パリ、写真ファンのお愉しみ 4 4月、装飾美術館で所蔵作品を集めた『写真の歴史』展。

Paris 2021.03.10

その前に美術館が再開されていればの話だが、エイプリルフールであって欲しくないと願うのは、4月1日から開催が予定されるパリの装飾美術館の『写真の歴史』展だ。美術館はモード、建築、風景に関する1840年から現在にいたるまで35万点の写真を所蔵し、その貴重な財産を展覧会の形で一般公開するのはこれが初めてのことである。

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左:Horst P.Horstによるメインボチャーのコルセットをつけたマダム・ベルノン. 1939年撮影。© Horst P. Horst,Vogue / Condé Nast Photo : © MAD Paris /Christophe Dellière
右:David Seidnerが1985年にイタリアン・ヴォーグのために撮影したイヴ・サンローランのクチュールドレス。© David Seidner Archives International Center of Photography Photo: © MAD Paris / Christophe Dellière  

美術館の前身は1864年に創立された産業応用芸術中央連合で、ここでは写真は職人や芸術家にインスピレーションを与える最も効果的な媒体のひとつとみなされていた。第一回の産業応用芸術展の開催時には1883年に設けた独自の写真現像所を活用し、写真家たちに参加を呼びかけた。これをきっかけに、美術館は徐々に写真のコレクションを充実させてゆく。

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左:アンリ・ボダンによるシアノタイプ。1895年。Photo: © MAD Paris / Jean Tholance
右:
ライムント・フォン・シュティルフリートが1882年ごろに撮影した侍は、着色写真だ。Photo: © MAD Paris / Jean Tholance

『写真の歴史』展では、教育的意味合いを強く持っていた写真の起源をイントロダクションとし、次いで1920〜30年代へと。写真が広告に用いられるようになった時代である。1925年にアールデコ展が開催され、写真の市場が開拓される。装飾芸術やアート関連の雑誌が発行されるようになると、そこで写真は大きな役割を担うことになるのだ。フランソワ・ブーシェの働きかけで1948年にフランス衣装芸術連合が創立され、モード、テキスタイル、写真などを収集。その管理が装飾美術館に任され、1981年に2つのコレクションがひとつにまとめられて、装飾美術館の写真コレクションの土台を築くのである。5年前に開催された『壁紙の4世紀』は美術館所蔵の貴重な壁紙コレクションで来場者を驚かせたが、今回は見事な写真の財産が昨年から閉ざされている美術館を再訪する人々を楽しませてくれるのだ。

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ロベール・ドアノーが1965年に『6人のカメラマンとパリ』展で発表したエッフェル塔。© Robert Doisneau / Gamma Rapho Photo: © MAD Paris / Christophe Dellièr

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左:ポール・アンロが1953年に撮影したサンジェルマン・アン・レイの建物の階段。Paul Henrot/DR Photo: © MAD Paris / Christophe Dellière
右:ジャン・コラスが1925〜30年ごろに撮影したマネキン。Jean Collas / DR Photo: © MAD Paris / Christophe Dellière

『Histoire de photographies』展
会期:4月1日〜2022年1月
Musées des Arts Décoratifs(現在休館中)
107, rue de Rovoli 75001 Paris 
開)11時〜18時
休)月
料金:14ユーロ(26歳以下無料)
https://madparis.fr

réalisation : MARIKO OMURA

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