フランスの植物史が香る、カリエール・フレールのキャンドル。

Paris 2022.06.01

最近パリの国立美術館では企業とのコラボレーションに積極的で、たとえばフランス国立図書館に生まれた提携部門が声をかけたのは図版ポスターを製作販売するレ・ジョリ・プランシュだった。この提携によってブランドは図書館所蔵の図版を活用した商品をクリエイトできる素晴らしいチャンスに恵まれている。では、5区の自然史博物館が、2022年、初めての提携相手に誰を選んだか?

単一の木、花、フルーツ、ハーブの香りのキャンドルで知られる創業1884年の「Carrière Frères(カリエール・フレール)」である。2017年に地球により優しいサステイナブルな商品へと製造法や素材を見直し、新たなコレクションを発表。2018年から、エコレスポンシブルなディフューザーやスプレーなどへと商品の幅を広げている。ダマスクローズ、トマト、サンダルウッド、ローズマリー……カリエール・フレールの香りのセレクションは18世紀の植物学者や探検家たちを興奮させた植物がインスピレーション源だ。1635年に生まれた王立庭園を起源に持つ自然史博物館の初の提携相手に、カリエール・フレールはぴったりのパートナーといっていいだろう。このコラボレーションでは博物館が所蔵する犢皮紙(とくひし)に描かれた17世紀からのデッサンが素晴らしいアイデア源となり、その中からアカシア、スイレン、ニガヨモギの3種の植物の香りのキャンドルが発表された。

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Carrière Frères x Muséumコレクションのパフュームキャンドル。左から、アカシア、スイレン、ニガヨモギ。各60ユーロ

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アカシア(Robinia)はアメリカ東部が原産で、アンリ4世の植物学者がフランスにもたらしたといわれ、17世紀の頭にその植物学者がパリに蒔いた種からのアカシアはいまも市内の2カ所で見ることができる。1本はノートルダム寺院向かいのルネ・ヴィヴィアーニ・スクエア、もう1本は植物園においてだ。キャンドルの香りはというと、パウダリー・フラワー。最初にフレッシュな植物が香り立つ。オレンジの花の香りにも似ていて、太陽の明るさ、蜂蜜の甘さが感じられる香りで室内を包み込む。

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18世紀にマドレーヌ・フランソワーズ・バスポルトが描いた『Pseudo-acasia hispida, flroibus』。自然史博物館の犢皮紙コレクションより。

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ニガヨモギ(Artemisia Absinthium)は古代から薬用として知られる植物で、アニスとフェンネルと合わせて醸造されたアブサンが“緑の妖精”と呼ばれて愛飲されるようになるのは18世紀のことだ。中毒性が強く、きれいな緑色にも関わらず19世紀には“悪魔の植物”と呼ばれることになってしまう。アブサンの入った緑色のグラスを前に座る虚ろな女性を描いたエドガー・ドガの『アブサン(カフェにて)』に、この飲み物の当時の流行を見ることができる。キャンドルではニガヨモギの魅惑的なグリーンノートに、ミントやバジルが混じり合い、自然の中を散歩しているような錯覚が……。

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ニコラ・ロベールが17世紀に描いた『Absinthium latifolium』。自然史博物館の犢皮紙コレクションより。

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スイレン(Nymphaea)はアマゾニアを起源とし、ヨーロッパにもたらされたのは1800年である。池の中で咲くこの花の香りはどんな香りなのだろう。キャンドルは花を感じさせる植物の香りに始まり、パイナップルを思わせるジューシーなフルーツの香りへと。なお香りは南仏グラースでクリエイトされ、キャンドルはノルマンディーの工場で製造されている。

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ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ が18世紀末から19世紀初期に描いた『Nymphea caeruylea』。自然史博物館の犢皮紙コレクションより。

カリエール・フレールと自然史博物館との提携は3年間続く。香りの数が増える、ディフューザーなど別形態で……など、新たに美しい品が加わるようだ。今後のコレクションの進展も楽しみにしよう。

editing: Mariko Omura

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