなたの住まいから1083km圏内で生産されています!“ とうたうブランドだ。
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Orijns / Garçon français(22, rue du Verbois)
ここは、ふたつのブランドのブティック。Garçon françaisはメンズで、Orijns(オリジン)はキッズ、レディース、メンズのブランドである。後者はトロワで2013年に創業された。店内に並べられた若いオーナーによるクリエーションは、メッセージTシャツやスウェット……ほんのりヴィンテージタッチのシンプルなデザインが特徴だ。メッセージやデッサンのプリントも、ボタンも何もかもすべてがメイド・イン・フランス。その“オリジン”を誇る、という思いがブランド名に込められている。
ウィンドウはメンズの下着がメインだが、店内の右手ではレディースのプレタも販売。


OrijinsのTシャツは1着30ユーロ台。マリンストライプの長袖ワンピースがもうじき入荷する。
L’Ecrin(24, rue de Verbois)
コンセプトストアのL ‘Ecrin(レクラン)ではモード、陶器、アクセサリー、さらに店の奥に食料品のメイド・イン・フランスを揃えている。フランス産のボンボン、ピクルス、レモネード、それにサヴォワ地方で製造されるパスタまで!
ファッションだけでなく、食料品も豊富に扱うエクラン。
陶器、水着、バッグ、文具……複数のブランドからいろいろ集めて。
ニットの蝶ネクタイもメイド・イン・フランス!


店内の奥へ進もう。ボンボン、ピクルス、パスタ……などの食料品コーナーがある。
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L’Appartement français(16, rue du Verbois)
60以上ものメイド・イン・フランス・ブランドを扱っているL’Appartement français(ラパルトマン・フランセ)はバザール風のコンセプトストアだ。商品のバリエーションもとても豊富。
ブティックの上にIMPRIMERIEと掲げられているように、ここはかつて印刷所だった。


昔の作業着風のKiplay Vintageのデニム、フランスのさまざまな地方のアルチザンが参加しているla Chaise françaiseの椅子……。セレクションは幅広い。
妙に可愛いのが、“私に刺青を編んで”という意味のTricote moi un Tattoo(トリコット・モワ・アン・タトゥー)なる不思議なブランド名のスウェット。肩だけにタトゥーニットのシンプルなタイプ(100ユーロ~)もある。


刺繍のキットから茶碗まで、小さなメイド・イン・フランスが店の奥に勢ぞろい。
以前コレットで紹介された1930年創業のLe Galion(ル・ガリオン)の香り。
Pépite Ile de France(45, rue Volta)
ヴェールボワ通り17番地にLe Petit Parisienというパン屋がある。その角を曲がったヴォルタ通り45番地はPépite Ile de France (ペピット・イル・ド・フランス)といって、イル・ド・フランス圏内の学生起業家によるブランドを販売するブティックだ。ほかと違って、期間中、この店ではブランドの入れ替えをし、複数を紹介する番外編的スペースとなっている。


服の上につける皮革のアクセサリーをクリエイトするのはSarah Belfer。


パーツが取り替えられるバッグはPOKAのデザイン。SHAMHAのパフューム・キャンドルはモントルイユのアトリエで手作りされている。
通りではこのほかオンリーブティックのJacquard Françaisが30番地に、DAOが7番地に店を構えている。メイド・イン・フランス通りの営業時間の目安は、火曜から土曜が11時から19時、日曜が12時から18時。地下鉄の最寄り駅はTempleだが、Republiqueからも徒歩で行ける距離だ。
réalisation et photos : MARIKO OMURA