エームからマガリ・ポンへ。ジュエリーの冒険へ再出発。

Paris 2020.11.06

マガリ・ポンを本誌で紹介したのは、いまから15年前のこと。ラ・プレリー・ド・パリのジュエリーをデザインしていた彼女が自分のジュエリーブランドをスタートするという時で、“愛”をテーマにした企画にパートナーのアドリアンと大きなお腹で登場してもらった。ブランドを“Love”を意味する「Aime（エーム）」と名付けた彼女は、余裕のない若い女性たちも入手できる手頃な価格のファンタジージュエリーをクリエイトし続け、その間にジョン・ガリアーノ、ヴァネッサ・ブリューノ、ホリデーなどのジュエリーを任されて、とフル回転で活動。3人の子どものママとなった3年前に、エームの活動を終えることにした。

マガリ・ポン。3人目の子どもが３歳を迎えたところで、自分の名前のブランドをスタート。

そして今年6月、彼女は自分の名前を冠したブランド「Magali Pont（マガリ・ポン）」を設立。今回は投資者がいるおかげもあり、また彼女自身の成長もあり、エーム時代のファンタジージュエリーからグレードアップして、シルバーとゴールドを素材にしたジュエリーをクリエイトすることにした。エーム時代に人気のあったアイコニックなシリーズ“コルヌ”、“トルサド”も、マガリ・ポンでは新たにシルバーとゴールドで。といっても、シンプルなデザインなので装いを選ばず、日常使いができる。新しいブランドでは、クオリティと仕上がりのよさを大切にしてゆきたいと語る彼女。パリではエームを過去に扱っていたブティックのメルシーで早くも販売が始まった。

“ツノ”を意味する「Corne」のシリーズより。シルバーのリングは140ユーロ、ブレスレットは386ユーロ。ゴールドのリングは165ユーロ、ブレスレットは424ユーロ。

「Corne」のクレオールは片耳販売（シルバー362ユーロ、ゴールド384ユーロ）なので、遊び方が複数ある。

縄編みの「Torsade」コレクションより。シルバーのリングは99ユーロ、ブレスレットは320ユーロ。ゴールドのリングは122ユーロ、ブレスレットは360ユーロ。

8角形の中央部分が回転し、裏表のモチーフが楽しめるメダルペンダント。長さ80cm。490ユーロ。

次々と新しいデザインを発表するのではなく、組み合わせている石をロッククリスタルからトルコ石に変えて、といったバリエーションを提案してゆくそうだ。それに加えて、カプセルコレクションやコラボレーションでのジュエリーも考えている。そして、このブランドでは食卓まわりの小物もシルバーで作りたい！と意欲を燃やすだけでなく、いずれはホワイトゴールドやイエローゴールドを用いた本格的なジュエリーも、と新たな冒険に乗り出した彼女の夢は果てしない。マガリ・ポンのロゴはイニシャルMPの旗を掲げ、ライオンにまたがるアマゾネスのような女性。これはスターリングシルバー925のジュエリーのための刻印として、彼女をよく知る友人がデザインしてくれたもので、彼女と二人三脚で公私ともに前進を続けるパートナーのアドリアンとの関係も見て取れる。マガリ・ポンのジュエリーは今日の独立した女性のための武器、というステートメントにふさわしいロゴだ。