アリックス・D・レイニスの左岸店はジャコブ通り22番地。
Paris 2018.12.11
フィガロジャポン1月号のパリジェンヌ特集でも紹介されている、美しきデザイナーAlix D. Reynis(アリックス・D・レイニス)。彼女の素敵な冒険は続き、11月22日、左岸のジャコブ通りにふたつ目のブティックをオープンした。市場通りとして観光客に愛されているセーヌ通りやビュッシ通り、映画撮影による使われるフュルステンブルグ広場などの近くで、ラデュレのブティックが同じ通りにある。ジャコブ通りには18世紀建築が多数残っていて、アリックスが店を構えた22番地もそのひとつである。お隣の20番は1824年にドラクロワが暮らしたが、“アマゾネス”と異名をとるナタリー・クリフォード・バーニー(1876〜1972)が20世紀初頭に女性同性愛者や作家たちのサロンを開いていたことで有名な場所だ。
ジャコブ通り22番地のブティックは85平米の広さがあり、中が3パートに分かれている。
伝統的サヴォワールフェールを用いたアトリエ作業も眺められるブティックだ。
ブティックは3つのパートで構成されている。天井と壁の境に古い建物でよく用いられていたアカンサスの葉のモチーフが浮き彫りされていて、まるでアリックスの磁器の模様のひとつのよう……もちろんアリックスもこの美しい彫りものを見逃さず。これにインスパイアされて、ローズ・ダカント(アカンサスのバラ)というモチーフのカップをこのジャコブ店限定としてデザインした。
ジャコブ通り店だけの限定モチーフである、ローズ・ダカントのカップ(40ユーロ)。
ひとつ目のスペースは巨大な食器棚というイメージ。真っ白い磁器が焦げ茶色の空間に美しく輝いている。マレ店の地下にあったアトリエが、この新しいブティックでは中庭に面して設けられ、ガラス扉を通じて通りから見える作りだ。
手仕事の魅力が美しい器が並ぶ店内。
シンプルなモチーフが微妙な歪みのフォルムに映える磁器。
器の売り場との境のドアのガラス窓から見える、中庭に面したアトリエ。
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ふたつ目の濃いブルーの部屋は、パフュームキャンドルとジュエリーの売り場だ。ここではガラスで囲われた小さなスペースがジュエリーのアトリエとして使われているので、タイミングがよければ、作業を眺めることができる。
パフュームキャンドルとジュエリーの売り場。
シンプルで日常使いしたくなるジュエリーの数々は価格も手頃だ。
3つ目の部屋からもジュエリーの作業場を覗くことができる。
いちばん奥の部屋には、アリックス・D・レイニスの世界が部屋の中央に置かれた大テーブルの上に展開されている。天井から下がるペンダントライトの傘も、もちろんアリックスのデザインだ。この部屋では窓のフレームのステンドグラス、花模様の美しい暖炉も見逃さないようにしよう。
テーブルセッティングを施した暖炉のあるブリティッシュ・グリーンの部屋。アリックスが提案するアール・ド・ヴィーヴルを堪能しよう。
展示に使われているテーブルや家具類は古いものばかり。Nomibisというブロカントがパートナーで、品によっては販売もするそうだ。
明かりが灯るとモチーフが浮き上がるランプシェード。
réalisation:MARIKO OMURA