ヴェルサイユ宮殿の小ヴェニス、運河の近くでイタリアン。
Paris 2020.07.30
ルイ14世の時代、ヴェルサイユ宮殿の大運河の船遊びにヴェネツィア(フランス語ではヴニーズ)の総督から、ゴンドリエ(船頭)付きで4隻のゴンドラが贈られたそうだ。運河近くの船の倉庫そしてゴンドリエたちの住居のための建物群は、「La Petite Venise(ラ・プティット・ヴニーズ)」と呼ばれ……。その後ゴンドラがどうなったかは不明だが、19世紀前半、建物は厩舎に。時は流れ、いま、その地には本格的なイタリア料理レストランのラ・プティット・ヴニーズがオープンし、歴史へオマージュを捧げている。フランスを代表するヴェルサイユ宮殿で思いもかけずにおいしいイタリアンのランチがとれるとは!と、訪問客にとってはうれしい驚き。シャトー見学後、トリアノン宮殿へと向かう途中、運河の脇のラ・プティット・ヴニーズで過ごす時間を予定してはどうだろうか?
ラ・プティット・ヴニーズ。photo : Mariko Omura
厩舎らしく木材が印象的なレストラン内。photo : Mariko Omura


長閑でロマンティックな雰囲気。営業は18時までで、ランチタイムの後はティータイムとして利用できる。photos : Mariko Omura
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最近レストランが迎えたシェフは、ロンドンのブルガリ ホテル内のイル・リストランテ、モンテカルロのラ・トラットリアを経て、ヴェルサイユにやってきた ロビー・ペパン。名店出身の彼は新鮮な素材を用いた、味わい深い料理をメニューに並べている。スペシャリテはオリーブオイルでマリネしたタコの前菜だ。ざくっと潰したほの温かい茹でジャガイモと一緒にいただく。10年前に悪魔と呼ばれたタコも、いまではフランスで市民権を得て愛される海の幸である。
前菜にはオリーブとレモンのコンフィが味わいを添えるタコのマリネを。わずかに顔をのぞかせる小葱のスライスの香りもいい感じだ。なお前菜は12ユーロ〜。photo : Mariko Omura
前菜の盛り合わせ(33ユーロ)はシェアで。たとえばスプリッツ(写真)やマルティーニといったアペリティフとともに。
ビーフのカルパッチョやプイユ地方のブッラータなど前菜は5種。パスタとニョッキのコーナーは合計4種と多くはないのに、どれもおいしそうなのでひと皿を選ぶのが難しい。メインはチキンのバーガー、仔牛のロースト、鯛のグリルと素材を生かしたシンプル料理だ。ボリュームもそこそこあるのでパンナコッタや季節のフルーツサラダといったデザートを目指すなら、メニュー選びは慎重に 。
左はリゾットのように見える海の幸のパール状パスタ、右はおなじみリガトーニ・アマトリチャーナ。パスタは18ユーロ〜。photos : Mariko Omura
デザートは9ユーロ〜。左はメレンゲ添えのレモンタルト、右はイチゴとルバーブのマーマレードを添えたバニラ・パンナコッタ。photos : Mariko Omura
レストランは運河に近いので、食後は船遊びに興じてみるのも楽しそう。シャトーの窓から庭を見下ろした時に見える運河で船をこいで、ひと味違ったヴェルサイユ宮殿の思い出をひとつプラス!
30分13ユーロ、あるいは1時間17ユーロ photo : Mariko Omura
Enclos de la Petite Venise
Parc du Château de Versailles
(Place d’Armes, Allée d’Apollon)
78000 Versailles
営)11時45分〜18時 (ランチ〜15時30分 )
休)月
www.lapetitevenise.com
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réalisation : MARIKO OMURA