シェフの料理とグラスワイン。20区のフリポンが賑わっている。

Paris 2022.01.29

パリの中心から大きく離れた20区の一角だけど、行く価値あり!とレストラン「Fripon(フリポン)」が口コミで賑わいを見せている。シェフはポーリーヌ・セネ。フランスの人気番組「Top Chef(トップ・シェフ)」の2021年度で6週目まで残った候補者のひとりだった彼女は、それ以前6区のSemila、10区の52といった味自慢のレストランを経由し、1ツ星のCobéaでスーシェフとして……という経歴を持つ若い料理人である。

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シェフのポーリーヌ・セネ。店名はいたずらっ子を意味する。photos:(左)Ilya Kagan @Ilyafoodstories、(右)Mariko Omura

作者料理とヴァン・ナチュール。こう掲げる店はランチタイムも満席だ。この店の魅力に惹かれて集まる客層は、年齢もタイプもさまざまなのがおもしろい。どのテーブルもワインを嗜み、デザートまでと、人々はゆっくりと時間を楽しんでいる様子だ。週替わりメニューのセレクションは少ないが味に間違いがないし、価格がとても手頃である。前菜+メインあるいはメイン+デザートで21ユーロ、前菜+メイン+デザートで25ユーロ。これは20区という、パリの中心から離れた立地ゆえに可能な価格に違いない。ひとつの料理について明記される素材の種類がなかなかの数で、味が想像しにくいかもしれないけれど、それもまた一興。シェフの腕前とセンスを信じて楽しい驚きを待つだけ! たとえば1月のある週の前菜のひとつは、「ビーツのサラダ/ニシン/ラディッシュ/ハルミ(ギリシャのチーズ)/ミント」とある。とてもカラフルで味わい豊か、そしてさまざまな食感が口の中で混じり合うひと皿だ。これはポーリーヌが生むどの料理にも共通して言えることである。

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週替わりのランチメニューから。左:前菜2種。ビーツのサラダとシャンピニオンのスープと温泉卵。 中:メインは魚か肉のチョイス。この日の肉料理はプルドポーク。とろとろに煮込んだ豚肉に、揚げたケールキャベツがカリカリの食感をプラスする。パンは20区のEléments Boulangerieから。 右:デザートはチーズも選べる。写真は「バニラ風味のふわふわクリーム/ポム・タタン/シナガワハギ」。photos:Mariko Omura

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夜のメニューから。左:「ブルターニュ風チャコール・サブレ/黒ゴマのプラリネのディプロマット/カリンとオレンジのグリル」 右:魚はイカや帆立貝のことも。photos:Ilya Kagan @Ilyafoodstories

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左:ディナーメニューはひと皿10〜26ユーロ。 右:シェフは ニンニクや野菜の皮などをマリネし調理に活用する。photos:(左)Ilya Kagan @Ilyafoodstories(右)Mariko Omura

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ディナーメニューには約10種の料理が並ぶが、前菜、メイン、デザートといった区別がなされていない。季節の素材にインスパイアされる料理の数々。中には、「自家製タラマと芽キャベツのフライ」のような人気料理も。ポーリーヌはデザートに野菜を用いることもしている。ワインリストに載っているワインは、どれもグラスでオーダーが可能。価格も5~8ユーロと試しやすい。サービスを担当するのも若いスタッフで、平均年齢30歳くらいとか。気配りもしっかりと、きびきびと働く彼らの姿は見ていて気持ちがいい。かってバーだったという店は真っ白にペイントされ、中央を大きなカウンターと鏡が占めている。素朴なブーケ、70年代調の花のペンダントライト、壁に掛けた花を描いたお皿……インテリアは甘すぎないフェミニニティが感じよい。水のカラフもブロカント風にテーブルごとに不揃いなのがチャーミングだ。大理石の素材、白いテーブルクロスがほんのりと高級感を漂わす。メニルモンタン通りとルトレット通りのコーナーに位置するので、ランチタイムは大きなガラス窓からの採光に恵まれる。なおこのルトレット通りはストリートアートでとても有名。地元の大勢のアーティストたちが参加している。ぜひ食前か食後に歩いてみて!

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左:大理石に白いテーブルクロス。こんな環境でランチメニューが21ユーロからとは! 中:店内は生花に加えて、プレートも花模様だ。 右:70年代の花のランプが愛らしい。photos:(左・中)Ilya Kagan @Ilyafoodstories、(右)Mariko Omura

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フリポンが面するルトレ通りにはストリートアートがあふれている。photos:Mariko Omura

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photos:Mariko Omura

Fripon
108, rue Ménilmontant
75020 Paris
営)12:00~14:30、19:30~22:30
休)土、日
tel:09 81 89 27 40
Instagram:@fripon_paris

editing: Mariko Omura

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