いまは亡きアズディン・アライアへのトリビュートショー。

Paris 2021.08.16

9月27日から始まる次回のパリコレクション。最終日の10月5日20時、この春新型コロナウイルスにより春に逝去したアルベール・エルバズに捧げるAZ FACTORYのショーが開催されることが決定した。彼のクリエイティブ・ビジョンと、彼のファッションへの山ほどの愛を讃えるショーは、「Love Brings Love」とタイトルされている。さて創業者へのトリビュートショーといえば、2017年11月に亡くなったアズディン・アライアへ捧げるショーが7月4日に開催されたので紹介しよう。

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アライアの新クリエイティブ ディレクター、ピーター・ミュリエ。デザインと建築を学び、ラフ シモンズ、ジル サンダーで働く。その後、ディオールのデザインディレクター、カルヴァン クラインのグローバル・クリエイティブ・ディレクターを務めた。photo:Pierre Debusschere

ショーが開催されたのは、アトリエを備えた本店のあるムッシー通りだった。これは2月にクリエイティブディレクターに就任したピーター・ミュリエによる初のコレクション。2022年冬-春という不思議なシーズン設定はアズディン・アライア が決めたことで、年に2回発表されるコレクションはWinter-Spring(ブティック展開は12~5月)とSummer-Fall(ブティック展開は6~11月)なのだ。なお、この7月4日が選ばれたのは、パリでアライアが行なった最後のショーが4年前のこの日だったことから。翌日から始まるオートクチュール週間に集まった海外からのジャーナリストたちも会場に姿を見せ、デジタルショーでは味わえない活気が小さな通りを満たした宵となった。

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ピーター・ミュリエによる初のアライア のショー。そのファーストルック(左)とラストルック。

アズディン・アライアが遺したものは豊かであり、力強い。それをピーターがどのように今後、後継し発展させてゆくのかが興味の持たれるところである。生前のアライアと深く知り合う機会はなかったという彼にとって、メゾンのアーカイブがアライアとの本格的な出会いとなったといえる。そして彼はアライアの伝統である象徴的なフォルムをコレクションのテーマにしたい、と考えたそうだ。メゾンのアイデンティティーそのものを形成しているアーキタイプ(原型)があり、アライアがより完璧を求めてそれら原型をもとに仕事をし続けたように、彼もアーキタイプから出発。ボディスーツ、コルセットベルト、コローラスカート、フード、ジャンプスーツ……アトリエ仕事を生かした女性の自由な美しさを讃える作品を発表した。今後、アライアの遺産を新たな次元に高めてゆく仕事が彼を待っているのだ。なおショーに際しては、ピーターがアライアに宛てた感謝の手紙が招待客の椅子に置かれていた。

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シルエットは紛れもなくアライア! 立体的なバッグ、メタルのアンクルリングをつけたシューズといった新しいアイテムも登場した。

editing: Mariko Omura

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