【こんなフレンチが食べたかった! 3】サクレ・フレンチー!へ。

Paris 2019.10.31

エントランスに掲げられているのはフランスを象徴するトリコロール、そしてココリコ! と鳴く雄鶏。初夏にオープンしたSacré Frenchy!(サクレ・フレンチー!)は、名前が物語るように、“とんでもなくフレンチ” なネオ・ブラッスリーなのだ。オープンして間もないけれど、味、サービス、雰囲気の三拍子が揃っていて最高!と好評である。

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三色旗のようなエントランス。セバストポール大通りと伝説のクラブ、レ・バン・ドゥーシュがあったウルス通りの角にある。地下鉄の最寄駅はエティエンヌ・マルセル、ランビュトー。ポンピドゥー・センターからも近い。

エスカルゴかウフ・マヨか……迷うも楽し。

まずテーブルにプージョランのパンとイジニーのバターが登場する。これだけで、すでに “ああ、フランスで食事をするのだ!” と気分が盛り上がるのだが、メニューを開くとさらに高揚感が増す。前菜にポロネギのマリネ、ウフ・マヨネーズ、エスカルゴ、フォアグラ・メゾンなどがあり、メインにはマグレ・ドゥ・カナール、サーモンの片面焼き、牛肉のタルタルステーキ……耳慣れたビストロ料理名に食欲がぐっと刺激される。また、パリの最近の定番料理であるハンバーガー、デトックス・ビーガン・サラダも用意され、さまざまな来店者を満足させるメニューだ。

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前菜のブルゴーニュ産XLサイズのエスカルゴ(6個8ユーロ、12個16ユーロ)。

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手前はポロネギのマリネ(8ユーロ)。後方はカニとアボカド(9ユーロ)。パンは7区のジャン・リュック・プージョランから焼きたてが届く

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“ネオ” ブラッスリーらしく、メニューにはパリジェンヌに人気のデトックスサラダも。

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気取りのないおいしい料理ほどうれしいものはない。

新鮮素材をシンプルに調理し、気取りのない盛り付け。そこそこにボリュームがあり、どことなく家庭料理を食べているような安心感をもたらす料理ばかり。ボリュームという点、マグレ・ドゥ・カナールのローストは350グラムと半端ではなく、これを目当てに通う常連客もいるとか。これからの寒い季節には、ブッフ・ブルギニヨン、ポトフ、ブランケット・ドゥ・ヴォーといった煮込み料理がメニューに加えられるそうだ。店内には大きなロースターが備えられていて、エリゼ宮御用達の有名な精肉店Boucheries Nivernaisesから届くチキン、コート・ドゥ・ブフなどのローストも味わえる。シェフのニコラ・ビュッツはその腕前をデザートにも発揮し、いまの季節なら、たとえば栗のシャルロット。冬にはタルト・タタン……。 サクレ・フレンチー!の価格はかなり手頃である。気になる料理を、懐をあまり気にせず味わえるのも人気の所以だろう。

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メインのブラックタイガー海老のソテー、プロヴァンス風(25ユーロ)。

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ランチタイムメニュー(12時〜14時30分/月〜金)は、前菜+メイン+飲み物あるいはメイン+デザート+飲み物で16.5ユーロ。前菜+メイン+デザート +飲み物でも19.5ユーロだ。メニューの星印付きの料理、あるいは本日の料理から選ぶ。写真はある日の本日のメイン“豚フィレ肉のハニーソース、ピューレ添え”。なかなかのボリュームだ。

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ある日の本日のデザート。ふわんふわんの栗のムースに塩バターキャラメルがアクセントを添えるマロン・シャルロット。

また半端な時間でも食事ができるのがブラッスリーの良いところ。サクレ・フレンチー!では、メニューにプチ・フレンチー(月〜金)というランチとディナーの間の食事を提案している。フレンチー・バーガー、サラダ、シャルキュトリーとチーズの盛り合わせ、バニラアイス添えブリオッシュのパン・ペルデュ、タルト・タタンなど、さまざまなお腹の空き具合を満たす内容だ。

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いつでもオーダーできるフレンチー・バーガー(18ユーロ)。フランス産の肉を使い、チーズはAOCサヴォワのトム。フォアグラのプラスも可能だ(2.5ユーロ)。サクレ・フレンチー!には通りとガラスで隔てられたテラス席もある。

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ミルフィーユ、フルーツサラダ、イル・フロタント、 パン・ペルデュ(写真)、イジニー・クリーム添えタルト・タタンなどデザートはブラッスリーのクラシックがずらり(8ユーロ〜)。

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誰もが幸せな気持ちになれるブラッスリー。

シェフが扱う素材は鮮度がいいのはもちろん。いまの時代のブラッスリーとしては環境に優しいことも大切にし、可能な限りパリ近郊からの取り寄せに努めているという。国連が定めるラベルClimate Neutral Nowを早くも得て、二酸化炭素ニュートラル・カンパニーとしてレストランで初の認定を受けたことをおおいに誇っている。またサクレ・フレンチー!は子どものためのプログラムもいろいろ。これは親が大人の時間をゆっくり過ごせるための趣向なのだが、キッズフレンドリーであるのは確か。子どもたちの面倒はシッターにお任せ!のコーナーが用意され、両親たちは、週末はブランチ、水曜の晩はカラオケを存分に楽しめる、というわけだ。

インテリアについていえば、新しい店ながらずっと前から存在しているような印象を与える。壁を飾るのはミスタンゲット、映画『ロシュフォールの恋人たち』など、いかにもフランス!というポスター。プレイエルの古いピアノの上にはモノクロ写真の額が置かれ、おばあちゃんの家を訪ねたような気分を演出。このピアノで演奏されるのはモーツァルトからポピュラー音楽までジャンルは幅広く、来店客の大勢を満足させている。

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セバストポール大通り側の店内。

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ピアノが置かれているのはウルス通り側。

地上階はこのように昔ながらのブラッスリーといった雰囲気で満たされているが、地下にはバーカウンターのある秘密クラブめいた少々デカダンなスペースが。オーナーのジャン・ユード・ベルナールはいずれここをイヴ・サンローランやサガンが通ったことで有名なLe Mathis Barのような場所にできたら、と考えている。限られたジェットセッターが集まり、予約もテーブルの割り振りもすべてがオーナーの采配で決められていた、という伝説の店だ。これについては、行方を見守ろう。

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種類豊富なカクテルもサクレ・フレンチー!の自慢だ。アペリティフの時間をテラス席でのんびり過ごすのもいいだろう。ディナータイム(19時〜22時30分)にも手頃なセットメニューが用意されている。前菜+メイン、メイン+デザートで26ユーロ、前菜+メイン+デザートで35ユーロ(コート・ドゥ・ブフ、ガンバス、フォアグラを除き、メニューから選べる)

大通りに面した広いレストランというと、料理も雰囲気も大味なイメージがあるけれど、上で語ったようにサクレ・フレンチー!はそんな既成概念とは無縁である。かつてイベントのオーガナイズに関わっていたジャン・ユード。陽気で温かい雰囲気作りはお手のもので、食事にカフェにとサクレ・フレンチー!に入ってきた人々は、幸せな時間を過ごして店を後にする。

Sacré Frenchy!
58, boulevard de Sébastopol, 75003 Paris
営)11時30分〜翌2時 ※23時L.O.
無休
www.sacrefrenchy.com

réalisation:MARIKO OMURA

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