パレ・ロワイヤルの老舗グラン・ヴェフールでティータイム。
Paris 2021.06.23
パレ・ロワイヤルで18世紀のカフェ・ドゥ・シャルトルに起源を遡る高級レストランのル・グラン・ヴェフール。ナポレオン、ジョゼフィーヌ、バルザック、コレット、ジャン・コクトー、ジョルジュ・サンド、ジャン=ポール・サルトル……数え切れないほどの各界の多くの著名人がここで食事をとり、内装はクラシックで壮麗、価格もそれなり、と特別な機会に行くガストロノミーレストランだったけれど、それはいまや昔話。そう、新型コロナ以前と以降、パリはあちこち大きく変わっているのだ。 オーナーシェフのギィ・マルタンも老舗グラン・ヴェフールのページをめくり、今年5月のレストラン再開に際し、高級ビストロとしての新しい歴史を歩み始めた。パレ・ロワイヤルの回廊にテラス席が設けられ、たとえば季節の素材を生かした日替わりセットメニューは45ユーロ(前菜+メインまたはメイン+デザート)、57ユーロ(前菜+メイン+デザート)。
左: 回廊に生まれたテラス席。 右: シェフのギィ・マルタン。
また、16時から18時はテラス、あるいは歴史ある店内でティータイムも楽しめる。アラカルトだけでなく、シェフパティシエのグザヴィエ・ジャカンによるスイーツ7点の盛り合わせとホットドリンクのセットが31ユーロ。それにモエ・エ・シャンドンのシャンパンをプラスすると52ユーロ。スイーツ7点の中には、ギィ・マルタンによるシグネチャーパティスリーであるビスキュイ・ドゥ・サヴォワが含まれている。これは、ガストロノミーレストランの時代、食後にカフェに添えられたフリアンディーズのひとつだった名作。パリでこの軽い焼き菓子を味わえる場所は少ないので、ぜひこの機会に。
セットは31ユーロ。アラカルトの場合、たとえばティーは7ユーロ、フレジエやバニラエクレア、フランボワーズタルトなどはアラカルトで各17ユーロ。
白いクロスがかかったテーブル、アビランドの特製の食器でティータイムもエレガントに。ビスキュイ・ドゥ・サヴォワ(写真右)は名前の通り、サヴォワ地方で生まれた焼き菓子。スポンジ部分は極めて軽く、周囲はかすかにカリっとした食感だ。ほの甘さがクセになるおいしさなのだが、これがアラカルトにないのはちょっと残念。photos:Mariko Omura
editing : Mariko Omura