冬のパリ、展覧会とバレエとレストランでロシアを夢見る プティ・パレはロシアの巨匠イリヤ・レーピン展。

Paris 2021.12.26

フォンダシオン・ルイ・ヴィトンで開催中の『モロゾフ・コレクション』展では、フランスの芸術家だけではなく、モロゾフ兄弟がコレクションしたロシアの芸術家の作品も展示されている。その中に1点含まれている画家イリヤ・レーピン(1844~1930)。現在ジャン=ミッシェル・オトニエルの作品が無料鑑賞ができるプティ・パレでは、その彼のフランス初の回顧展『Ilya Répine(イリヤ・レーピン)』を開催している。テーマに沿った会場作りで雰囲気を盛り上げるのが上手なプティ・パレ。今回はサブタイトルの「ロシアの魂を描く」にふさわしく、ツァーの時代、革命の時代に入り込める作りだ。

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会場構成も見どころの『イリヤ・レーピン、ロシアの魂を描く』展。photo:Mariko Omura

日本はもちろんフランスでもレーピンの名前はほとんど知られていない。1873年からヨーロッパに旅に出て、1876年までパリに滞在した彼。その間に印象派の作品に接したが、さほど関心は持たなかったらしい。展示内容は13テーマに分かれ、サンクトペテルブルク、パリ、家族的サークル、肖像画家レーピン、旧ロシア、イワン雷帝、アイコン的作品、ツァー体制、レオン・トルストイ、栄光と疑問、フィンランドへの出発、ロシア革命、晩年という順で展開。19世紀後半から第一次大戦後までのロシアが彼の筆によって、しっかりと描かれている。

プティ・パレ館長が“絵画界のトルストイ”と表現するように、19世紀から20世紀にかけてのロシアの絵画史において、レーピンは重要な名前である。この展覧会をきっかけに、彼の作品に親しむことにしよう。

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左: 『Sadko dans le royaume sous-marin』(1876年)はロシアの詩にインスパイアされ、3年がかりで仕上げた。 右: パリ時代の作品から。1870年代、彼はパリに3年間滞在した。photos:Mariko Omura

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左: レーピンは自分の子どもたちをモデルにした作品を多く残している。左の『Libellule』(1884年)は12歳の娘がモデルだ。 右: 『Repos』(1882年)。うたたねする妻を描いた。これが彼が妻を描いた最後の作品で、ふたりはその後離婚した。photos:Mariko Omura

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左: 『Le Duel』(1897年)ロシア文学にも頻繁に登場する決闘をテーマに。 中: 左は『Portrait de Sophie Menter』(1887年)。ピアニストのソフィー・メンターはリストの弟子。 右: 『Ils ne l’attendaient plus』(1884〜1888年)。流刑された家の主人の思いがけない帰還をブルジョワ家庭の内装とともに。photos:Mariko Omura

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作家トルストイをテーマにひと部屋設けられている。レーピンがトルストイに初めて会ったのは1880年。作家にすっかり魅了、彼はトルストイが1910年に亡くなるまで70点近い肖像画を描いた。裕福な暮らしを嫌ったトルストイが農作業をする姿も、そこに含まれている。

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左: 亡くなる10年前、76歳の時の『自画像』(1920年)。 右: 展覧会の最後の会場。右はコサックダンスがテーマ。彼にしては明るい色彩が豊富に用いられた『Le Gopak, Danse des cosaques zaporogues』(1926-1930年)。

Ilya Répine, Peindre l'âme russe』展
会期:開催中~2022年1月23日
Petit Palais
Avenue Winston-Churchill
75008 Paris
開)10:00~18:00(火~木、土) 10:00~21:00(金)
休)月
料)13ユーロ
www.petitpalais.paris.fr

editing: Mariko Omura

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