【オテル・リッツの新活用法 1】サロン・プルーストで朝食を。
Paris 2020.02.19
カルティエがラペ通りにブティックを移した1898年、その延長上にあるヴァンドーム広場15番地にオテル・リッツ・パリが開業した。宝石商広場と別称されるヴァンドーム広場は、その時からいまに至るまでフレンチ・リュクスの代名詞である。ハイジュエラーはこのアドレスを名乗れて、初めて胸を張れる、という魅惑の広場だ。昨年は、オテル・リッツの向かい側にグッチのハイジュエリーの店がオープンした。
パリ滞在中、観光なり買い物なりで一度は足を運ぶだろうヴァンドーム広場。ぜひオテル・リッツの回転扉をくぐってみよう。宿泊客以外の人々に、これまで以上に扉は大きく開かれている。
作家の肖像画を掲げたサロン・プルースト。通路に面し、“見る・見られる”ことを楽しめるスペースだ。裏手には白鳥の蛇口がチャーミングな化粧室が。photo:Mariko Omura
常連として有名な人物のひとりは作家マルセル・プルースト。彼は宿泊していたのではなく、ホテルに通っていたそうだ。1階のロビーの一席を陣取り、筆を取り出し創作を進め……1919年にゴンクール賞を受賞した『失われた時を求めて/花咲く乙女たちのかげに』が書かれたロビーというのは、フロントロビーとは別で、現在サロン・プルーストと呼ばれている奥まった一角である。書棚、暖炉が設置された温かみと落ち着きのあるスペース。これまで午後にティータイムを過ごせただけだったが、最近、この素晴らしい雰囲気に包まれて朝食が取れるようになった。宿泊客対象の朝食と一線を画し、ここはヘルシー志向のメニューで自分の理想とするボリュームの朝食を構成できる。アラカルトにはアサイーボウル、バーチャミューズリー、アボカドトーストなどがあり、これと飲み物といった組み合わせも可能。あるいはホットドリンク、オレンジジュースかグレープフルーツジュース、そしてヴィエノワズリーのセット(23ユーロ)もライトな朝のスタートに悪くない。
サロン・プルーストで朝食を!©Bernhard Winkelmann
オテル・リッツのホームメイドを味わう。ヴィエノワズリーはアラカルトなら1個7ユーロ。
「レッドフルーツのバーチャミューズリー」(16ユーロ)。アラカルトにはデトックスジュースも用意されている。©Bernhard Winkelmann
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朝食は8時から12時で、その後12時から14時まではランチタイムとなる。メニューに並ぶのはサラダ、サンドウィッチ、ライトなクリエイション……気軽に上質でおいしいランチをとりたいときに最適では?
なおサロン・プルーストではランチタイムに続くティータイム(14時30分〜18時)が終わると、20時まではシャンパン・バーとなる。どのタイミングで活用するにしても場所の雰囲気と5ツ星のサービスを味わうのも忘れずに。
ランチメニューより、「蟹とアボカドのトースト」(48ユーロ)。朝食には、蟹肉ののっていない「リッツィ・アボカド・トースト」(18ユーロ)を。トーストには11区のChambellandのグルテン&ラクトーズフリーのパンが使われる。©Bernhard Winkelmann
「トリュフドレッシングのインゲンサラダ」(38ユーロ)©Bernhard Winkelmann
「スウェーデン風アボカド&アーティチョーク・サンドウィッチ」(36ユーロ)。ベジタリアンバーガーや、鮭のタイ風サラダなども。©Bernhard Winkelmann
réalisation:MARIKO OMURA