アイザック・レイナ。革のバッグを包み込む革の世界へ。
Paris 2018.06.24
ピカソ美術館の通りにブティックを構えるアイザック・レイナ。スペイン・カタルーニャ地方出身の彼がデザインする平面的で超ミニマルなバッグは、日本でもいくつかのセレクトショップが扱っているようなので見かけた人もいるだろう。つい最近、サン・ジェルマンに、30平米の2号店をオープンした。
かつてAesopのブティックがあった場所にオープンしたアイザック・レイナのブティック。オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー、ラデュレ、ブラジル発のグラナドといったブティックと同じ通りだ。
ミニマルなブティック。デザインしたのはベルナール・デュボワ。
ここは、ちょっと特別なブティックだ。扱っているのは色数を絞ったベーシックなバッグがメイン。彼が使う極めて柔らかい革は、普通の2倍のなめしが施されているそうだ。しなやかで官能的な手触りのバッグは、持ったら手放したくなくなる。そんなバッグをまるで宝物のように大切にしまっている、といった感があるのが、この新しいブティックの面白いところだ。
アイザックはエルメスのメンズ部門で、7年間ヴェロニク・ニシャニアンのアシスタントを務めていた。ある時、3日間の革のアトリエ研修に参加し、「自分がしたいのはこれだ!」と退社を決心。これがブランドの始まりだ。
アイザックが使う革は、羊革も牛革もとにかくソフト。
カードケースは紙のように薄い革を裏表で合計8枚使用している。それでも、信じられない薄さだ。
デザインを任されたのはベルナール・デュボワだ。最近ヴァランティン・ゴティエのブティックを手がけたベルギーの室内建築家である。ジオメトリックなラインが特徴のデザインで、70〜80年代に活躍した日本人建築家の篠原一男の仕事にオマージュを捧げているそうだ。ぜひ、店内に入ってみよう。アイザックは中央に大きなテーブルを置いて、と思っていたそうだが、ベルナールがデザインしたのは丸でもなく、半円でもなく、その半分の四半円のテーブルだった。移動可能なテーブルなので、2つくっつければ半円にもなるというもの。


四半円のテーブル。空洞ではなく引き出しになっている。
このテーブルだけでなく、店内には革がたっぷりと使われている。店の奥の情報に見える革の扉は在庫置き場の扉だそうだ。そこに至る階段も革で覆われているのが、なんともすごい! そして階段脇の壁の半円は、開くとライティング・ビューロー風のオフィスになるというのも、すごい! 営業時間中は開かれているので、それによって階段が隠されることになる。
革で覆われた階段。開店の前後に使用するそうだ。


半円を開くと戸棚とライティング・ビューローが登場する。階段は開いた扉の半円によって隠される。
革は使いこまれることで、色が変わってゆく。彼のバッグが年月とともに変化するように、ブティックの内観も変化を見せるのだ。ぜひ、早いうちに一度ブティックをのぞきに行ってみよう。
20, rue Bonaparte
75006 Paris
tel:09 72 66 33 47
営)11:00〜19:00
休)日〜水
www.isaacreina.com/fr
réalisation:MARIKO OMURA