パリの秋、植物園で空中プランツを眺め上げるトロピカル散策。
Paris 2021.10.30
11月14日までパリの植物園の大温室で催されている「Automne Tropical(トロピカルな秋)」展。毎年秋、植物界のダイバーシティにフォーカスしたテーマの展覧会が企画されていて、今年の主役はエピファイトである。土のない高所でほかの植物をサポートにして生きている植物たち。といっても寄生しているのではなく、雨水あるいは湿気で自生。水分は肉厚の幹で保存するのだ。森の上方で太陽の光を浴び、森の下生えと争うこともなく、多数の花粉交配者とのアクセスがあり、風を活用して種を撒き散らし、また蟻と共存しているタイプもあって……というエピファイトの生き方を知ると、自然の豊かさに改めて感動を覚えるのでは?
左: どんなエピファイトが見られるのか、まず写真でチェック。 右: エントランスで頭上を見上げて!
広いスペースでは植物が空中でレースを編むように展示されている。
エピファイトの性格上どうしても展示は上方となるので、来場者は上を向いて温室内を歩くことになる。500点のエピファイトをレース模様を描くような配置で木々の幹間などに展示。美しく見ごたえがある試みだ。それぞれの色、グリーンのニュアンス、テクスチャー、グラフィズムなどをじっくりと観察しよう。エピファイトの多くはラン科、そしてアロムやアナナス系だ。トロピカルの森で多く見つけられるけれど、トロピカルでなくても湿気たっぷりの森、あるいはトロピカルの乾燥した森でも……フランスでは苔、羊葉、地衣といったエピファイトがみつかるそうだ。
左からベゴニア系、アナナス系、アロム系。
オーキッド系のエピファイトはパリ近郊の「Les Orchidée du Val d’Yerres」から。
リヨンやナントの植物園からの取り寄せに加え、展示植物はニームの近くで2ヘクタールの土地で30万近いティランシア(エアプランツ)を栽培している苗木屋「Tillandsia Prod」、エッソンヌ地方で蘭科や肉食植物のエピファイトを栽培する「 Les Orchidées du Val d'Yerres」などからも。なお会場にはこうした苗木屋たちによるブティックも併設している。
温室内のティランシアを集めたコーナー。
左: 「Tillandsia Prod」を1993年に設立したふたり組。 右: 彼らによる、ティランシアで作り上げる垂直の庭。
会期:開催中~2021年11月15日
Les Grandes Serres
Le Jardin des Plantes de Paris
57, rue Cuvier
75005 Paris
www.jardindesplantesdeparis.fr
editing: Mariko Omura