限定品とイべントが盛りだくさん、ボン・マルシェの創業170周年祝い。

Paris 2022.09.16

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170周年記念のイベントのグラフィックをトータルに任されたのはストリートアーティストのToqué Frères(トッケ・フレール)。10月16日まで陽気な雰囲気で館内を満たす彼らが手がけたさまざまなモチーフは、トートバッグやマグカップなどの記念グッズにも。photos:Mariko Omura

ボヌール・デ・ダム百貨店

世界中、いまやデパートは数え切れないほど存在するけれど、そのトップバッターはパリ左岸に1852年に誕生したル・ボン・マルシェだ。8月27日から10月16日まで本館および食料品館で「170年のボヌール」と題して、創業170周年のお祝いごとが多数展開されている。

ボヌール(幸福)とうたっているのは、エミール・ゾラが世界初のデパートであるボン・マルシェにインスパイアされて1883年に発表した小説『Au Bonheur des Dames(ボヌール・デ・ダム百貨店)』に由来する。この小説の本邦初訳・完訳版とうたって出版された論創社版の分厚い本の腰巻には、“ゾラが見た消費の神殿でくりひろげらる魅惑・労働・恋愛”とあり、裏表紙側には“お買い物は着飾って 百貨店という劇場 正札のついたサロン”と書かれている。この小説、その漫画化版『Au Bonheur des Dames』もデパート内で販売されているので、文字を追うのが面倒ならこちらを手にとってみるのがいいだろう。

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左:ボン・マルシェで販売しているエミール・ゾラの小説『Au Bonheur des Dames』の文庫本と漫画バージョン。 右:ゾラの小説の翻訳と鹿島茂による『デパートを発明した夫婦』。photos:Mariko Omura

世界初のデパートであるボン・マルシェについて日本では鹿島茂著『デパートを発明した夫婦』(講談社現代新書)が出版されている。こちらは集客戦術を駆使して「必要」から「欲望」へと消費のキーワードを一変させた天才商人の創業者アリスティッド・ブシコーとその妻マルグリットの足跡をたどる一冊だ。19世紀半ばまでの閉鎖的な店舗販売を一新した百貨店という商売形態を“発明”し、成功させてゆく過程がわかりやすく書かれたこの本を読むと、170年後のいまもボン・マルシェが私たちを興奮させ続けている謎が解けるようだ。

170周年を祝って、12月30日までの金曜と土曜の閉店後にゾラの『ボヌール・デ・ダム百貨店』にインスパイアされた30名の俳優が演じるイマーシブな演劇が館内を舞台に演じられている。2時間の作品で、観客も劇中の舞踏会に参加できるという。

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ボン・マルシェとCrumble Productionのコラボレーションによる演劇は、12月30日までの金曜と土曜の晩のお楽しみだ。75ユーロ(12歳以上)

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ボン・マルシェの館内を舞台に、殺人劇が展開する。

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アミ・パリもリュニフォームも、そしてローズベーカリーだって。何から何までオレンジ!

いまデパートに入ると、館内のいたるところでオレンジ色が目にとびこんでくる。ショッピングバッグにも使われているように、オレンジ色はデパートのコードカラー。アミ・パリのニット、リュニフォームのバッグ、クロエのスニーカー、アリックス・D・レイニスのランプシェードなど、おなじみのブランドの人気商品が170周年記念でオレンジ色バージョンで限定販売されているのだ。人気のローズベーカリーも、期間中はなんと“オレンジ・ベーカリー”と名前を変えて!

オレンジ色の限定販売は本館の地上階の特設スペースにて。セーヴル通り側のオレンジ色の空間にはカフェ・ニュアンスがお店を出し、中央のテーブル席で買い物途中のカフェタイムを楽しめる趣向。その間にも目はオレンジ色のあれこれを物色してしまうかもしれない。

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左:オレンジ色の限定品を集めたコーナー。 右:Toqué Frèresとのコラボレーションによるゲームセット「la vie est une fête!」25ユーロ。

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左:オレンジ色のイチゴが飛ぶ、マラン・モンタギュの手描きグラス。39ユーロ 中:エリック・ボンパールのオレンジ色のカシミアセーター。295ユーロ 右:ヴィンテージアイテムもオレンジ色で。エルメスのバーキン「Rainbow Sunrise」。45,550ユーロ

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左から、記念パッケージ入りのHédèneのハニー(25ユーロ/250グラム) 、ビスケットFabulous Biscuits 各5.20ユーロ、6〜8名用ケーキ「マルグリット」55ユーロ。

バビロン通り側に設けられたスペースはオレンジ色ではなく黄色。170周年を祝うディナーというイメージで、長いテーブルが空間を占めている。女性による複数のブランドのカラフルで可愛い食器のオンパレードなので見逃さないように! フードやスイーツも170周年記念の限定品が盛りだくさん。開催は10月16日まで。

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左:Popoloの陶器は30ユーロ〜。 右:Caroline de Benoist。お皿やプレートなど、アイテムいろいろ。

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左:Willemien Bardwilのハンドペイント陶器とプレースマット。 右:La Romaine Editionsのプレートやグラス。

Le Bon Marché
24, rue de Sèvres
75007 Paris
営)10:00~19:45(月~土) 11:00~19:45(日)
無休
www.lebonmarche.com

editing: Mariko Omura

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