新ディレクターによるBarrieのカシミアは、春のマスト。
Paris 2019.01.07
スコットランドのBarrie(バリーニットウェア)は創業116年。シャネルの傘下になった2年後の2014年からカシミアのブランドとしてコレクションを発表している。頭文字のB 、アザミの花、3Dニッティングといったメゾンのコードは、すでにファンにはおなじみだ。
2019年春夏コレクションから、アーティスティック・ディレクターにオーギュスタン・ドルマイヨを迎えた。カシミアの伝統とクリエーションの強烈なタッグマッチは、早くも彼によるファースト・コレクションで見ることができる。素材の可能性に挑戦する彼。カシミアならではの発色の良さを生かし、グラフィックなタッチ、ヴィンテージテイスト、ストリート・マインドなどをデザインに取り込んで、カシミアの新しい時代の幕開けを宣言した。
バリーニットウェアのロゴはこれまではボタンなどに控えめについていたが、今シーズンはビッグなBで登場した。ブランドの特徴のひとつである3Dニッティングもロゴに生かされている。
コレクションを見ると、オーギュスタンって誰?と気にならずにはいられない。今年30歳の彼は、LISAAの美術学校を卒業後、カール・ラガーフェルドとヴィルジニー・ヴィアールのアシスタントとしてシャネル社でのキャリアをスタートした。主にスポーツウエア、アクセサリーを担当しているそうだ。バリーニットウェアのアーティスティック・ディレクター就任に際して、こう語っている。
「技術の進歩のおかげで、クリエイティビティは一歩先へと進むことができる。これが挑戦することの素晴らしさです。編み目や編み方から、新しいものをクリエイトし、それがまた……というように。こうしてコレクションを重ねながら、ブランドは表現を続けていきます。カシミアは原材料です。そのカシミアが持つ多彩な面を見せることが大切なんです」
アーティスティック・ディレクターのオーギュスタン・ドルマイヨ。彼はカシミア・コットン、カシミア・シルクなどを新しいコレクションに導入した。
スコットランドにアトリエを構えるバリーニットウェアでは、アイテムを仕上げるのに必要な40工程のほとんどを手作業で行っている。そして、編み上がったニットは工場の脇を流れるティビオット川の澄んだ水で手洗いされ、糸を開かせるのだが、洗う時間は経験豊富な職人が糸に応じて判断するそうだ。若きアーティスティック・ディレクターによって、サヴォワール・フェールが失われるどころか、よりダイナミックに21世紀に飛躍! これぞシャネルのメティエダールだ。
新しいコレクションはすでにパリのブティックに並びはじめている。オーギュスタンによるファースト・コレクションを早速、手にとってみよう。
réalisation:MARIKO OMURA