3人の女性が提案するジュエリー。キーワードはエシカル アンティークジュエリーのギャルリー・ペネロープ。

Paris 2022.01.15

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カミーユ・キュヴリエと「Galerie Pénélope(ギャルリー・ペネロープ)」が扱うアンティークジュエリーの例。エンゲージリングもアンティークで! photo:(左)Camille Chaudeurge

カミーユ・キュヴリエが創設したアンティークジュエリーのオンラインブティック「Galerie Pénélope(ギャルリー・ペネロープ)」。若い女性の視点が選び、インターネットで販売することでアンティークジュエリーの世界がぐっと若返り、フランスのみならずアメリカや日本からの購入も、というように2年前の開設以来、順調である。ちなみに彼女は現在32歳だ。扱うのは主に19世紀初頭からアールデコ期にかけてのジュエリー。もっとも彼女自身の好みゆえ1970年代~80年代も少々混ざっているそうだ。ギャルリー・ペネロープがうたうのは、ユニーク、プレシャス、エシカルの3つ。カミーユはそれについてこう語る。

「私自身、アンティークジュエリーが好きで身につけています。ほかの人とは同じではないジュエリーですね。昔のジュエリーは似たものはあっても、一点ものがほとんど。それでユニークなんです。プレシャスというのはふたつの点から。まずは素材。ほとんどがゴールドやプラチナといったプレシャスなメタルを使っていて、それに組み合わされているのは貴石、半貴石ですから。そして、一点ものであることの希少性ゆえにプレシャスです。エシカルというのは新たにジュエリーを生産するのではなく、既存の品の命を永続させるということゆえに」

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オンラインブティックでは、価格もスタイルもさまざまなアイテムを扱っている。左: イエローゴールド、ダイヤモンド、パールが星を描くリング(売却済)。 中: 18Kイエローゴールドとトルコ石のイヤリング。 右: 19世紀後半の18Kピンクゴールドとパールのカフブレス。

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彼女は2016年にマーケットプレイスのEtsyなどでアンティークジュエリーの販売を試してみてから、2年前にギャルリー・ペネロープをスタートした。かつてアンティークジュエリーを求めるのはアメリカ女性が多かったけれど、最近はフランス女性、それも若い女性たちが増えていると感じている。

「いまよく売れるのは19世紀のチェーンや、1940~50年代のタンク風の指輪。アメリカ女性はヴィクトリアンやジョージアン・スタイルを好むけれど、フランス女性はアールデコですね。18世紀末から19世紀初頭の美しいジュエリーについてはコレクターがいるので、常によく売れています。いまパリジェンヌたちのあいだで人気のマリー・リヒテンベルクのチョーカーネックレスに似た、フランスのある地方で19世紀に作られていた立体の留め具がついたネックレス。これはサイトにのるや、アメリカ女性があっという間に買ってしまいます。アメリカでもマリーのチョーカーが流行ってるせいでしょう。フランス女性は欲しいと思っても、購入をためらってるうちにアメリカ女性に先を越されてしまってます。アンティークジュエリーは一点ものですからね。マルキーズシェイプの柘榴石の指輪を出すたびに、24時間もたたずに日本人が買います。なぜこの指輪なのか……私には謎なんですよ(笑)」

アイテムでは指輪が売れるそうだ。これは“女性は指が10本あるから、いちばんよく売れるよ”と彼女がオンラインブティックを始める際にアンティークジュエリー商が教えてくれたとおりだったと笑う。男性客が探しているのはブローチや紋章リング。

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左: 18Kイエローゴールドのスネークリング。オールドカットのダイヤモンドが目にはめ込まれている。このほかにも、ヘビをモチーフした指輪は複数扱っている。 右: ヴィクトリア時代のダイヤの花が埋め込まれたアメジストとイエローゴールドのリング。

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左: 人気のイエローゴールドのタンクリング。 右: フレンチ・ヴィクトリア時代の紋章リングは18Kピンクゴールドとカルセドニー。

「アンティークジュエリー探しは地方の骨董商やジュエラーを巡ったりして。先週もボルドーに行きました。地方では売りにくいタイプだけど、私のクライアントにはいい、というジュエリーが見つけられるんです。プロ向けの荷ほどき販売にも行きます。オークションは少しは顔を出すけれど、最近個人客が増えているので難しい。彼らは私たちプロより高く支払う用意があるので……」

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カミーユはもともと宝石鑑定士の仕事を目指して学んでいた。チャンスがあったことからマレ地区のアンティーク商で働き、そこでアンティークジュエリーに触れ、すっかり心をとらえられてしまったのだ。

「そのアンティーク商は大きな店ではなかったけれど、サントノーレ通りのアンティークジュエリー店などにも卸しているので、ジュエリーはよく売れていました。たくさんの品を見ることができ、業界に知り合いもできて……。宝石鑑定は単に石の研究だけど、古いジュエリーの魅力を発見したことで知識がより膨らみました。仕事としてはアンティークジュエリーのほうが宝石鑑定よりずっとおもしろいですよね。この店でしばらく働き、その後商業学校に通いながら、ハイジュエラーのショーメで仕事をしたんです。ここで1年働いたところで、さあ、いよいよ100パーセント自分の力でやる時がきた!と思い、ギャルリー・ペネロープをスタートしました」

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オンラインブティックで扱う中から、カミーユがマダムフィガロジャポンのためにセレクション。左の写真後方の18Kピンクゴールドの角リングには「Carpe Diem」と彫られている。1940年頃。 右: 手前、チェリーモチーフのハートのペンダントトップは珍しくはないけれど愛らしさ満点。後方、石の名前の頭文字がメッセージを告げるアクロスティック・ブレスレットは19世紀のイタリア製。後方の宝石箱はギャルリー・ペネロープのオリジナルで、蓋の内側にGPのイニシャル入りだ。

ジュエリーに限らず、家具や食器など美しい品を好む彼女の母親の影響で、カミーユもブロカントや骨董店には小さい頃から出入りしていた。宝石鑑定についてはニューヨークのGIAで学んで許状を取り、さらにアントワープのHRDでダイヤモンド・グレーダーの資格を得ている。その確かな知識と美意識がベースにあるオンラインブティックでは、ひとつひとつのジュエリーについてサイズだけでなく時代や素材について詳細な情報を掲載している。“シリアスなメゾン”と表現する彼女。自分なりの小さなサステイナブルな取り組みとしてジュエリーはアンティークで、と考えているなら、センスもよく品質も保証され、日本へのジュエリー発送にも慣れているギャラリー・ペネロープのオンラインブティックをのぞいてみよう。

 

editing: Mariko Omura

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