J.M.ウエストンのギャラリーブティックで、靴がアート作品に。
Paris 2021.10.18
左から、『Wx7 Pairs』、『Double You』、『 C…W』
パリ市内、J.M.Westonのブティックは複数ある。ギャラリーブティックとうたうマレ店では12月過ぎまで『Chaussoeuvres(ショシューヴル)』展が開催され、その前を通ると、コレ何だろう??とガラス越しに見える展示作品に好奇心がそそられてしまう。chaussure(靴の意味)とoeuvre(作品の意味)を掛け合わせたタイトルに、2017年からアーティスティックディレクターを務めるオリヴィエ・サイヤールの遊び心、アート心が感じられるのでは? ブティック内に展示されているのは、彼のアイデアのもとメゾンのスタジオがクリエイトした11作品だ。会場では同時に創業1891年から靴作りに培われているサヴォワールフェールをたどることができる。
180 シグニチャーローファー、タッセルローファー、ハントダービーといったおなじみの靴、さらにフランス共和国衛兵たちのブーツまでがアートピースとして待つ、テクニックとアートの出合いの場がこの展覧会。えっと驚き、くすっと微笑んで……。
左: 『N°4 V.V.』。グッドイヤーウェルト製法を用いたボックス仔牛革ローファー。タッセルローファーが登場したのは1980年からで、その40年間の勝利を意味するVを重ねてウエストンのWにかけた作品名が名付けられた。 右:『WWW』。ゴルフ・ダービー。フリンジがストレートあるいはカーリーに伸びて……ダダイスト的作品に。
左: 『4x4 W』。ヨットダービー。コットンの靴紐で結びつけられた左右の靴が床面彫刻をなす。この作品にオリヴィエ・サイヤールによるJ.M.ウエストンの最初のパフォーマンスを思い出す人もいるだろう。 右: 『JMWによる180』。180 シグネチャーローファーは1946年生まれで、メゾンの最も代表的な型。エレメントがクリップでとめられ、縫製なしのアートピースとして展示されている。
editing: Mariko Omura