シャネル展とテラスレストラン! ガリエラ美術館の誘惑。

Paris 2021.05.18

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ガリエラ美術館。5月19日、この美しい庭にレストランがオープン。photo:Mariko Omura

5月19日、パリでは昨年11月から眠りについていた美術館、映画館、劇場の扉が開き、レストランのテラスとカフェのテラスも営業を始める。誰もがこの日を、まるでお祭りが始まるかのように待っているのだ。さて、この日はいったいどんな騒ぎになることやら !! たとえば、16区のガリエラ美術館。『ガブリエル・シャネル、モードのマニフェスト』展の再開と、テラスレストランの新オープンという2つの大きな話題がある。5月19日から、大勢を集めることだろう。

『ガブリエル・シャネル、モードのマニフェスト』展、7月18日まで開催。

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シャネルのスーツ43着のオンパレード。美術館改装工事によって生まれた地下の新しいスペースにて。photos:Mariko Omura

3月14日までの予定だった 『Gabrielle Chanel. Manifeste de mode(ガブリエル・シャネル。モードのマニフェスト)』展が7月18日まで延長されての再開である。彼女のパリ初の回顧展という大規模な展覧会だというのに始まって1カ月で開催中断となったため、見逃してしまったと諦めていた人たちは大喜びである。

地上階と地下の2フロアを使っての展示。地上階は第二次世界大戦前までの仕事、地下は第二次世界大戦後の仕事の展示に分かれている。その時代の流行りとは無縁の新しいエレガンスを女性たちに提案し続けた彼女の一貫した姿勢を、2つのフロアで確認できる展覧会だ。

戦前の仕事では、何よりもそのシンプリシティに圧倒される。とりわけ彼女がデビューした1910年代は、アールヌーヴォー期で装飾性の高いモードの時代なのだから。会場で見られるのはスポーツウエアやメンズウエアからインスパイアされたシティウエア、ジャージー素材、メンズ素材、パーフェクトなカット……もちろん有名なリトル ブラック ドレスの展示も。シャネルのマニフェストはソワレの美しいドレスにも見いだせるけれど、エレガンスとコンフォートの共存というマニフェストの強さを感じられるのは動きやすさがより求められる日常に着るスーツやワンピースにおいてかもしれない。

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アイボリーのシルクジャージー素材によるアンサンブル(1922~28年頃)。photo:Mariko Omura

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左:1916年のマリニエールが、展示の中で最も古いクリエイション。カットの素晴らしさに注目を。 右:1921年にスポーツ部門のアトリエを開いたシャネル。左は1927年のテニスウエア。右は1930〜39年頃の街着。 photos:Mariko Omura

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左は1927〜29年のツイードスーツ。 photo:Mariko Omura

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左:1929 年のコートとドレス。ワンピースのプリントのモチーフをカットして、コートにアップリケしている。同様の手法で花のアップリケを施したソワレも展示。 右:1934〜35年秋冬コレクションから。メタルスパンコールの刺繍が見事なワンピースとジャケットのアンサンブル。ライダーズが愛用するペルフェクトのようなジャケットのシルエットに驚かされる。 photos:Mariko Omura

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戦後のフロアはシャネルがクチュールメゾンを1954年に再開してからのクリエイションである。メインはなんといっても1956年に生まれた20世紀の傑作、“シャネルのスーツ”を並べたウィンドウだろう。ニットのカーディガンのようにしなやかなジャケットは動きを妨げず、ポケットがつけられ、スカートも裾に向かって軽く広がり歩きやすい。まさにこの時代の独立したアクティブな女性たちが待ち望んでいたスーツだったといえる。1910年代のデビュー当時と変わらぬ、モードのマニフェストが見られるスーツである。表地はツイード、裾まわりにチェーンがあしらわれた裏地はシルク。見えない場所までも、という彼女のリュクスのヴィジョンが生かされている。

会場の曲線を描く空間に、ずらりと並ぶスーツ43着はどれもスーツなのに、それぞれに異なる魅力があり、世界中の女性たちを狂喜させたのももっともだと納得させられる。基本はスカート、ブラウス、ジャケットの組み合わせで、その派生としてコートドレスがあったり。展示は時代順ではなくビジュアル優先。中にはロミー・シュナイダーやマレーネ・ディートリッヒ、モナコの王妃などセレブリティが着たスーツも含まれている。注文などできるはずがないと知りつつも、自分だったらどれをオーダーしようか?などと、つい高根の花を夢見てしまう……。

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左:赤と紺のパート。中央は1965〜66年秋冬のコートとドレスのアンサンブル。 右:白と紺のパート。左のスーツは1964年春夏コレクション、右は1965年の春夏コレクションから。 photos:Mariko Omura

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左:腰に手をあてたポーズのマネキン。この展覧会のためのオリジナルで、力強さのあるアリュールを表現する。 右:シャネル自身のワードローブから、パジャマ、ファーコート、そしてスーツ。  photos:Mariko Omura

広いホールでは、ドレスのオンパレードが華やかに繰り広げられる。締めくくりは、1971年1月に亡くなった彼女の最後のコレクションとなった、1971年秋冬のクチュールドレスの展示だ。たっぷり時間をかけて鑑賞し、2フロアの展示を満喫した後はブティックへ。美しい写真を満載し、読み物も充実したカタログ(44.90ユーロ)は開くだけで展覧会の感動が蘇る貴重な一冊。保存版として入手しよう。

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1954年のメゾン再開以降のピースを集めた部屋では、戦前からのマニフェストの継続が見られる。展覧会を締めくくるのは、最後となった1971年春夏コレクションのドレス。 photos:Mariko Omura

『Gabrielle Chanel - Manifeste de mode』展
期間:〜7/18
Palais Galliera
Musée de la ville de Paris
10, avenue Pierre 1er de Serbie, Paris 16e
75116 Paris
開)10時〜18時(木・金 〜21時)
休)月
料金:14ユーロ
www.billetterie-parismusees.paris.fr/content?lang=fr

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600㎡のテラスレストラン「Les Petites Mains」オープン

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ガルニエ美術館の庭をレストランが美味しく占拠。レ・プティット・マンはオートクチュールのアトリエで働く“お針子さんたち”という意味だ。photos@thibautvankemmel

ガリエラ美術館の建物裏手、プレジダン・ウィルソン通り側には季節の花で満たされた大きな庭が広がる。夏の終わりまで、そこでオープンエアのレストラン「Les Petites Mains(レ・プティット・マン)」が営業されることになった。シェフはヴァンサン・マヨ。毎週更新されるメニューの基本は、自然にインスパイアされた料理ということだ。イル・ド・フランスで採れる野菜のシンプルなグリル、魚も肉も素材を生かした軽い調理。モード美術館の食事である。見た目の美しさも忘れていない。食事時間以外も営業をしているので、カクテルとあわせて軽く小腹を満たすこともできる。美しい庭だけでも人気の場所だったが、この夏は、それにおいしさもプラス!

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前菜9ユーロ〜、メイン16ユーロ〜。前菜+メインのセットは23ユーロ。photos@thibautvankemmel

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初夏の美しいグリーンに囲まれて、食事やカクテルをエンジョイしたい。photos@thibautvankemmel

Les Petites  Mains(営業5月19日〜10月31日)/  Le Musée Alliera
営)11時〜20時30分
無休
www.lespetitesmains.paris

 

réalisation : MARIKO OMURA

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