狩猟自然博物館では、特別展と名和晃平展の両方を見ないと。

Paris 2018.10.09

マレにある狩猟自然博物館では『カントリー・ライフ』という、なんとも心くすぐる響きの展覧会が開催中だ。アメリカの大富豪ポール・メロン(1907〜1999)が収集した絵画から、馬や競馬、そして田舎の時間をテーマにしたスポーティング・アート作品を集めての展示である。1階奥、馬の毛布を思わせるようなウールのカーテンを開けて入る特別展の会場は、厩のような作り。エルメスのウインドウを手がけているアントワーヌ・プラトーが会場構成を担当したそうだ。

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アントワーヌ・プラトーによる会場構成。©Antoine Platteau, Georgi Stanishev

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厩舎に入ったような印象を与える構成だ。

ポール・メロンは競走馬のオーナーで、親から受け継いだ潤沢な資産で絵画を収集。今回展示されている作品41点は、彼がヴァージニア美術館(VMFA)に寄贈した作品である。馬のポートレート、狩猟など4つのテーマで展示は構成されていて、馬好きでなくても楽しめるのは田園風景のテーマだろう。フランスでは滅多に見る機会がないクロード・モネ、ギュスターヴ・カイユボット、ラウル・デュフィといった珍しい作品が会場の奥に展示されている。

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クロード・モネの『ジヴェルニーのひなげし畑』(1885年)© The Paul Mellon Collection, Virginia Museum of Fine Arts

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ベルト・モリゾの『Sur la Plage, Les Petits-Dalles, Fécamp』(1873年)© The Paul Mellon Collection, Virginia Museum of Fine Arts

特別展を見終えたら、博物館の上階へ行こう……いや、上階から鑑賞を始めてもいい。こちらでは日仏友好160周年を記念するイベント「ジャポニスム2018」の一環として、2タイプの名和晃平の作品の展示を見ることができる。そのひとつは対象物の表皮を光学的に変換するというPixCellのシリーズから、PixCell-Deerが2点。ちなみにPixCellはPixel とCellをかけあわせた作家による造語である。「鹿と狼の間」では透明なボールで覆われた剥製の鹿が、博物館の常設の鹿と空間を共にするという味な展示だ。もうひとつは、コレオグラファーのダミアン・ジャレットと共同で制作したビデオ。これは画面の映像が暗いせいか、見そびれる来場者も少なくないようなのが残念だ。博物館内、常設展も楽しめるので入ったからには、ぜひ全館くまなく歩き回ろう。

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名和晃平の『PixCell-Deer#49』(2017年) Courtesy SCAI THE BATHHOUSE © Nobuta Omote / SANDWICH

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名和晃平の『PixCell-Deer#50』(2017年)は「トロフィーの間」で 常設の剥製に混じって展示されている。

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名和晃平のPSpider (1/3_Black Sic_VESSEL)』( 2016)、Courtesy SCAI THE BATHHOUSE and ARARIO GALLERY © Kohei Nawa et Damien Jalet, Cliché : Nobuta Omote / SANDWICH

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館内、動物の剥製を妙な場所で発見したり……。

「カントリー・ライフ」展
会期:開催中〜2018年12月2日
会場:Musée de la chasse et de la nature
62, rue des Archives
75003 Paris
開)11:00〜18:00
休)月、祝
料金:8ユーロ
www.chassenature.org

réalisation:MARIKO OMURA

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