パリから2022年春夏コレクション パリでいちばんおもしろい、ユーゴ・クライトの新美学ジュエリー。
Paris 2021.10.21
ハンドメイド・エイリアン・ジュエリーとうたう「Hugo Kreit(ユーゴ・クライト)」。まずはインスタグラムを覗いてみよう。自身の名前をブランドに冠したユーゴの3回目のコレクションとなる2022年春夏コレクション「Dream」をいち早くチェックすることができる。11月17日までプレオーダーを受け付け中だ。ショーのプロデュースで知られるアレクサンドル・ドゥ・ベタックのオフィスのシニアデザイナーという肩書を持つユーゴは、昨年の外出制限期間中のショーが催されない時期にジュエリーを作り始めた。昨年8月に初のコレクションを発表。この時からインダストリアルデザインを学んだ彼ゆえか、用いる素材がジュエリーの世界では珍しいものであることに変わりがない。
左: ユーゴ・クレイト。ジュエリーの仕事は夜に進めているそうだ。 右: 2022年春夏コレクションのタイトルは「Dream」。写真はバービーピンクの「lily」。
ポスト・カオスへの旅と彼が表現するカラフルなコレクション「Dream」は、持ってみてその軽さに驚かされる。アルミニウムを主素材に色はリキッド・クローム。自身がよく使うリボン、花、ハート、葉っぱという絵文字をデザインのベースにしている。フランスの手作りの伝統とデジタルカルチャー、ナチュラルとサンテティック、醜さと素晴らしさ、リアルとファンタジー、プレシャスとフェイク……こうした相反する2つの要素が拮抗するジュエリーに、新しい美とエネルギーが宿っている。
左: イヤリング「lily」。この色はベビーブルー。 右:フロッグ・グリーンのイヤリング「bow」。リング、フィンガーティップリングもある。
左: レモンイエローの指輪「iris」と手袋。 中: シルバーの指輪「iris」。 右: チョーカーとイヤリングも「iris」。
左: イヤリング「swirl」。先端はハンドペイントされた真珠なので、一点ずつ微妙にフォルムが異なる。 右: イヤリング「oyster」。
ジュエリーのすべてがフランス国内での手作り。アルミニウムの鋳造ができるアトリエはフランスにはたった2カ所しかないそうだ。そしてアルミニウムの花は車体塗装用のスプレーガンで吹き付け染め。チェーンはクリスタルを手縫いして仕上げる。ちなみにベルトチェーン1本を仕上げるのに、ユーゴは5時間かかったという。
ブローチ「lily」とベルトチェーン。使い方は自由だ。
なお、彼のブランドの初回コレクションの「Tears」は樹脂が流れ落ちるコントロール不能なジュエリー。色名にしても、スライムグリーンなど毒を感じさせるものをあえて選んだ。2つめのコレクション「Abyssh」ではブラスを素材に、人体に絡みつくようなデザインだった。これらもインスタグラムでチェックしてみるといいだろう。次が気になる注目のデザイナーである。
editing: Mariko Omura