会場に満開する、クリスチャン・ルブタンのファンタジー。
Paris 2020.07.12
現在、パリ12区のポルト・ドレ宮で開催中のクリスチャン・ルブタンの30年を辿る展覧会『Christian Louboutin : L'Exhibition[niste]』。その1に続いて、パリに行けない人も展覧会を楽しめるよう、写真とともに紹介します。
The Atelier
アトリエの仕事をお見せしましょう、という部屋では、いくつもある靴作りの工程の中から分かりやすくざっくりと5段階にし、ルブタン自身も参加したミニフィルムでユーモラスに紹介している。赤い緞帳が開いて始まる映像の5つのブースをたどって、靴作りをマスター!?


道具や足型などが満たすアトリエも再構築されている。photos : Mariko Omura
ステップ1からステップ5まで、楽しい音楽にのせて紹介。photo : Mariko Omura
約100の工程があるという靴作り。ルブタンが忙しく映像の中を駆け巡るのも道理だ。©Marc Domage
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Suggestion & Projection
英国で最も降雨量が多いという町の、ある老婦人宅のリビングルーム。おばあちゃんの趣味で飾られた何の罪もなさそうな部屋だが、近づいてよーく装飾を見てみよう。壁紙、ソファ、クッション……クラシックなトワル・ド・ジュイかと思いきや、複数の女性の裸体が絡み合っている。フェティッシュでエロティックな写真で知られるピエール・モリニエの写真からのモチーフだ。ここで展示されているスーリエはエロティックなファンタズムに結びつくタイプばかり。
この部屋の主の英国老婦人はとんでもないパンキッシュおばあちゃん!! ©Marc Domage


こういうノスタルジックなインテリア好き!と近寄ってみると、あららおばあちゃんたら!と驚かされる。photos : Mariko Omura


18歳未満はこの部屋は素通りするのがベター? photos : Mariko Omura


部屋の内装とテーマを分かち合うスーリエが棚を埋めている。photos : Mariko Omura
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Bhutanese Theater
音楽とダンスに魅せられ、ルブタンはナイトクラブのル・パラスに通う子どもだった。関心を寄せる舞台芸術は、彼にとってクリエイションの大きなインスピレーション源。ルブタンのシューズデザイナーのキャリアの始まりが、ショーダンサーのための靴だったことを思い出させる。この部屋のためにルブタンがコラボレーションをしたのは、彼が愛してやまないブータン王国の職人たちだ。
ディタ・フォン・ティースとフットボーラーにオマージュを捧げる2本のホログラム作品。合間には会場のライトが点灯され、壁に展示されている靴が姿を表す。©Marc Domage
ブータンの寺院や修道院の建築に用いられる彫刻と塗装の職人仕事が生きた劇場が、この部屋のために特製された。©Marc Domage
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Biography
1964年の誕生に始まるルブタンの人生を写真で紹介するコーナー。10代から通っていたル・パラス、当時の仲間たち……。
文字と数字が並ぶ年表ではなく、写真でたどるルブタンの半世紀。photo : Mariko Omura
中学の校門を出たところで撮影された14歳のルブタン少年。まるでモデルか子役といった佇まいの彼を撮影したのは、写真家ベルナール・フォコンらしい。©Christion Louboutin. BM
バイオグラフィーの続きとなる部屋ではベンチに腰掛け、マオリの血をひくニュージーランドのアーティスト、リザ・レイハナに依頼した彼の人生のさまざまな瞬間をちりばめたデジタルフレスコ画『A Reverie』の鑑賞を。
なお、ケ・ブランリー美術館ができる前、パリでオセアニア芸術を展示していたのがこのポルト・ドレ宮である。
『A Reverie』はルブタンのプライベートコレクションやゆかりのある場所などで構成されたデジタルバイオグラフィーだ。©Marc Domage
ルブタンはヴェネツィア・ビエンナーレで感嘆したレイハナの仕事をiPhoneで撮影し、名前を保存していた。オーストラリアに旅した時に、「近くにいる!」と彼女に電話したところ、ディナーに招かれたのだが、近くといっても彼女の住まいはニュージーランドのオークランド。まさか飛行機で5時間もかかる距離だとは、電話した時には思いもしなかったそうだ。©Marc Domage
その3へ続く。
開催中〜2021年1月3日
Palais de la Porte Dorée
293, avenue Daumesnil
75012 Paris
開)10時〜17時30分(火〜金) 10時〜19時(土、日)
休)月
料:12ユーロ(要予約)
www.palais-portedoree.fr
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réalisation : MARIKO OMURA