ピエール・フレイのインテリアモチーフで、50年代南仏へ。

Paris 2021.05.01

フランスを代表するインテリアファブリックの老舗、メゾン・ピエール・フレイ。ファブリック、壁紙、カーペット……たとえばホテルがリニューアルオープンした時など、内装にこうしたピエール・フレイの品を取り入れていることを高級の証として発表する。洗練されていすぎたり、大胆すぎたりと日本のインテリアにどれもが向くモチーフではないけれど、壁紙の「Eternel Été(永遠の夏)」、テキスタイルの「Joie de Vivre(生きる喜び)」、敷物の「Soleil d’Été(夏の太陽)と名付けられた南仏気分いっぱいの夏のコレクションは見逃せない。

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左:2021年夏のコレクション「Eternel Été」より、壁紙のアルピーユ。 右:アーカイブに保存されている19世紀のプロヴァンス地方のスカートの内側のストライプ。そこから生まれたアルピーユには、オークルと黒のオリジナルカラーに加え、パステル3色のストライプも追加された。 

ピエール・フレイでは1935年の創業から現在にいたるまでの自社のモチーフ、さらに16世紀からのフランスの生地やデッサン、絨毯などのモチーフも含めて資料としてメゾンのアーカイブに保存している。時代、テーマ、テクニックといった項目別に整理され、その数は約3万点。個人アーカイブとしてはじつに豊かである。アーカイブはデジタル化され一般客、室内装飾家たちも見ることができるが、ピエール・フレイのクリエイションスタジオにとって大きなインスピレーション源なのだ。そのままで復元するものもあれば、スケール、素材、色を変えて新しいコレクションとして発表するものも。

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プティ・シャン通りにあるピエール・フレイのアーカイブ。 

この夏の3つのコレクションは南仏の50年代をテーマに、アーカイブから選びだされた10種近くのモチーフがベースとなっている。ファブリックや壁紙に、現代の暮らし向きにアレンジされたモチーフ によるコレクションだが、新作とはいえレトロタッチなのがたまらない。とりわけ50〜60年代のインテリアファンでなくても、その魅力はセレクションに迷うほど!

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左:「Eternel Eté」の壁紙グラース。 右:1950〜60年代にジェルメール・ミディが描いただろうとされる花模様。オリジナルの色と手描きの風合いそのままに壁紙に。

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左:こちらも「Eternel Eté」より。壁紙のレ・ポットリー。 右:1950年代、布のプリントのために準備されたデッサンのグアッシュ(上)。ポットは手描きの味わいを残しつつ、デッサンしなおされ、新たな色で壁紙に。    

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左:この夏のコレクション「Joie de Vivre」より。手前はポセイドン、後方はアルレジエンヌ。 中:アーカイブより。現代的にすべく、ポセイドンの人魚たちの目は新しいファブリックには描かれていない。 右:インドで生まれた鱗モチーフは、18世紀からいまに至るまで人気である。プロヴァンス地方の昔のペチコートに用いられた茶系の鱗模様(下)が、新たな色で壁紙と絨毯にアルレジエンヌの名でこの夏を彩る。

Pierre Frey
47, rue des Petits Champs
75001 Paris
www.pierrefrey.com

réalisation : MARIKO OMURA

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