ギャラリー・ラファイエット、丸天井の下でパリ・モナムール!

Paris 2021.08.11

ギャラリー・ラファイエットでは8月31日まで夏のキャンペーン<Paris Mon Amour(パリ・モナムール)>が催されている。昨年から観光客がすっかり減ったパリで苦戦を強いられたデパートとしては、カルチャー、ライフスタイルといった面からパリの魅力を伝えるイベントを催して回復力をアピールしなくては。そのシンボルは、デパートでおなじみの高い丸天井の上から吊り下げられた赤いハートだ。これはAMI PARISのアレクサンドル・マテュッシがデザインしたブランドの人気のロゴ。どのフロアにいても目に入る吹き抜けに浮かぶ巨大な赤いハートに、心が和みそう。

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赤いハートが浮かぶパリ・モナムール。photo Mariko Omura

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左: レストランが2つあるルーフトップまで、ギャラリー・ラファイエットはパリ・モナムール! 右: ルーフトップに向かう途中、昔の広告ビジュアルが展示されているので鑑賞を。photos:Mariko Omura

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ショッピングについては、パリで買い物心をそそる売り場が用意されている。いまの時代、それはフランス生産の商品。各フロアに特設された売り場は、天井に飾られた赤と青のエッフェル塔が目印となっている。ここではアトリエ・ド・パリが提供するメイド・イン・パリ認証ラベル付きの商品も販売中だ。 また1階エントランスホールにはディズニーランドグッズを販売するコーナーも設けられている。さらにムーラン・ルージュ、ヴェルサイユ宮殿、懐かしのシトロエン2CVでパリ観光、セーヌ河クルーズなどギャラリー・ラファイエットは観光業者とタイアップし、こうした体験ができる抽選も館内で実施中。キャンペーンは建物の外にも続いている。写真家 Thibaut Grevet (ティボー・グルヴェ)が撮り下ろしたコンコルド広場、エッフェル塔、サンマルタン運河、ピガール地区といったパリの象徴的な場所の写真がショーウィンドウを飾り、来館しない人にも“パリモナムール”と囁きかけるのだ。

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フロアによってジャンルもさまざまなフランス生産品の売り場。メイド・イン・パリの認証ラベル付きの商品は購入の際に価格の端数を切り上げた分を寄付する方式で、パリの工芸やファッション、デザインの発展、促進のための基金に回されるそうだ。

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1階、ディズニーランドの特設ブティックではミニーがお出迎え。エントランスホールにはインスタコーナーも。photos:Mariko Omura

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……とはいっても、この間にデパートはおろかパリに行けるかどうかと思うと、こうした情報も現実味に欠けてしまうかもしれない。期間限定ではない話題を今後のために。まずは免税。ギャラリー・ラファイエットでは今年の1月1日から免税ショッピングの最低金額が引き下げられた。3日間で100ユーロ以上の買い物をすると、付加価値税12%が還付される。また、キャンペーン中も力を入れて紹介されているのが、2018年から続いているマカロン教室。年間を通じての開催だが、デパートのサイトから予約が必要だ(1時間30分コース、1名49ユーロ)。ショッピングの合間にグラスウォークを楽しむのもいいだろう。その名のとおりガラスの通路を進み、宙に浮いた状態でデパート館内をぐるりと眺めることができるのだ。パリ・モナムールのキャンペーン開催にあたって、ガラスウォークの上でムーラン・ルージュの踊り子たち数名が踊ったことを思えば、安全は保証付きだ。怖がらずに試してみて!

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吹き抜けに突き出しているガラスウォーク。photos:Mariko Omura

建物の歴史に目を向けた時、ギャラリー・ラファイエットでは1912年に建築された有名なクーポール(丸天井)について語らずには終われない。いかに外の光を内部に取り入れるか、ということから生まれたステンドグラスで覆われたクーポールは自然光を取り入れる機能を果たし、そしてカラフルな装飾は地上階にいたるまでポエジーをもたらすことに。建築家フェルディナン・シャニュが10本のメタルで支えた丸天井のためのステンドグラスを依頼したのは、ナンシー派のジャック・グリュベールだ。

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うねる曲線が美しい階段はルイ・マジョレルの作だ。photo:Caroline Richard

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アールヌーヴォー建築の代表と賞賛されたものの100年以上も経過し、建築当時の精彩をすっかり失ったクーポール。2年がかりの大掛かりな修復が敢行され、4月に終了した。クーポールを覆うステンドグラスの表面積は700㎡あり、透明ガラス部分も700㎡。1990枚のパネルで構成されているステンドグラス。そのモチーフを作り上げるのは鉛で仕切られた色違いのガラスで、今回の修復に際してガラスは鉛から一点ずつ外され、洗い直され、新たに鉛ではめ込まれて……。まるでハイジュエリー並のサヴォワールフェールを駆使した職人による作業が要された。こうした昔ながらの仕事をいまも続けているパリとリヨンにある2つのアトリエに、仕事は任されたそうだ。ステンドグラスの中には、面取りを施したカボションカットのガラスが散りばめられていて、クーポールを見上げたときに光を倍増させる秘訣となっている。修復に際して、LED照明は光源が下からは見えない場所に仕掛けられ、また中央から4〜5トンの重さがある大きなクリスマスツリーも釣り上げられるようなモーターシステムを設置して、思い通りの装飾ができる環境が整備された。パリの歴史ある装飾芸術が守られる裏に隠されたフランスの伝統技術と近代化のためのテクノロジーの出合いについても思いをはせながら、美しいクーポールをじっくりと眺めてみよう。

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クーポールの大修復の間もデパートは休まず営業。クーポールを閉じ込めるように周囲に建物を作り上げ、その中で22時から翌朝6時まで夜間作業が行われた。この大修復を請け負ったのはPerrot & Richard Architectes。photo:(左)Caroline Richard (右)Mariko Omura

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左、中: ステンドグラス、その裏側。 右: 改装された靴売り場から、クーポールのステンドガラスを裏手から眺められるようガラス窓が設けられた。photos:Mariko Omura

Galeries Lafayette Haussmann
40, boulevard Haussmann
75009 Paris
営)10:00~20:00(月~土) 11:00~20:00(日)
無休
https://haussmann.galerieslafayette.com

editing: Mariko Omura

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